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武道大会2

人物ファイル


№004

『キュアリス』


生物的特徴


性別:男

種族:魔族

年齢:不詳


外見的特徴


身長:179.2㎝

体重:46㎏

服装:黒い死に装束

髪の色:黒色

瞳:紫色


性格的特徴


性格:好奇心旺盛だが紳士。

キュアリスにとっての自分:無邪気すぎる。

他人から見たキュアリス:イケメン紳士。

好きなもの:紅茶。

嫌いなもの:納豆。


経歴的特徴


出身:東の異国にある古城。魔王の再従兄弟関係。

家族構成:父親、母親共に他界。実はキュアリスの好奇心のせい……


物語的特徴


一人称:私

二人称:貴方、貴女(もしくは様呼び。)


抱えている悩み


魔王リリスのわがままに少し疲れを感じる。

最近ナタニアが話をしてくれない。


人間関係


他人との関係は:紳士的に接する。特に女性には優しく。


その他


武器:素手、たまに武器を使うが指揮棒…

アダスはこの瞬間が堪らなく長く感じていた。


重苦しい薄闇と湿ったカビの臭いに包まれた地下の通路を抜けて、ひび割れた石天井から射し込む光を浴びて湿った空気を吸い込む。


「ふぃ~……」


息を吐きながら光りが差す出口の方に進み、すり減った石段を上り、興奮とざわめきがうるさい闘技場へと足を踏み出す。

ここまでの時間がケイトといた時間とは違い別の意味でとても長く感じる。


闘技台に上りアダスは足を止めた。


そこにはすでに二回目の対戦相手が待ちかねていた。


相手、確か名前はディ・ナイズ……西の王国から来た戦士。

よほどの修羅場を潜ったのか、最初の対戦相手だったオーベン・グロースと比べ雰囲気が全然違う。

引き締められた肉体に冷たくて鋭い光を差す独眼。


へぇ、思った以上に大変そうだな。


ナイズの装備はアダスと同じ軽装で、両手には片手斧を持っていた。


前のオーベンの武器だった金棒に比べ、破壊力はあまり無さそうだが……


両手か、厄介だな

俺も二刀流で行くべきか…


「・・・二本で行ってみるか。」


アダスが刀を抜き放つ。

右手を上に、左を下に刀を構えた。


「いい試合をしよう。」


ナイズが喋った。


「そうだな。」


アダスが答えた。


ゴーン、ゴーンッ!


試合を開始前の銅鑼の音が闘技場に鳴り響いた。


一瞬、闘技場は完全な静寂に包まれる。


『第二回戦、[東国タカハマラ国]出身、ディ・ナイズ対[時の王国]出身、ルジー・アダスの試合を行う。』


男爵が拡声器で話す。


『ルールは最初の試合で言いましたので二度は言いません。』


「・・・・・。」


「・・・適当だな。」


ナイズの沈黙にアダスの苦笑い。


『では、試合を開始!』


カーンッ!!


試合開始を告げるゴングの高音が大きく響き渡った。


アダスとナイズはお互い武器を構え、睨み合いをしたまま動かない。


「・・・・来い。」


ナイズが口を開いた。


「生憎だが、下手に手を出して怪我するのは嫌だからな。」


アダスはナイズの動きに注意を払いながら答えてみせた。


「・・・そうか、なら」


ナイズの右目が冷たくて光る。


「こちらから行くぞ。」


ナイズが予備動作なしに飛び跳ねた。

空中で身をひねったかと思うと、そのままアダス目掛けて落下してきた。


「跳んだ意味ねぇなおい!」


ナイズの両手から繰り出される二本の片手斧を刀で受け止め、アダスはぼやく。


「それっ!」


「ふん。」


片手斧を弾いて突き出されたアダスの右手の刀を、ナイズは左手の片手斧で受けた。

しかし、手応えとなる衝撃を感じなかった。

ナイズが刀を受け流しながら身を回転させ、右手の片手斧をアダスに叩きつける。

アダスは瞬時に右前に跳んで斧をかわした。

受け止めきれないかも知れないと判断した結果だ。


アダスは素早く着地。

身を深く沈めて脚に力を溜め、勢い良くナイズに向かい突進。


「・・・。」


突進してくるアダスを軽々とかわしたナイズはその場で空中回転。


「ハッ!」


「っ!」


回転しながらナイズが頭に向けて蹴りを放つがアダスは首を捻って回避したが


シユッ!


