Web小説界隈の創作倫理について
こんばんは。網笠せいです。
ブランクはあるものの30年ほどWeb小説を書いてきて、個人Webサイトやさまざまな小説投稿サイトを渡り歩いてきました。
「小説家になろう」に投稿するようになったのは、一年ほど前でしょうか。
すごくたくさん読まれるわけではないけれど、小説家になろうの「お題で飛び込む新しい世界・戦記」で選んでいただいたり、「ゲーム化しませんか?」とお声がけいただいたり(お断りしてしまいましたが……)と、そこそこ気に入ってくれる方も多くて、とても励みになっています。
そんな私が最近「なんだかなぁ……」と眉をしかめているのが、「クリエイターの創作倫理問題」です。
短編ファンタジー部門の新作を見ていたところ、私の作品『エンドロール・サガ』に似た要素のある作品を見つけました。
『エンドロール・サガ』は全76話の長編ファンタジー作品です。
この作品の登場人物に、ローデリヒ・イジドール・ステファン・ロッシュ、通称ロイという登場人物がいます。
帝国陸軍中佐で近衛、容姿端麗、剣の腕はあまりないけれど、自分なりの正義感を持つ貴族の庶子で、孤児院で育ったという人物です。
たまたま読んだファンタジー短編作品の主人公が、このロイの設定によく似ていたのですね。
その短編の主人公は、名前が同じ(長い名前なので、その中の一部です)、近衛、容姿端麗、剣の腕はいまいち。
そして孤児院が物語の中に出てきます。
一つ一つの要素は、よくあるものでしょう。
でもこんなにいくつもの要素が被ることがある? と、不信感を持っています。
しかもその方、書籍化もされているクリエイターさんなんですよね……。
私は編集やWeb制作として、出版社やゲーム会社で仕事をしたことがあるのですが、著作権のチェックや、既存作品との共通点が多くなりすぎないように気をつけてきた立場です。
ですから、商業作品を書くような方が、その程度の創作倫理しか持ち合わせていないのか? と、大きなショックを受けました。
そのクリエイターさんが、私の作品を実際に読んだか、盗用したかはわかりません。
テンプレや王道展開、影響などもあるでしょう。
偶然の一致だってあります。
──けれどもやっぱり、そんなに要素が被ることなんてある?
過去にも何度か、似たようなことがありました。
度が過ぎるものは運営に通報してきたのですが、「文章が一致していない」ため、著作権侵害とは認められないと言われ続けています。
こういうことをされてしまうと、真面目に作品を作っている側としては、非常にモヤモヤします。
著作権法に抵触しないギリギリのところを狙って、くり返し嫌がらせをされているようなものです。
せめて参考資料として記載するとか、影響を受けたと名言してくれるなら、まだいい。
でも元になった作品を紹介するわけでもなく、こういう「二次創作的なことをする」のって、どうなんでしょう。
二次創作やファンアートなら、元になった作品がわかるように書いてあることがほとんどです。
リスペクトがあったり、作品への愛情があったりしますよね。
でも今回は、もしそのクリエイターさんが盗用していたとしたら、二次創作以下なのでは?
生成AIだって、情報の参照元を表示することがあるのに。
素人や書籍を個人販売している作家から盗用するプロ作家って、「どういったところがプロ」なんでしょう?
「一般人相手なら盗みたい放題」なんて思っているとしたら、一体プロとは、なんなのでしょうか?
プロでなくても、クリエイターならば、恥ずかしいことです。
現在生成AIについて様々な議論があり、忌避感が強くなってきているように見受けられますが、生成AIと同じようなことを、人間がしていませんか?
他人の経験を元に想像を膨らませて作品を書くこともあるでしょうが、直接見聞きしたものですか?
その相手との関係は、友人や家族ですか?
そうでないなら、取材をしていますか? 相手に許可をとっていますか?
それらが難しいなら、せめて参考資料への記載はしていますか?
対応していなければ、人間が書いていたとしても、生成AIとやっていることは大差ありません。
違法な機械学習をしているかどうかが生成AI問題の争点ですが、人間が違法な情報所得やモラルのない情報利用を元に作品を書いているなら、大差ありません。
オンラインで公開されていても、無料素材ではないのですから。
今までこういったことも小説作品の中でテーマや構造として表現してきましたが、さすがに度が過ぎるので、エッセイとして投稿しておきます。
こういう被害に遭うと、正直、書く気が失せます。
真っ当に制作しているクリエイターさんがいなくなれば、クリエイティブ自体、あるいはその場が縮小していってしまいます。
「小説家になろう」に投稿している方、それ以外でも、ぜひともクリエイターの創作倫理について、今一度、考えていただきたいです。
2026.5.13 網笠せい




