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お前以外はダメなんだ  作者: 遠藤 敦子
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 夏休みが始まったけれど、晶匡たちは夏期講習のため平日午前中だけ毎日学校に通っている。ある日、2年間無遅刻無欠席だった雪乃が珍しく学校を休んでいた。体調不良か、家庭の事情だろうか。晶匡はそんなことを考えながら授業を受ける。あいつ無理しすぎるところがあるからな。

 夏期講習を終え、晶匡は自転車で家に帰ろうとしていた。公園を通りかかったとき、日山学園高校の制服姿の女子生徒がベンチに座っているのを発見する。もしかして雪乃かと思ったが、やはり雪乃本人だった。晶匡は恐る恐る雪乃に近づく。なぜ恐る恐るかというと、雪乃は明らかにいつもと様子が違ったからだ。疲れている様子で、げっそりしている。眠れなかったのか、目にはクマもできていた。

 「大丈夫? 何かあった?」と、晶匡は雪乃の隣に座って尋ねる。

「もう会えなくなっちゃった……」

雪乃はそう言って晶匡に抱きつき、小さな子どものように声をあげて泣いた。親族が亡くなったという話は聞いていないので、晶匡は雪乃が誰と会えなくなったのか考える。もしかして村田岳かと聞きたかったけれど、聞けなかった。晶匡は雪乃の体を片腕で包み込み、頭をなでたり背中をさすったりする。もう何と声をかけたら良いかわからなかったのだ。

 雪乃が落ち着いたタイミングで、晶匡は改めて何があったのか聞いてみた。すると雪乃はTwitterでの岳とのやりとりを見せてくれる。岳が彼女とのツーショットを載せて「1年記念日!」と書き込んでいた。雪乃は岳に「おめでとうございます! 彼女さんとお幸せに!」と笑顔の絵文字付きで送っており、岳は雪乃に「ありがとう!」と返している。一見すると何も問題はない。

 「晶匡には言ってなかったと思うけど、私ずっと村田先輩のことが好きだったの。彼女いるってわかってても忘れられなかった。でも今日晶匡に話聞いてもらって吹っ切れたかも」

雪乃は笑いながら言った。やっぱり俺は、お前以外はダメなんだ。晶匡はそう言おうとするも、言葉が出てこない。俺じゃダメか、とか言ってみたいけれど、そんなことは恥ずかしくて言えなかった。しかし晶匡は、雪乃が辛いときにそばで支えられる存在になりたいと考える。


 翌日、雪乃はいつも通り夏期講習に来た。優香が開口一番に「昨日なんで休んだの? 心配したんだから」と言うと、雪乃は「まあちょっとね、いろいろあって。でも今は元気だよ、心配しないで」とおちゃらけた様子で返す。晶匡は昨日雪乃と会ったけれど、優香には言わないでおこうと決めた。

 夏期講習後、晶匡と友哉はファミリーレストランでドリンクバーとポテトを片手に盛り上がっている。

「で、雪乃に告白する話だけど、結局どうすんの?」

友哉が晶匡に聞く。晶匡の返事はこうだ。

「俺、雪乃が泣きたいときにそばで支えてあげられる男になりたいんだ。今は告白とかじゃなくて、支えてあげられたらそれで良いかな。告白するとしたら卒業式の日になると思う」

友哉は「お前らしいなそれ」と言って笑っていた。それから友哉と晶匡はお互いに帰路につく。

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