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青春の性質

作者: 舞倉流奈

僕は君が好きだよ。


でもね、この気持ちは伝えられない。


だって僕は・・・





地元から少し離れた高校に入学した僕には、誰にも言えない秘密がある。

それが、どこかの国のスパイだとかスーパーヒーローだとかそんなマンガみたいなことではないのが残念だ。ふざけて言えることではない。


直接的ではないが、僕は人を殺してしまった事がある。


中学1年生の夏に、しかも恋をした女の子を。

だから地元から少し離れた高校に入学した。この事がバレたら…冗談だと笑われる?本気で捉えたとしても、当たり前だが拒絶の目が僕を束縛するだろう。


だから誰にも言わないし、もう二度と恋をしないと決めた。

しかし、夏休み前の暑いこの時期に、人を殺した時期と重なるこの時期に、僕は1人の女の子を好きになっていると気がついた。いつから好きなのか、なんで好きになったのか僕自身分からなかった。あれだけ注意していたはずなのにいつの間にか目で追っていた。僕は自分の想いをそっと胸にしまった。溢れ出しそうな時は中学時代の悪夢を思い出して何とか気持ちを抑えていた。


苦痛な日々を過ごしていたある日、ひょんな事から僕は女の子の好きな人を知った。


それは僕だった。


両想いだった。嬉しかった。嬉しくて嬉しくてその日はウキウキで一日を過ごしたものだ。早く家に帰って両親に話したかった。でも家に帰った時そのウキウキはもうどこかに消えてしまった。「ただいま」の返事が返ってこない。玄関に足を進めた瞬間、嫌な予感がした。その嫌な予感は的中する。


僕はまた人を殺した。家族を失った。もう涙すらでない。僕の体質、というのか昔から自分が嬉しかったり、ワクワクしたり、楽しかったりすると必ず自分の関係のある「植物・動物・人」が死んでしまう。小学生の時に学校で飼っていたうさぎは僕が考えた名前が選ばれた。嬉しくて翌日朝早く学校へ行くと死んでいた。僕の記憶では新しい中学の時の好きになった女の子は告白して付き合う事になった日に亡くなった。突然死だった。別に外傷があった訳ではない。検証の結果、心臓発作で事件性はない、との事だった。


その時に僕は思った。いや、自分に誓ったのであった。


「もう二度と恋をしない。誰にも気持ちを伝えない。感情を偽って過ごす」


二度と恋をしないと誓ったのに・・・。僕のせいで家族を殺してしまっては、いつ女の子が死んでしまうかも分からない。

自意識過剰かも知れないが、もし告白されたら・・・僕は感情が表に出しまうかも知れない。きっと女の子を失う事になる。そしたら女の子の家族があの時の様に悲しむだろう。あんな家族の姿見たくない。


…っ…どうして…どうして僕なんだ…!

叫びそうになるのを抑えた。


もう流石に辛かった。限界だった。最善策を考えた結果。


自分が死ねばいいんだ、という結論に至った。


そうすればみんな幸せになるに違いない。悲しい想いをさせなくて済む。自分は要らない人間だったかもしれない。誰にも会わなくて友達なんていらなくて感情なんていらない。僕自身なぜ生きているのか、その答えを探す事すら無意味に感じた。

今まで幸せだった、と生きてきた思い出を頭の中で再生しながら僕は想いを紙に記した。こんな思いをするのは僕だけでいいんだ。


『これから辛い事があっても僕みたいに負けないで。試練なき人生はないけれど、君には必ず幸せが待っているはずだ。』


こうして僕は人知れず自殺した。


このメッセージが好きな女の子を含め多くの不幸だと感じる人々に届きます様に・・・

女の子には幸せを見つけてほしいし、押し付けがましいけれど僕の分まで幸せになってほしいな。泣いてほしくない。悲しい顔を見たくない。苦しんでほしくない。僕は好きな子の幸せを願った。


思い出の人になった僕は今、悩み苦しんでいる人の支えに少しでもなって、人の役に立てているのであれば最高に幸せだと感じるに違いない。

拙い文章を最後まで読んで頂き、有難うございました。

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