5話 始まり
しばらくすると、インターホンが鳴った。
「お邪魔します。」
そう言うとユアは玄関に入って来た。
ユアを見て俺は心臓が止まるかと思った。
理由は、滅茶苦茶可愛かったから。
体形や身長はゲームの時と同じで、髪の毛と目は、ちょっと茶色っぽかった。
いわゆる一目惚れと言う奴だろうか。
さっきからどんどん心臓の鼓動がペースを増している。
ユアは俺の顔を見て、顔を真っ赤にしている。
「その…凄く恥ずかしいことを言って良いですか?」
「な、なんだ?」
「実は私、今ユウヤさんを見て、その・・・」
なんだ?幻滅されたか?
それだったらかなりショック。
「一目惚れしてしまったんです‼」
oh,GOD。
「実は俺も・・・一目惚れしたんだ。こういうのを運命って言うのかな?」
そういうと彼女は真っ赤な顔をして言った。
「ユウヤさん、私と・・・」
「待って。それは俺から言わせて。」
「ユア、好きだ。俺と付き合ってくれ。」
「は、はいぃ・・・嬉しすぎて死んじゃいそうです・・・」
俺は思ったことを言った。
「出会ってすぐ告るなんて・・・変かな?」
「いえ!とても嬉しいです。」
これは先のイベントをクリアしておくべきだな。
「親にメール送っておくか?」
「そうですね!」
そう言うとユアもメールを送り始めた。
親からの返事は、【よくやった。それでこそ俺の息子だ。ククク・・・計画通り。】とのこと。
本当にうちの親父、面白い性格してるな。
ユアにそれを見せると、恥ずかしながらもメッセージを見せてきた。
ユアの母親からだ。
【雄哉くん、うちの子をお願いね?なんなら襲ってもいいわよ?】
とのこと。・・・いや、襲わないぞ?
「じゃあ、ご飯出すからちょっと待っててくれ。」
「はい、有難うございます!VRMMO用の機械は…端に置いておきますね。」
「ああ、そこに置いておいてくれ。」
そんな事を話している間に料理が出来た。
「凄いですね!オムライスですか!」
「じゃあ、食べるか。」
「「いただきます。」」
ふむ。美味しく出来ているな。
「なんですかこれ!口の中でフワッと!フワッとしましたよ!」
「満足してくれたなら何よりだ。」
それからユアは無言で食べ続けた。
「ご馳走様でした!とても美味しかったです。」
「お粗末様でした。ユア、風呂は?」
「お風呂は入って来ました。今日はもうインしないで寝ようかと思っているんですが、
雄哉さんはお風呂に入りましたか?」
「ああ、入ったぞ。寝るなら俺の部屋を使ってくれ。俺はリビングで寝るよ。」
女の子をベッドに寝させるのは常識だよな。
「ダメです!・・・雄哉さんは私と寝るんですよ。」
「・・・いいのか?」
「はい、雄哉さんなら良いです。あ、自己紹介がまだでしたね。
私、由葵結愛《ゆうきゆあ》です。よろしくお願いしますね。ユウヤさん。」
「こちらこそ、よろしく。結愛。あ、俺も自己紹介しないとな。宝条雄哉《ほうじょうゆうや》だ。」
「雄哉さん、よろしくお願いします!」
さて、ベッドに着いたわけだが・・・
「結愛、そんなに緊張しなくてもいいんだぞ?別に襲ったりしないからな?」
「雄哉さんがそんなことをしないのは分かっているんですが・・・。
今更自分で言った言葉がとても恥ずかしい台詞ってことに気付いたんです。」
「大丈夫。結愛は恥ずかしいこと何も言ってないぞ?」
「そんなに優しいのは…ずるいです…。」
俺はベッドに入ると、結愛を手招きした。
「結愛~?来ていいぞ?」
「そっそれでは・・・失礼します。」
電気を消してしばらくすると、寝息が聞こえてきた。
疲れていたんだろうな・・・。
さて、俺も寝るか。
そう思った時、結愛が後ろから抱き付いて来た。
「なっ!?結愛!?」
「雄哉さん・・・大好きですよ。むにゃ・・・。」
吃驚した・・・。
寝言か。それにしても、めっちゃ可愛い。
夢の中に俺が出て来たのか。
嬉しいな。
「おやすみ。」
そして俺も深い眠りへ落ちて行った。
目を開けると、結愛がすやすやと眠っていた。
時計を見ると、もう7時だ。
夏休みだからいいけど、普通だったら完璧に寝坊だな。
俺は結愛の頭を撫でながら起こす。
「結愛~。朝だぞー。」
「うぅ…雄哉さん…おはようございますぅ。」
「よく眠れたか?」
「はいっ!とてもいい夢を見ました!」
「それは良かった。」
俺は結愛と一緒にリビングへ向かった。
「じゃあ、ちょっと座って待っていてくれ。」
「雄哉さん、ご飯作って貰っちゃって申し訳ないです。」
「いいんだよ。大人になったら結愛にも作って貰うから。」
やべ。今凄く恥ずかしいこと言った。
結愛の方を見ると、顔を真っ赤にして
「ふぇ?それって・・・。」
と言っている。
「聞かなかったことにしてくれるとありがたい。」
「ダメですっ。言質取りましたからねっ!」
何だこの可愛い生き物は。
そんな事を話している間に朝ごはんが完成する。
「出来たぞ。手抜きで申し訳ないけど、ロールパンとスクランブルエッグだ。」
「雄哉さん、そのロールパンどうやったらそんなに美味しそうになるんですか?
スーパーに売っている物ですよね?」
「これは焼き方に少し工夫があってだな・・・。まあ、話すと長くなるから、また今度話すよ。」
「じゃあ、食べましょうか。」
「そうだな。」
「「いただきます。」」
割とよく作れたと思う。
「結愛、どうだった?」
「とても美味しかったです!ご馳走様でした!」
「お粗末様。じゃあ、食器洗ったらFAやるか。」
「あ、食器は私が洗います。」
「いいのか?じゃあ、よろしく頼む。」
「はーい!」
結愛のフルダイブ用の装置もセットしておくか。
「終わりました!あ、準備有難うございます!」
「どういたしまして。じゃ、始めるか。」
俺が後になって思ったこと。「出会ってすぐ告るなんて・・・変か?」じゃねぇよ!変だよ!