3話目です(*^^*)
感謝・感謝です(*^^*)
ユリスの誘う方向に向けて林の中を移動しながら、私は小天使ユリスの説明を引き続き聞いていた。
(では次のレクチャーにいきます、この世界ですぐに必要となる技術、戦い方をマスターしましょう。この世界には魔物と呼ばれるものが存在します。かれらと人間とは敵対しているので戦いは日常的なものとお考えください。
では実践と行きましょう。この先に弱い魔物、ゴブリンと呼ばれるモンスターがいます。)
”戦い方”か。そういえば、今の私の格好は元の世界で着ていた紺のスーツとは違ういでたちに変わっている。身につけている装備は皮の鎧と呼ばれるものだろう。革ジャンに固いプロテクターなどをあちこちに付けたようなものだ。腰には小ぶりの剣を鞘に入れて下げている。ユリスが授けてくれた知識によると小剣という種類の武器のようだ。それ以外では懐には財布らしきもの、背中にはリュックを背負っている。本当に用意がいいことだ。
進行方向を注意深く探りながら進むと、小さな人型の姿がひとつ見えたてきた。緑色の肌、大きな耳、後ろ姿だけでも人間ではないことがわかる。その者に私はゆっくりと近づいていく。
(この距離なら逃がすことなく倒せるでしょう。ケンゾー様、気づかれても構いませんから一気に切りかかってください。)
(よし!)
剣を抜いて、私は一気に走りだした。近づいたところで剣を振りかぶってゴブリンに振り下ろす。攻撃が当たるまでゴブリンにはこちらに気がつかなかった。背中を大きく切り裂かれ、悲鳴をあげてからゴブリンは初めてこちらを振り向いた。醜悪な顔を歪ませて一瞬こちらを見たが、すぐに崩れ落ちた。
時間的には、10秒にも満たないであろう。しかし、心臓はバクバクして全身に汗が吹き出していた。戦いのプレッシャーなのか、剣を使って生き物を殺めたせいなのか。なにかが身体中を駆け巡っているようなきがする。
興奮しているような、恐怖しているような不思議な感覚だ。それにもかかわらずひどく覚めている自分もいて、今の行動の違和感を分析していた。
違和感がないという違和感を。
(違和感なく剣を扱えた。剣の使い方を、身体が知っている?)
(はい、正確にいえば”アシスト”による恩恵です。今は私が動きをアシストしますが、いずれ自分のものにして頂きますね。ついでに説明しますと、私のような存在をこの世界では”守護者”と呼びます。守護者のアシストで、〝守護持ち″はいろいろな恩恵を受けることが出来るのです。)
なるほど、だから。剣が当たり前のように扱えたのか。
(それにしても……スジがいいですね、ケンゾーさんは。お見事でした。)
(お世辞はいいですよ。それにまあ、ユリスさんを信じていたので思い切り行けました。)
(ふふふ、信用していただけているのですね、ケンゾーさん。)
ここまでの会話で、ユリスの関係を改めて考えてみた。私としては性格も好ましいし、信用できると判断している。何よりとても近い存在なのだ、私としてはもう少しラフな言葉使いのほうががいい。
(”さん”付けは辞めないか。それにケンと呼んでほしい。)
得られた知識から、謙三……ケンゾーという呼び名はこちらでは一般的ではなさそうだ。今までも親しい人にはケンと呼んでもらっていた。
(では、私もユリスとお呼びいただけますか。)
(ああ、ではそれで。改めてよろしく、ユリス。)
(こちらこそ、よろしくおねがいします、ケン。)
きっとこれからたくさん迷惑をかけると思うけどよろしくお願いします、相棒。
・・・・・
妹「兄様、ケンゾーさんにかけられている力のことですが。」
兄「僕の仕掛けた”精神保護”の術のことかな。彼の心は一般人のそれであって戦闘向きでないからね。彼の心が壊れてしまうのは僕にとって本意じゃないから。最も効果は徐々に減って行き、数ヶ月で消えるけど。」
妹「……私が至らないせいで兄様に色々として頂いて。ごめんなさい。」
兄「僕はシスコンだからね。やるからには手加減しない。それに僕の暴走に耐えられる人物を選んだから心配いらないよ。」
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