「っ!?」


風が切れる音と共にアダスの髪数本が宙に散った。


二回目の蹴りを大きくかわした時にアダスは音の正体を見つけた。


蹴る瞬間ナイズの足先から鋭く研がれた小刀が突き出していた。


仕込みナイフっ!?これは一応ルール違反ではないが、たちが悪いぞ。


アダスは、連続で放たれる蹴りを体を捻りつつステップでかわすが

小刀の先端が左頬をかすめ、血が垂れた。


「・・・ちっ、トリッキーな動きが面倒だな。」


「・・・・・。」


蹴りを止めたナイズがアダスに突っ込んで来た。

良くみるとナイズの左手に握る小斧が逆手持ちになっていた。


何の意味があるんだ?


疑問に思いながらもアダスは迎え撃つために刀を構える。


キィィィィン!


甲高い金属音。

小斧の刃と刀の刃がぶつかり火花を散らす。


「オラッ!」


刀の刃をダメにされる前にアダスが膂力で振り抜く。

押される力を利用して、ナイズが後方へと大きく跳躍して距離を取ったかと思えば、弾丸の如く襲い掛かって来た。


襲い掛かるナイズに対してアダスは刀を突き出す。

ナイズは左足を軸にして巧みに刃をかわし、アダスの刀が空を切る。


「・・・速い、だと!?」


体が前屈みになったアダスにナイズが右手の小斧を振り下ろす。

アダスは体を捻り、素早くギリギリなところで身をかわした。


「・・・逃がさない。」


ナイズが右足を踏み込み軸にして左足で鋭い蹴りを放つ。


「・・・そこだ!」


「・・・ふっ!」


突き放たれた鋭い蹴りをアダスは右前に踏み込んでかわし、ナイズの突き出された右脚を左脇でガッチリと挟み込んだ。


「ッ!?」


「お前は確かに強い。でも、相手が俺だからな。」


「・・・・・」


足を挟まれたナイズがアダスに向けて小斧を振るうが、


「無駄だ。」


アダスがナイズの体を支えている片足を蹴り払い、闘技台に叩きつけた。


「ぐぅ……!」


「さぁ、お前の負けだ。」


刀の先を喉もとに突きつけアダスは言った。




⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴




アダスがナイズと戦っている頃。

ルジー・ロイスのことグレイは誰もいない空き部屋、第二控え室の中に入り空色の瞳で日光が射し込まない暗闇を見つめていた。


「出て来い…そこにいるのはわかってんだぞ。」


グレイが暗闇に向けて話しかけた。


「・・・もし、前みたいに魔方陣で逃げようとしたら転送する前にぶった切るぞ。」


グレイの体が青いオーラ、刀気に包まれる。

背に背負う大剣の刀身が紫色に輝いた。


「・・・・・いやいや、参りましたね。」


暗闇に浮き出て来た白い顔。


「ほんの数日振りですかね、ロイス様。」


暗闇に白い顔を中心に波紋が浮かぶ。

黒くて長い髪に紫色の瞳。

身に纏うは漆黒の死に装束。

魔将キュアリスが暗闇から浮かび上がって出て来た。


「貴方に見つかるとは運が悪い……」


「悪いがお前の運がどうなろうと俺には関係ない。」


グレイの右手が大剣の柄を握る。


「何で魔王の気配が王国内に存在する?」


「・・・それは、貴方に会いたいがためなのですよ。私は種族を越えた恋愛に興味があるからついて来ただけですからね。」


キュアリスが[愚者の石]を手の上で転がしていた。


「それに、灰色の人族の中に黒色に近い存在がいたら私個人的に欲しいと思っています。」


