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お前以外はダメなんだ  作者: 遠藤 敦子
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2

 いよいよ高校生活が始まる。晶匡は前の席にいた大越友哉(おおこしゆうや)と仲良くなった。「大塚」と「大越」で苗字が似ていることがきっかけではあったものの、友哉と仲良くなるのにそんなに時間はかからなかったのだ。

「なあ、尾崎が『あなたたちは高校入試に失敗したんだから〜』って入学式で言ってたけどさ、俺専願で日山に来たんだけど。あれマジで気分悪いよな」

休み時間に友哉がそう言ってきた。もちろん尾崎先生のいないところで。

「それは俺も思ったよ、入学式の日に言うことじゃないよなって」

晶匡もすかさず思ったことを話す。もはや晶匡と友哉にとって尾崎先生は共通の敵だ。

 昼休みになり、晶匡と友哉は一緒にご飯を食べていた。窓側に男子生徒がわらわらと集まっている。晶匡のクラスのB組だけでなく、A組にもだ。派手な見た目の男子生徒ばかりだったので普通科の生徒だろう。

 B組側に集まっている者は優香に注目していた。

「あー、あれが噂の優香ちゃんか」

「いたぞ、B組のマドンナ!」

集まっている男子生徒が優香について話しているのが聞こえる。優香と一緒にご飯を食べている女子2人は「なんなのこいつら……」と迷惑そうな様子だ。当の優香本人は自分が注目されていることに気づいていないのか、涼しい顔をしてご飯を食べていた。

 「A組にも男子が集まってるってことは可愛い子がそっちにもいるんだろうな。A組のことは知らないけどどんな子か気になる」

と友哉が言う。晶匡はA組に可愛い子がいるかどうかということにさして興味がなかったので、友哉とは温度差があった。

「なあ、A組にどんな可愛い子がいるか見に行かないか?」

友哉がそう持ちかけると、晶匡は

「いや、別に俺はいいわ。お前1人で見に行って来いよ」

と冗談めいた口調で返す。友哉はこっそりとA組へ見物しに行った。が、すでに普通科の男子生徒が集まっているので、あまり中の様子を見ることができなかったそう。友哉は落胆した様子でこう言った。

 「A組にどんな可愛い子がいるかなって見に行ったけど、普通科の奴らが集まりすぎてカオスだったわ……。ユキノちゃんがどうこうとか話してるのは聞こえたけど」

ユキノちゃん? それって片岡雪乃のことじゃないのか? 晶匡はすかさず雪乃のことを思い出した。もしかしたら片岡雪乃でない、他のユキノちゃんかもしれないけれど。

「待って、俺の小学校の同級生に片岡雪乃って奴いるわ。そいつらが言ってるのが片岡雪乃かどうかはわからんけど」

晶匡が雪乃について思い出したように話すと、友哉は興味津々だった。どんな子か。芸能人でいうと誰に似ているか。小学校時代はどんな性格だったか。友哉は晶匡にたくさん質問する。

「まあそれは見かけてからのお楽しみということで」

晶匡は笑いながら返した。

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