20話目です(*^^*)
おはようございます(*^^*)
色々と問題はあったが、私とキュンちゃんはペアを組むことになった。
このシシンのダンジョンを管理する冒険者ギルドでは新人は2階層の仕事までをソロ、つまり1人で問題なくこなせるようになって始めて冒険者として認められるのだ。
そこからはペアやパーティーなど複数人での攻略を認めることになっている。つまり最低限のソロ戦闘力がない者ではダンジョンの集団戦闘で足をひっぱるだけ、ということだろう。
当然、私は基準に達していないため集団戦闘は不可だ。だが今回は”加護の使い方を練習するため”として特別に許可を貰えたらしい。ゴメスさんがリーダーとして責任を取ることで、仮パーティーを編成する申請までをすでに済ましてきたらしい。
ちなみにキュンちゃんはギルド職員なので大丈夫?という裏技を使ったらしい。
「それじゃあ、予定通り3階層に行くぞ。」
ゴメスさんは3階層の一部のエリアの探索許可を受けていた。そして、今私が担当していたエリアの申請はすでに取り消されていて、この後来る他の冒険者が使うことになったらしい。
……何だろう?私の知らないところで、勝手に話が進んでいるような気がする。
「ケンさん!私が右、ケンさんが左でいいですか!」
「う、うん、いいですよ。」
キュンちゃんと2人で肩を並べてダンジョンを進み3階層まで到着すると、後ろにいたゴメスさんから止まるようにとの指示があった。
「このあたりだ。ここもドロップスポットだ。」
「ドロップスポット?」
「ケンさん、説明しまぁす!ダンジョンには各階層に1箇所はいいドロップ、つまりよい魔石が出やすい場所があります。それが何故かはまだ解析されていません。しかし、何かの条件で魔素が濃くなっているのではと仮説が立てられています。先ほど、ケンさんがいた場所もドロップスポットです!ケンさんは1日に2箇所もドロップスポットを探索できるなんて運が強いんですね!」
「ははは、そうなのか、な?」
キュンちゃんは本気で偶然だと持っているらしい。ゴメスさんは、ニヤついた顔をしている。どうやら私が子供扱いされてサービスされたことに気が付いているらしい。で、できれば言わないで欲しいのだが。ゴメスさんはそんな私の心情を無視して笑いながら口を開いた。ああ、お終いだ、キュンちゃんに笑われる。
「ホラ敵が来たぞバカケン、気を抜くな。」
ゴメスさんが口を開いて言葉にしたのは、敵が到着したことであった。
ホッと安心してしまった。って安心している場合じゃない!敵だ!
(3匹です。ゴブリンソルジャー1匹とゴブリン2匹です。)
(分かった。)
名前の下にソルジャーが付く個体は装備がいいのだ。普通のゴブリンは棍棒のみだが、ゴブリンソルジャーは剣や鎧、盾などの装備を身につけているので、その分、強い相手となる。
(では、ケン、多対多の戦い方を教えますね、光翼防御を意識して発動し、翼を広げてください。)
(翼を広げる?)
ここでいきなりユリスお得意の実践レクチャーが始まった。私としては、昨日のカールとの連携を発展させたものをイメージしていたのだが違うようだ。確かにあれは味方2対敵1の戦闘用コンビネーションだったし。
私は言われた通りに光翼防御を展開する。このダンジョンは戦うのに3人が並べばいっぱいになり”通せんぼ”ができる。私が翼を広げるとちょうどそのくらいの幅になりモンスターたちからは壁が出来たように見えているはずだ。突進をかけてきたゴブリン達は、動揺したのか動きが鈍った。
(次は、キュンちゃんのみの通行許可を私に命じて下さい。)
(ああ、キュンちゃんのみ許可!)