「斬られたいか?」


グレイの姿が霞む。

気づいたときにはキュアリスの首には剣先が突きつけられていた。


「ノンノンノン、ちょっと待ってくださいよロイス様。」


キュアリスが降参のポーズを手で表す。


「冗談ですって、貴方と戦って勝てる気はしないですよ。」


「・・・俺が聞きたいのはお前の戯れ言じゃない。」


グレイが大剣を引く。


「俺が聞きたいのはどうすればリリスは立ち去るんだ?」


「いや~……あの、私にもわかりませんねそれは。」


キュアリスが乱れた服装を整える。


「魔王様は気まぐれな性格と脳筋がなかったら、普通に頭が良くキャリアもあり、強力な魔力を持つ心身が完璧な方です。」


キャリアが紫色瞳でグレイを見つめる。


「そんなのうきおっと、魔王様が恋に落ちた。相手は魔族でも天族でも無い、灰色の種族である人間だと知った時はとても興味を持ちました。」


「お前の興味なんて俺には意味がない。てか、お前何気に自分の主君を敬ってないだろ?」


「はて?何のことやら?」


グレイが大剣を鞘に戻した。


「まぁ、答えが見つからなければ自分で探すのみだ。」


グレイがキュアリスに背を向けて歩き出す。


「お前を斬っても意味がないと感じるから見逃す。」


そう言い残してグレイが部屋を出て行った。


「人族に見逃されるとは……」


キャリアが額に浮き出た汗を黒いハンカチでぬぐって呟く。


「・・・しかし、ロイス様の力は一体どこから湧いて出て来るのか、興味深い。」


現れた時と逆にキュアリスが闇に沈んでいった。




⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴⭐✴




夜。

アダスは国王が取り計らった宿に泊まっていた。


「痛っ!ケイト、その塗り薬なんか切られたときより痛く感じるぞ!」


アダスが左頬を押さえながら部屋の隅に逃げた。


「ダメだよ、この薬は良く効くってお医者さんが言ってたよ。」


「こんなもん、唾でもつけときゃ治る。」


「そんなんじゃ傷が膿んで痕が残っちゃうからダメ!」


二人が取っ組み合っている横で、グレイが椅子に座って酒を飲んでいた。


「青春してるね~。まったくこっちはこっちで大変だぜ。」


グレイが酒をクイッと飲み、視線を窓の向こうに輝く月へと向ける。


「さぁ、どうしたらいいか……だな。」



「さぁ~アダス、観念してね。」


ケイトがアダスの上に馬乗りになってマウンドポジションを取った。

指につけた塗り薬をアダスの左頬に近づける。


「待つんだケイト、落ち着け!!」


完全に両腕を脚で押さえつけられて動かない。


う、動かねぇ!?いつの間にこんな技術を覚えたんだ?


このぐらいの固定なら本気を出せば振りほどける。

だがケイトを傷つける恐れがあって力を出せない。


「くーすーりー……」


「ケ、ケイト君?何か君おかしいよね。」


「あっ、悪ぃ悪ぃ。姫に酒を飲ましたわ。」


椅子に座っていたグレイが"てへっ。"みたいな感じに舌を出しているが……可愛くねーよオッサン。


「何しとんじゃぁぁぁぁあ、このクソ野郎っ!?」


「いや~、つい……な。」


「ケイトは酒癖が悪いん…」


「はいそこ怒鳴らない怒らない~」


ケイトの魔手がアダスに迫る。


バ――――――――ンッ!


