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覚悟

ダンジョンがある世界に俺は生まれた。別に、前世の記憶とかはない。


天才。


俺、野村悠誠(のむらゆうせい)は小さいころ、確かにそう思われていたし、思ってもいた。


「やっぱり、悠誠はすごいな~。」

「やっぱり天才ね!」


親からも期待されて、いずれ、ダンジョンを攻略する探索者として、日本で最強の存在になれると思っていたし、俺もなりたいと思っていた。


「最強」なんて肩書、かっこいいに決まってる。


そう思っていることも、両親と8歳の弟の野村誠一(のむらせいいち)は知っている。


探索者・ダンジョンのランクはE・D・C・B・A・Sの順で強くなる。15歳の人がCランクになると優秀。多少地域でズレはあるが....俺は15歳のときにはBランクの上の中。それくらいの実力だった。


俺の中学校の卒業式まで残り2日というとき、パーティーの仲間と一緒にDランクのダンジョンに行った。パーティーメンバーはぎりぎりDランク位の実力だからだ。


そんなダンジョンに入ってすぐ、


「イレギュラーだ!!!!」


俺たちはイレギュラーに出会った。イレギュラーはごくまれに現れる、ダンジョンのランク+2の強さのモンスター。つまり、Bランクのモンスター..のはずだ、見たことないが..。


少なくとも俺たちのパーティーメンバーじゃ勝てない相手。


「逃げろ逃げろ!!!」


パーティーメンバーが各自逃げていくのに、時間が止まった感じがした。緑色の肌。つやつやな唇。そして、


「$%%&$$$$&%%%#?」


今までのモンスターとは違う。不安そうな目と声。俺は




一目で恋に落ちた。


「ぁ...き、君は?ご、ゴブリン...?」


見た目は背の高いゴブリンだった。ただ、異様に人っぽさがある。


「$%%&$$$$&$&$%$&$#?」


敵意はないと剣を降ろして、両手を挙げて近づく。あっちからも襲って来ない。普通、モンスターは問答無用で襲い掛かってくるはずだ。


すると突然外に向かって走り出すその女性?


「ちょっ!どこに!!!」


急いで追いかける。モンスターはダンジョンのからは氾濫(スタンピード)のとき以外は出られないはず


だった。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!スタンピードだぁぁ!!」

「いやぁぁっ!!誰かぁぁ!!」

「まだこのダンジョンはDランクのはず!!」


ダンジョンの中のモンスターが一定の時間、あまり倒されていないとダンジョンは成長する。中のモンスターのランクが上がる。

Sランクの状態で放置されていると、成長する代わりに、中のモンスターがでてくるスタンピードが起こる。前例は2回ある。


「さっきまで世界9位のリュカがいただろ!」

「もういない!!さっき帰った!!」

「早く逃げろ!!!」


違う。中にいるモンスターが外に出てくる気配がしない。この女性だけだ。ただ、もし強い探索者が来たら、この女性は殺されるかもしれない。


急いで手を引いて、近くの山に逃げる。この女性を家に連れて行くわけにも行かない。


「とりあえずここにいて!」


身振り手振りで頑張って伝えると頷いてくれた。急いで家に帰ろうとすると、腕を握ってきて、顔に触れてきた。


「え?い、いや、ん、ん~~。」


キスをされると思って目を閉じる。やばい。こんなにドキドキするのか。


瞬間、痛みを感じる。目を開けると頬から血が流れていた。ここに来るまでに草で切ったのだろう。


「$%$%&$$%&$%$&$#!」


何を言ったのか。それを考える前に痛みが引いた。傷があった所を触ると、治っていた。


「ぁ...回復魔法?き、キスじゃない...恥ずかしい...」


顔が熱い。その顔を見られたくなくて走って家に向かう。あれだけ愛してくれた両親なら事情を分かってくれるかもしれない。当たる風が火照った顔を冷やしながら走った。


------------------------------------------------------------

家が見えた瞬間、俺は呼吸を忘れる。


「はい..悠誠です....」


「そうですか。モンスターを外に連れ出していたらしくですね..」


母が警察と話していた。急いで隠れる。山の奥の方と家までの往復に時間をかけすぎた。


「...モンスターを殺して..逮捕.....」


聞こえにくかったがそう警察が言った。確かに言った。母も頷いた。急いで山の奥に戻る。


その途中だった。


「モンスターはどこだ!!」

「そっちは!!」

「山の中か!!」


と言っている、銃をを持ったおじさんたちがいた。頭の中が真っ白になったが走った。


「うっ..!」


こけた。


「っ~~!!」


草で切った。


それでも走った。ここまで恋は人を動かせるのかと思いながら。風が冷たい。


「%%%&%$%#?」


戻ると、青いお守り?みたなものを持っている女性が心配そうに俺を見ている。かわいい。この顔を見るだけで頑張ってよかったと思える。


すると、急に覚悟を決めた顔をしてお守りを振る女性。かわいい。


「分かる?」


急に日本語を喋りだした。


「私。名前。ぺポリ。」


「しゃ、喋れたの?」


「これ。ちょっと。時間。翻訳。兄。くれた。」


お守りを大切そうに撫でるぺポリ。


「ぺポリ..ちゃんね。」


名前を呼ぼうとするも、ドキドキして言えずにちゃん付けをする。


「皆。殺意。お前。ない。私。お前。付いていく。」


どうやらついてきてくれるらしい。俺も、もう帰る場所はない。母が頷いたあの光景がよみがえる。逮捕されるのも、ぺポリが殺されるのも嫌だ。


「..えっとね。それじゃあ、おじいちゃんの家に行く。京都にあるから遠いけど。」


両親とケンカ中の祖父母の家に行けば匿ってくれるかもしれない。そう考えた。ぺポリも頷く。


「京都?」


「案内するよ!」


覚悟は決めた。もう戻らない。2人で生き抜いてやる。守ってくれなかった親なんかしったことか。


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