第一話 子猫
私の名前は秋野寛人ただの社会人だった。そうあの日までは、、、
とある年の夏、私はいつものように仕事に出かけた。その日は特に暑い日であり
数秒歩くだけで汗が滝のようにでた。
「暑いことを除けば普通の日である」と
小説の筆者気分で一人つぶやく。
普段から私は日々面倒くさいことや
辛いことがあると小説風に独り言を言ってしまう癖があった。周りからは不思議な顔をよくされたがそんなことはお構いなしであった。
そんなことを想像しながらも仕事のために道を歩いていた。
信号が赤になり私は一人信号の前で止まった。暑さにやられ、夏の暑さから逃げるように目線を下にやる。
よく見れば足元には小さい子猫がいた。
「死んでいるのか?」と思った。
いつもなら、見ないふりをして通り過ぎただろう、しかしその日はなぜか、助けてあげようと思った。
私は子猫を持ち上げて、川の下まで歩いて行き、川辺の日陰に子猫を置いた。
持ち上げてみて分かったが子猫は冷たく
「あ、死んでるのか、」と改めて思った。日陰に置いたからといってどうなることもないが、「お互い暑いのは嫌だろう」。そんなことを思いながら子猫の前で手を合わせて、子猫の置いた川辺を後にした。
その日はずっと不思議な気持ちで
仕事がほとんど手につかなった。