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16話目です*\(^o^)/*

おはようございます(*^^*)

<今回はゴメス視点のお話です。>



ふ〜よく寝たぜ。


昨日は夕方からカールの練習に付き合ってやって、かなりいい汗をかいた。正直、練習するって聞いたときは少しびっくりしたもんだ。あのカールにしては珍しいことだったから。


カールの彼奴は仲間に恵まれず、ここのところくすぶっていたはずだが、昨日の奴の目は晴れやかな目をしていた。何かを吹っ切った者の目だ。


昨日の訓練のあとの会話が思い出される。


「あんがと、おやっさん。」

「いや、それより珍しくいい動きしてたぞ。」

「ああ、なんかね。いいんだ。なんていうか、”道”が見えたんだ。」

「ははは!”道”か。そりゃどんな道だ。」

「まだよくわかんね。でも、昨日までの、今朝までの俺には全く見えていなかったもんだ。」


ふん、いいツラをしている。今日は誰か新人の付添人をしていたはずだ。その新人の活気に当てられたか。


「で、その道を進むためにこれからどうするんだ?」

「まずはそうだなあ、明日からは、少し下に潜ってみるつもりさ。」

「そうか、今更だが気を抜くなよ。」

「お〜!じゃ。」


俺は後ろ姿を見送りながら奴の身を案じた。今更浮かれてヘボするような奴ではない。しかし、軽戦士は常に一撃死の危険を抱えている。まあ、訓練で使っていたあの技を実践でも使えるのならば大抵のことは何とかなるだろうが。


「……なた、あなた!」

「うおっ、すまない考え事をしていた。」


つい考え過ぎて妻が声をかけてきたことに気がつかなかった。


俺はここのところ、あまり金にならないギルドの仕事を手伝っていてダンジョンや依頼の仕事をあまり受けていない。おかげで実入りが減って家計が少し苦しくなってきているが妻は何も言わない。俺の心情をよくわかってくれているからだ。この歳になって妻がどれほど俺を支えてくれているかを実感した。身にしみる思いだ。すまんが、もう少しで踏ん切りがつく。もう少しだけ待っていてくれと心の中で詫びる。


「あなた、玄関に迎えに行ってくれる?」

「迎え?あいつが帰ってきたのか!」

「いいえ……キュンちゃんが会いにきているのよ。」

「キュンちゃんが?」


キュンちゃんはしばらくこの家で預かっていた少女だ。そのため私達は彼女のことをもう一人の娘だと思っている。


「やあ、キュンちゃん。おはよう。」

「おはようございまぁ……す。」

「……さあ、入って。」

「うん。」


どうも元気がない。

そして、後ろ手に剣を持っていた。これはギルドの練習用の剣だ。


「さあ、キュンちゃん。一緒に朝食でもどう?」

「ありがとうございまぁす!おばさんのご飯大好きです!」

「まあまあ!そう言ってくれるのはキュンちゃんだけよ。この人は全然反応無いしねぇ。」

「お、俺もいつもうまいと思っているぞ!」

「ほら!思っているだけじゃない。全然わかってないのよこの人は。」

「あはは!いただきまあす。」


少し納得いかないが、キュンちゃんに少し元気が出たみたいなのでまあよしとしよう。


しばらくは、なごやかな時間が流れた。そろそろキュンちゃんが何か言いたそうにしているので、言葉をかけることにする。


「今日は、どうしたんだい。」

「うん。……私、記憶がないでしょ。」

「ああ、そうだね。」

「……。」

「気にするなと言っても無理よねえ。でも、私達はあなたを本当の娘だと思っているのよ。寂しくなったらいつでも戻ってらっしゃい。」

「うん、おばさん、ありがとう。」


黙ってしまったキュンちゃんに妻が声を掛ける。妻の言葉は俺の気持ちと一緒だ。だが、キュンちゃんの反応が薄い。今日、わざわざ来てまで話したいことはそのことではないのか?


「あのね。気になる人がいるの。」

「ぬうぁんだとおおおおおおお!あてっ!」

「あなた!ここは黙ってて。」

「ス、スマン。」


どこのどいつだ!一体いつの間に俺の目を盗んでキュンちゃんをたぶらかしやがった!地獄を、あてっ!」


「物騒なこと考えてないで!言葉に出てるわよ!」

「お、おう。スマン。」

「あのね、夕べ、夢を見たの。その人と一緒になって戦っている自分の夢を。それで今朝、その夢で見た、その通りに剣を振ってみたの。そしたら、綺麗に振れたの。ねぇ、おじさん、見てくれる?」

「あ、ああ。」


庭に出て、その剣筋を見せてもらう。キュンちゃんは自分の身長ほどもある大剣をシュン、シュンと軽やかに操ってみせた。それはとても綺麗だった。それでいて無駄がなく、あくまでも実践的な剣筋だった。これは……


「モード・スーブレード。キュンちゃん、これは剣聖流の剣術だ。」


剣聖流はかつて、伝説の剣聖スーが天使から伝授されたという剣術だ。しかも太刀筋にブレがない。とてもじゃないが、見様見真似でできるようなシロモノではない。おそらく、記憶喪失になるまえに覚えたのだろう。


「キュンちゃん、その人は誰だい。その人の顔をキュンちゃん、覚えていたの?」


妻の問いかけに、キュンちゃんは首を横にブンブンと振った。


「ううん。昨日と一昨日に顔を見てるけど全然気にならなかったの。でも、夕べ夢で見た顔は彼の顔だった。だから今とっても気になるの。その人の名は……」


その名は最近聞いた。もう今頃はダンジョンに入っている時間か。


「おまえ、キュンちゃんの支度を頼めるか?」

「……あの娘のものを見てきますね。」


これだけでわかってくれる妻に本当に感謝だ。今度、いや、今日帰ってきてから、いや、今ここに戻ってきたらすぐに言葉で伝えよう、ありがとうと。


「……キュンちゃん、そいつは今ダンジョンにいるはずだ。少し危険だが、行くかい?」


キュンちゃんは、大きく頷いた。


読んでくれてありがとうございました(*^^*)

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