「お邪魔しま~す!!アダス君居ますか~?」


扉が勢いよく開かれ、やたらと大きな声で挨拶しながらオーベンが部屋に入って来た。


ズルズルズルズル……


「・・・・・。」


そしてなぜかナイズがオーベンに後ろ襟を掴まれて引きずられていた。


「男三人でパァァァッと宴でも………」


「・・・・・。」


二人の視線がアダスと、アダスに馬乗りなっているケイトを捕らえた。


・・・ア、アアアァァァ!何か面倒臭い状況に陥ったぞぉぉお!?


「・・・よ、よぉ。」


とりあえず挨拶だけでも


「アダス、くーすーりー…」


動きが止まっていたケイトが再起動した。


「えっ、あれ?ケイトさん、今この状況に気づいてますか?」


必死に首を振って抵抗しながら、アダスは元凶であるグレイを睨む。


(≧ω≦)bグッ!


グレイが"了解した"か、"頑張りな"かを表すように親指を立てる。


・・・意味がわからん。


「おう、ガキ共。今アダスは取り込み中で忙しいから後にしな。」


「・・・そうかぁ~、でオッサン誰?」


「・・・・・誰?」


オーベンとナイズがグレイに問いかけるが、


「おっさん……、俺が誰かなんてどうでもいいだろ?」


とグレイは話を流し


「そうだ。お前ら、大会に出るほど腕に自慢あるんだよな。」


グレイの目が怪しく輝く。


「なら宿裏にある空き地で俺と素手で怠慢しようぜ。」


何を言い出すんだこのオッサン……


「はぁ?何言ってんのオッサン。」


オーベンが答える。


「悪いけどオレ、親父狩りなんてするほど餓えてないぜ。」


クイクイ。


「・・・しかし、挑戦は受けるのが礼儀。」


ナイズがオーベンの袖を引っ張る。


「礼儀って言ってもよぉ~。オレは戦うならアダスとやりたいんだよ。」


オーベンがグレイにビシッと指をさす。


「こんなオッサン相手だと興醒めしちまうぜ。」


「言ってくれるな……」


グレイは苦笑い。


「なら、俺に勝ったらこれをやろう。」


そんなことを言って、グレイがコートのポケットから拳サイズの宝石を取り出した。


「これならどうだ。そう簡単には手に入らないぞ。」


「ただのデケェ宝石だ……宝石!?」


グレイの手を見てオーベンが目を見開く。


「・・・リンゴに見える。」


ナイズが呟いた。


「これはな、とあるちょっとした野暮用で行ったダンジョンにあって、そのダンジョンの奥で見つけたダイヤモンドの木に実っていたルビーのリンゴだ。」


そう言ってグレイが短刀を取り出し、刃に刀気である青いオーラを纏わせたかと思ったら


「ふん。」


「「!?」」


ルビーのリンゴを真っ二つに切り分けた。


「よく見てみろ。」


グレイが切り分けたリンゴの断面を二人に見せた。


「「!?」」


再びオーベンが驚き、ナイズが目を大きくしていた。


なんとルビーのリンゴの断面は本物のリンゴ白色の果肉と黒水晶の種があり、ほんのりと甘い香りを漂わせていた。


「どうだ。欲しくなっただろ?」


「お、オッサン。あんた一体何者だ?」


「何者だっていいだろ。早く外でやろうぜ。」


グレイが二つに分けた不思議なリンゴを布で包みコートのポケットに入れた。


「先に出てるぜ。」


悠々とグレイが部屋から出て行った。


「・・・・・。」


ナイズが無言で後に続いて出る。


「遊びに来ただけなのに何でこうなった?」


「お~い、そこのオーベン君。こいつをどうにかしてくれないか?」


頭を抱えたオーベンに今まで無言でケイトに抵抗したアダスが助けを求めた。


「アダス、無駄な抵抗はよしたまえ。」


ケイトがキリリとした顔で言う。


「嫌だっ!!俺は希望が有る限りあきらめ……」


ついノリで答えたアダス。


・・・・・グッ!


痛い子を見るような目で見ていたオーベンがとりあえず親指を立て


「頑張っ!」


の一言を言い、部屋から出て行った。


まぁ、そうなるわなぁッ!!めっちゃ、ハズいわ!



