私の転生先のカレンダーの日数がなんだかおかしい。
なろうラジオ大賞用小説第一弾
「変だわ。この世界の一年の日数とプレイしてる時ステータス画面の片隅にあったカレンダーの日数が違う」
乙女ゲーム『虹色クロニクル』の世界に転生してた事を思い出し早一年。
今や五歳になった私は、転生させてくれた神様がくれたステータス画面などを、細かく確認してたのだが……日数が合わない。
本当にここが、私がかつてOLとして生きていた世界とは違う世界だとしたら、かつて生きてた世界の常識を基に作られたゲームとは違う常識があると思うけど。
一年=三百六十五日な世界で生きてた人間には違和感しか感じない。
というか私は本当に五歳でいいのかな。
えーと、確かこの世界における一年の日数は――。
『ユリン』
するとその時だった。
なんと私を転生させてくれた神様の声――男女どちらの声か分からない中性的な声が聞こえてきた。
『一つ、あなたに謝らねばならない事が』
「え、神様? 謝る?」
いきなりの出来事だったため私は思わず声に出してしまった。
周りに人がいなかったからよかったけど、もしいたら変な目で見られる。
この世界にも預言者という概念があるけど……それでも相手が本当に神様の声を受信したりしたのか疑う人もいるのである。
実際問題として、その辺は悪魔の証明みたいなヤツだからしょうがない。
というか、この世界の両親によれば、預言者詐欺なんてモノがこの世界にはあるらしいから、そんな目で見る人がいてもおかしくない。
『この世界は、あなたが知る乙女ゲーム「虹色クロニクル」の世界で間違いはないのですが、その世界観を忠実に再現すると、既存の宇宙法則に歪みが生じてしまうのです』
「…………え、つまりどういう事?」
『ですから、その歪みを正した上でこの世界を存続させるとしたら、太陽や月や、今あなたがいる、この世界の地球の自転や公転の速度を、ある程度いじらなければならないのです』
「な、なるほど」
だから日数が合わないんだ。
まぁ製作陣の中に学者とかがいるワケないから納得だわ。
『ですから、ご不便だと思いますが今のままの世界でお過ごしください』
「宇宙法則がそうなんじゃしょうがないわね」
なんだかスケールがデカくなったりしたけど。
第二の人生を歩めるんだから文句は言えない。
『ありがとうございます。ではいろいろあるでしょうが……お気をつけて』
「ん?」
なんか不穏な台詞を残して神様の声は消えた。
そしてこの時。
私は知らなかった。
神様が隠していた。
日数が違う本当の理由を。