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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

血に染まる銀の生き物

作者: エネル

 どこかの研究施設。十人規模の兵士たちが闇に紛れて蠢いている。暗視ゴーグルを身に付けた兵士たちは研究施設に忍び込んだ


『ムーヴ(行け)』


 先頭で様子を窺っていた一人が後ろに並ぶ同僚たちに合図を送った。合図を受け取った兵士たちは頷き、音を立てずに走って移動する。監視カメラは事前に工作によって破壊してある。

 研究施設内は沈黙していた。普段なら稼働しているだろうパソコンや培養容器と管理機器等は電気が落ちていた。その時、別動隊から通信が入った。


『電気室を発見。電力を供給する』


 バチ・・・バチチ! ブン・・・ウィーン


 様々な音を鳴らしながら、沈黙していた機械が動き出していく。暗かった室内が明るくなり、兵士たちは暗視ゴーグルを外した。緑色の世界から赤色の世界に引きずり込まれる


『・・・どうやらこの施設を管理している兵士のようだな』


 同僚の一人が呟いた。自分たちの周囲には・・・


 首だけの死体や胴体だけの死体がゴロゴロ転がっており、その物体から溢れている赤色の液体まみれだった


      ***


 他の同僚たちが闇に飲み込まれて消えていく。俺は死体だらけの部屋で机に腰掛けていた。手にしているのは、政府極秘部隊に配給されるM16。改造が施されており、グレネードランチャーが発射できる。息を吐くとうっすら白い。この部屋は気温が低いのだろう、厚着をしているので解らないが・・・。


 俺は考えるのを止めて片手でバッグを漁った。中から簡易食料を取りだし、食らいつく。死体だらけの場所でよく食い物を食べれるものだと思うだろう。だが、もう慣れきっていた。戦場に一週間も居れば頭が吹き飛んだ死体を見ても断面から骨が突き出した死体を見ても何とも思わなくなった

 簡易食料を口に詰め込んで水で流す。味わって食べる気は更々ない。そんな事をしていれば死ぬのがオチだ。


    ・・・ォォォン


『何だ?』


 同僚たちが向かった方向とは真逆の方向から何かの遠吠えらしきものが聞こえてきた。同僚に通信をして移動すると伝えて通信を切る。


 音が聞こえてきた方向に進んでいく度に、さっきの変死体の数が増えていく。腹を喰われて二つに分裂した死体、下半身だけが残っている死体。歩く度にピチャピチャと液体が小さく跳ねる。ふと見ると、何かを引きずった跡がとある部屋に繋がっている。

 引きずった跡を追っていくと、広く白い部屋にたどり着いた。いや、白かった部屋だ。壁には鮮血が飛び散っており、白を赤に染めている。


 そして、ソイツは・・・その生き物はそこにいた


『・・・オン?』


 口元は黒い血に濡れ、銀色の身体が赤い鮮血に染まるソイツは



『オーン♪』



  嬉しそうに俺に擦り寄った


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