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首狩りの赤銅  作者: 星屑アート
プロローグ
8/11

7話

名前:フリードリヒ=スーザツ 種族:辿人族 性別:男 年齢:13


レベル:30 状態:正常


ステータス

【生命力】2500/2700


【持久力】2400/2700


【魔力量】2160/2760


【物理攻撃】2730


【物理防御】2700


【魔法攻撃】2700


【魔法防御】2700


【敏捷】2730



スキル:

通常:

【直剣術】Lv1【短剣術】Lv1【弓術】Lv1【解体術】Lv1【採取】Lv1【隠密】Lv1【気配探知】Lv1【暗視】Lv1 etc...


補償:

【???】


加護



称号

【???】【???】

 幼狼の頭を斬り落とした少年は剣を構えなおし、こちらに振り向く巨狼を見据える。幼狼は格上の相手ではあるが、少年は殺した一体に対して残心を行なうことも、残りの三体に目を向けることもしない。頭の中で鳴り響くレベル上昇の声が奇襲の成功を裏付け、その飛躍的なレベルの上昇が幼狼との上下関係が逆転させたことを感じ取っているのだ。

「(本当は二体同時に斬りたかったんだがな...。)」

 少年は絶好の奇襲のチャンスで最大限に得られなかったことを悔やむ。今後、幼狼に対する攻撃は警戒されて、奇襲を成功させるのは難しいだろう。それでも、粗末な折れた剣と素人に毛が生えた程度の剣術で格上の魔物を一撃で仕留めることができたのはまさしく奇跡であった。

「(第一段階は成功した。...ここからが本番だ。)」

 少年は巨狼を警戒しながら、近くで孤立している幼狼に斬りかかる。奇襲の成功で幼狼との力関係を逆転させることはできたが、巨狼との力関係は変わっておらず壁は高い。今後の戦闘を考えれば、幼狼の援護は少年にとって脅威となり得る。

「Gruaaaaaah!」

 子を立て続けに二体失った巨狼は怒りに咆哮を上げる。巨狼もまた深い哀しみを怒りに染め上げる。

 少年の奇襲に呆気に取られていた幼狼たちは、咆哮を聞くや否や母親の背後へと全力で駆け出す。少年は巨狼の咆哮に怯むことはなく、巨狼を警戒しながらも近くで孤立している幼狼に斬りかかる。

 しかし、少年はすぐさま眼前の幼狼への攻撃を諦める。巨狼が咆哮の轟音に紛れて、強力な魔法攻撃を仕掛けようとしているのだ。弱者をいたぶるためではなく、全力で仕留めるための魔法。威力も速度も桁違いな魔法を察知した瞬間、少年は魔法を発動する。

「(『空間転移』。)」

 攻撃の軌道を視てからでは間に合わないと直感した少年は、風魔法が放たれる直前に、()()()()()回避を行なう。

 少年の姿がまたしてもどこからともなく現れた廃材に一瞬で変わる。巨狼は廃材を視界に捉えた瞬間、口元に風魔法を準備したまま、素早く身を翻す。風魔法を習得している魔物特有の空気の流れを感知する能力が、並走する二体の幼狼の近くに人間が出現したのことを捉えたのだ。

 未だステータスは巨狼が優位とはいえ、巨体の方向転換にかかる時間を考慮すれば、巨狼に余裕はない。二体の幼狼の側の人間を射程に捉えると、子供たちに攻撃が当たらないように注意を払いながらすぐさま魔法を発射する。

「(『空間転移』。)」

 魔法攻撃を開始した瞬間、巨狼は孤立した幼狼の側に()()()()人間が現れたのを感じ取る。予備動作はなく、魔力消費もなく、再使用までの制限もない転移能力に対応しきれない。巨狼はまたしても少年との駆け引きに敗北したのだ。二体の幼狼のすぐ側が魔法攻撃によって衝撃音と土煙に包まれる。

「(これで二体。流石に一体目の時ほどレベルは上がらないか。)」

 巨狼の背後では既に少年が孤立した幼狼の首を斬り落としていた。巨狼は身体を震わせ、かつてないほどに隻眼を怒りで燃え上がらせながらも、少年の方へ向き直ることはない。土煙が晴れ、二体の幼狼の側に現れた人間の正体が明らかになる。魔法で斬り刻まれてしまったために判別は難しかったが、それは村で最も強かった男の死体だった。