「キュンちゃん、この翼は相手は通さないけどキュンちゃんは自由に行き来出来るから!」
「はい!!」
即座に意味を理解したらしいキュンちゃんが私の隣から一歩前に出て目に前のゴブリンを切り裂いた。それを見たゴブリンソルジャーがキュンちゃんを狙って攻撃してくる。しかし、キュンちゃんはすぐに光翼の後ろに戻り、その攻撃は光翼に跳ね返される。そのせいで体制が崩れていたゴブリンソルジャーを私が攻撃すると見事に攻撃が決まりそいつは倒れた。残りの1匹はやはり光翼防御に攻撃を弾かれ、動きが乱れたところをキュンちゃんが切り伏せた。
「噂には聞いていたが……凄い便利な能力だな。」
「本当に凄いです!」
確かに相手からしてみれば自分たちの攻撃は通らないのに敵の攻撃は通るなんて悪夢のようなものだろう。
それでも私は思う。2人に褒められたのは嬉しいが、凄いのはユリスの加護であって私ではない。私は今後、その辺を誤解しないようにしていかなければならないだろう。
「でも本当に凄いのはキュンちゃんだ、今の動きゴメスさん並、いやそれ以上じゃなかった?」
話題の矛先を自分から他に変えたくって、話題の転換を測った。事実キュンちゃんの剣技は見事であったため、それほど無理やり感はないはずだ。
すると2人は複雑そうな顔をした。
「……出来ちゃうんですよね。」
「そうだな、キュンちゃん、実践での技のキレは想像以上だ。間違いなく上級の冒険者としての実力がある。」
キュンちゃんの悲しそうな顔をみれば記憶が戻っていないことは確実であろう。夢のことも気が付いたことや分かったことなどなかったに違いない。唯一、分かったことは年齢に見合わない強力な武の実力のみ。
この微妙な空気をどうすべきか?などと考えていたら、困った顔をしていた2人が同時に顔をあげ、ダンジョンの前後をみる。
「ちっ、挟み撃ちだ。お前達は前をやれ。」
「はい!」
「ああ!」
(オークです。前から2匹、後ろは2匹、うち1匹はソルジャーです。1体1で相手ができますから先ほどの使い方は温存しましょう。)
(了解!)
「キュンちゃん!お互い1匹づつ加護無しで!」
「はい!任せてください!」
そう言ってお互いに1体1でオークと対峙した。
ズンバラリン!
キュンちゃん強い!ゴブリンソルジャーよりつよいオークまでも一撃で切って伏せた。
私はそんなことできないので攻撃を盾で受けてから剣を繰り出す。しかし、脂肪が分厚いためか致命傷にはならなかった。
攻撃を受けたことに激怒したのか、憤怒の顔をしたオークが武器を捨てて私にしがみ付いてきた。つまりオークは力くらべを挑んできたのだ。それに対して私は光翼防御は使わずに身体能力だけで力くらべに対抗した。
ギシ!ギシ!
お互いに真正面から頭をこすり合うような形で押し合う。相撲というよりラグビーのスクラムか?全身に力を込めて押し負けないようにして、歯を食いしばった。
……徐々に均衡が崩れてくる。
「グヒィィィィ!」
「おーしてだめでも押しやぶる!」
これも加護のお陰か、腕力が信じられないほど上がっていた。体格も筋肉も私より2まわりは上をいっているであろうオークを押す!押す!押す!そのままオークを壁に叩きつける。そして、その衝撃で動きを止めたオークにとどめを刺した。
「はあ、はあ、はあ。」
この2日だけで、身体能力が急激に上がっている。女神様の加護は”自分史上最高の状態かつ、鍛えただけアップ”だという加護なのだから、昨日より強くなっていることは理解できる。
しかしそれだけだろうか?この筋力アップは強すぎる気がする。正直オークに力くらべで勝てるとは思っていなかったので、この戦いの結末は想定外の結果だ。何か見落としがあるように思える。
そんなことを考えていたら、オークが消えた位置にコロンと落ちたドロップ……魔石に気が付いた。それを拾おうとして手を出す。
「「あっ!」」
同時に手を出してしまったらしい。キュンちゃんの手ごと魔石を掴んでしまった。
「「……」」
反射的に引っ込めれば良かったのに、何故か固まってしまう。お互いに動けなくなってしまった。こう、なんというか、先に動けないというか……
そのとき、2人の周りから不気味な光が放たれ出した。
(ケン!危な……)
ユリスの警告を聞く暇もなくその光に飲まれてしまう。そして光が消えるとキュンちゃんと一緒に見知らぬ空間に出ていた。そこは広く天井までもかなりの高さのある闘技場のような大きな空間であった。そしてそこには……
カチャン、カチャン、……チャキ!
そこにいたのは……全身甲冑に身を固め、翼を広げ、牙を向く竜を人の形にした者かが立っていた。
「あ、あれは!シシンのダンジョンマスターでありラスボスの……ドラグナイトです!!」
キュンちゃんが一気に言い放ったその言葉に、私は全身から汗が吹き出すのを感じた。
・・・・・
兄「ドラゴンチックなラスボスだね!」
妹「……デザイン……私。」
兄「うん、最高!」
読んでくれてありがとうございました(*^^*)