そんでもって、一夜明け……



チュンチュン………アサ……チュン?


暖かな光と、どこかで小鳥がさえずっているのが聞こえる。


・・・朝かな、そろそろ起きないと。


ケイトが目を開いた。


「!?」


開いた目が見開かれる。


「・・・えっ!!」


バッ。


慌てて大きな声で叫ぶところを自らの手で押さえて堪える。


なぜこのような状態になったかというと……


にゃ、にゃんで……じゃなくて何でアダスが目の前にね、寝てるの!?


そう、アダスがケイトに寄り添うように横で寝ていたのだ。


二人の間にある空間はわずか4~5㎝、限りなく近い。


あ、アダスが目の前に……


アダスの顔をじっくり観賞していたケイトの顔が少しずつ赤みを帯びてきた。


一緒に寝て…アワワこれは、もしかして……アワワワ………


ボンッ…プシュー……


恥ずかしさのあまり顔から蒸気をあげ、鼻血を出しケイトは気を失った。







数時間後…







「・・・・・?」


アダスは顎を指でかきながら頭をひねった。


「・・・なぜケイトは満面の笑みで鼻血を出して寝ているんだ?」


まだ昨日の酒が抜けていねーのかな?


昨日の晩はグレイがオーベン達を連れて出て行った後、最終的に薬を塗られ絶叫を上げたアダスは酔いが覚めないケイトに引きずり回され、あげくに寝る前に

「お話をしてくれないと眠れない」

と言われて横に寝かされ、気づいたら寝ていて、朝になって起き上がって横を見るとケイトが鼻血を出しているのを発見した。


「・・・まぁ、いいか。」


気にせずほっとくのが一番。


と思いつつ、ケイトの鼻血の痕を自分の服の袖で拭き取った。

汚れる?……いいんだよ。

俺の服は黒いから目立たないからな。


「ん~……」


鼻血を拭き取ったアダスは体を伸ばし、寝室の壁に架けてある時計を見た。


「・・・なんだ。まだ日鷹の時刻か。大会が始まるまで時間があるな。」


と腹をボリボリかきながらアダスは寝室を出た。


「ん?」


そして、奇妙な光景を見たのだった。


「うぉっ!?」


なんと居間のソファーに真っ白に燃え尽きたオーベンとナイズが俯いたまま力なく、互いに寄りかかるように座っていたのだ。


「ど、どうしたんだよお前ら!?」


アダスが近づいてきたのに気付いたオーベンが目を瞑ったまま口を開いた。


「・・・オレ、ま……真っ白に燃え尽きたよ……フッ…」


「なに死に際に言いそうな台詞を言ってんだよ!!」


ナイズも口を開いた。


「・・・・・我が人生、悔いは……ある…」


「あるんかいオイッ!あっ、寝るなお前ら!!」


アダスが二人の肩を揺する。


「一体どうしたんだよッ!誰にやられたんだ!!」


「・・・あ……アイツだ…」


ナイズが震える腕を持ち上げ、部屋の一角を指差した。

ナイズが指差す先には壁に寄りかかったグレイがのんびりと茶を啜っていた。


「・・・・・おい。」


「ん?アダスか、早起きだな。」


グレイがアダスに気付いた。


「大会まで時間があるから軽く体でも温めとくか?」


「う~ん、そうだな・・・いや待てコラ、普通に話を続けんなよ。」


アダスがビシッとツコッンだ。


「そこのソファーで真っ白に燃え尽きている二人に何したんだ?」


と真っ白に燃え尽きた二人を指をさす。


「何したって……昨日の夜コイツらと手合わせして…」


「うんうん、宿裏の空き地でしてたんだよな。」


「あまりにも弱すぎたからついさっきまでしごいてやってたんだよ。」


この時、グレイが浮かべた笑みをアダスは恐怖を感じたと言う。


「簡単なご説明、まことにありがとうございます。」


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