「...Gruh。」

 巨狼は残った子供たちに向けて小さく唸る。苦渋の決断ではあるが、復讐を諦め撤退を決定する。巨狼はこれまでも格下相手に手痛い反撃を食らうことはあったが、これほどまで甚大な被害を受けたのは左目を失って以来のことだった。巨体で少年から子供たちを庇いつつ隻眼で常に幼狼を収めながら、廃村の外の森へと全力で退却を始める。

「(死んだ子供に見向きもしないとは、よほど警戒していると見える。だが、逃がさんぞ。貴様らの死をもって、この報復の応酬を終わらせる。俺の幸福な人生はその先にしかないのだから。)」

 少年はすぐさま魔物たちの後ろ姿を追いかける。その途端、巨狼の頭上に魔法攻撃の前兆を感知する。

「(早いな。俺の追撃は織り込み済みか。)」

 巨狼の頭上に現れたのは黄緑色に光る無数の魔法の矢だった。これまでの魔法と異なり目視が可能ではあるが、宙に浮かぶ矢の数は戦争の一斉掃射に匹敵するのではないかと思う程に多い。

「(だが、甘い。手札を一枚切ることにはなるが、その足止めは逆効果だ。)」

 少年は進路上の矢の群れに怯むことなく、魔物を追う。少年が走ると同時に矢の雨が降り始める。

 矢はこれまでの攻撃よりも遅く弱い。それでも、矢の一本一本が致命とは行かずとも重いダメージになることを少年は理解していた。

「(とはいえ、剣は限界に近い。そう何度も撃ち落とせないだろう。...ならば。)」

 少年は『空間転移』による足元の瓦礫や廃材との位置交換を使用しつつ、矢の雨を躱しながら魔物を追う。当然、魔物の魔力には限りはある。にもかかわらず、風の矢は放たれるとすぐさま巨狼の頭上に補充されており、雨が止む気配はない。

 巨狼による風の矢の足止めは功を奏し、いくら追えども少年と魔物の距離が縮まることはない。『空間転移』の魔法があるとはいえ、少年の身体捌きでは矢を避けきれず風の矢が少年の肌を裂く。

 少年と魔物の距離が縮まらないまま、森と村を区切る柵が見えてくる。巨狼は気を抜くことなく足止めを続ける。少年は矢の雨で傷だらけになるが、痛みによる委縮も追跡失敗への焦りもなかった。むしろ、久しく忘れていた怪我の痛みが、生と幸福な人生への渇望をますます強めていた。

「(...仕掛ける。)」


 少年は迫りくる矢を剣で撃ち落とす動作に入る。矢への対処は回避が主であったが、何度か剣を用いていた。ゆえに魔物は少年の剣を用いた矢への対処に違和感を覚えることはなかった。

「(『空間転移』。)」

 三度、巨狼は駆け引きに敗北する。巨狼は首元で傷口に触れられたかのような鈍い痛みを覚える。これまで少年が巨狼に攻撃を仕掛けてくることはなかったために、巨狼は首元の痛み(ダメージ)に気を取られる。

「(『()()()()』。)」

 そして、首の違和感に意識が向いた一瞬のうちに、目の前の子供たちが姿を消していた。巨狼は縋るような気持ちで身を翻す。数値(ステータス)から判断するに、まだ間に合うはずなのだ、助けられるはずなのだ。だが、巨狼には間に合わないという確信があった。間に合わない訳がない、間に合って欲しいと願いながら巨狼は背後を振り返る。

 無情にも巨狼は駆け引きに敗北し続けた結果を突き付けられる。隻眼が捉えたのは、無惨に宙を舞う最後の子供たちと、血に塗れた短剣を振るう悍ましい怪物だった。


名前:フリードリヒ=スーザツ 種族:辿人族 性別:男 年齢:13


レベル:50 状態:正常


ステータス

【生命力】1800/4500


【持久力】3000/4500


【魔力量】3000/4600


【物理攻撃】4550


【物理防御】4500


【魔法攻撃】4500


【魔法防御】24500


【敏捷】4550



スキル:

通常:

【直剣術】Lv2【短剣術】Lv1【弓術】Lv1【解体術】Lv1【採取】Lv1【隠密】Lv1【気配探知】Lv1【暗視】Lv1 etc...


補償:

【時空魔法】Lv2


加護



称号

【時空の化身】

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