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覇道ヶ一一歩

割とPV伸びないな……よし、テコ入れ回だ!


気を抜くと出番が無くなる系メインヒロイン天使希愛、久しぶりに登場。

 試験期間中という事もあるので高負荷をかけ筋肉量を増す鍛練は控え、代わりに筋肉操作の技量(ぎりょう)(みが)く鍛練を多めに行うとしよう。己一人であれば確実に赤点を避けるためにと今頃は試験勉強に時間を取られていたであろうが、不安の残っておった点を氏子の教えにより克服(こくふく)したので(うれ)いなく鍛練に集中できる。やはり頼れる友というのは素晴らしきものである。己も希愛にとって頼れる親友であらねばな。そのためにも日々鍛錬あるのみ。今日はまず姿見の前でボディビルでお馴染みポージングを行うとしよう。

 ポージングを甘く見てはならぬ。知っての通り、力こぶの名称でお馴染み上腕二頭筋に力を入れてみれば分かりやすいが、筋肉操作に慣れぬうちは力めばその箇所や周辺の筋肉が動いてしまいがちである。故に筋肉を美しくかつ(たくま)しく見せるための()せるポージングには高い筋肉操作の技量が必要不可欠となる。ボディビルはただ筋肉を膨らませるだけでは決して勝てぬスポーツであり総合芸術である。やはり筋肉は奥深い。

 己が一人姿見の前で筋肉の状態を確認せねばならぬ都合上背面が確認できぬのが難点だが致し方あるまい。姿見を二つ用意したとて背面の確認は難しく、また視線だけならまだしも首などを捻ればその動きはポージングの乱れとなり筋肉に現れてしまう。それでは正確な確認にならぬ。ここは正面、側面のポージングの確認で妥協(だきょう)せざるを得まい。


 まずはリラックスポーズ。姿勢自体は簡素(かんそ)ではあるがその名称とは裏腹に脱力しておるわけではない。正面を確認し終えれば右回りに左側面、確認はできぬが背面でも静止、右側面と四半回転を繰り返し正面に戻す。自画自賛ながらやはり美しき筋肉には心が(おど)る。

 リラックスポーズを終えれば規定ポーズに移る。まずはフロント・ダブルバイセップス。続いてフロント・ラットスプレッド。鍛練のために左右両側面でサイド・チェスト。やはり自力では確認できぬがバック・ダブルバイセップスにバック・ラットスプレッドも行う。サイド・トライセップスも無論左右両側面。締めはアブドミナルアンドサイ。

 これは鍛練であるので一周すれば終わりとはならぬ。筋肉の魅力に惑わされかけたが己の目的はボディビルではなく筋肉操作の技量向上。周回ごとに力加減を変え半ば無意識でも意図した通りに筋肉を操作できる領域を目指す。時に赤子(あかご)を抱くように優しく。時に仇敵(きゅうてき)を討つように荒々しく。同じポージングとて意識や力加減を変える事で全く異なる印象となる。やはり筋肉は奥深い。


 背面を自力で確認できぬので消化不良なところは否めぬが、少なくとも正面と両側面の筋肉に関しては意識した通りの箇所に意識した通りの加減で力を入れられておったのではなかろうか。集中しすぎておったのか思いの外時間が経っておるようで、うっすら汗もかいておる。さすがにワセリンのようにはいかぬが、これはこれで光を反射し輝く筋肉が自然と調和しておるようで美しい。

 ……サイド・チェスト。

 うむ、実に逞しき胸板である。外国人らしい豊満な肉体を誇る母上を一八センチも上回るトップバストサイズは伊達ではない。……アンダーバストサイズは三二センチも上回っておるのだが。くっ。己の遺伝子は仕事の方針を間違えてはおらぬだろうか。乳房の代わりに筋肉量が増しておるのであれば文句は無いが、ただ平たいだけであれば己とて女の端くれ。相応の不満も抱くというもの。

「ねえアシュ、物音が聞こえたけど何か――どういう状況?」

 どこか(いぶか)しむような希愛の言葉。今の己の状況など姿見の前でサイド・チェストのポージングをしておるだけで不自然な点は無いはずだが。しいて言えば筋肉の状態を正確に確認するために母上がどこからか調達してきたほぼ紐な姿で……なるほどうっすらとは言えポージングで汗をかいておる事への疑念か。それと物音はおそらく先ほど己が一瞬だけ不用意に力んでしまった際のものではなかろうか。つまり胸板が悪い。いや己の胸筋は良い仕上がりだが。

「とにかく汗を()いて服を着て。女同士でもこれは無いから」

 汗ではなく服装の方を気にしておったのか。幼少期には共に入浴もした仲だというのに、今更何を気にしておるのか。さすがに今となっては己の体格の問題で共に入浴はできぬが、気持ちの上であれば己は今もなお裸の付き合いくらいどうという事はない。

 そんな事を考えておるせいか、はたまた先ほどまで散々自分の肉体を観察しておったせいか。何にせよ無意識に希愛の全身を眺めてしまった。長年屋外に出るどころか窓にも近寄らず日に当たらぬ生活を送っておるためか発育は悪く、身長は一四〇センチ台半ばとかなり小柄である。小柄な者同士として氏子とは似合いの二人ではなかろうか。

 ついでに胸元のみ発育が良いという事はない。電子書籍の事も含め履歴は残さぬようにしておる希愛だが、豊胸に関して調べておる事を己は知っておる。体操やマッサージを実践する涙ぐましき努力も、その成果か己よりカップにして辛うじて二つ分も豊かになっておる事も、己は確かに知っておる。

 真似た己には何の成果も現れておらぬが。

「アシュ、何だか怖いからその目はやめて。あと早く服を着て。風邪引くよ?」

「何を馬鹿な事を。希愛よ、筋肉が病原菌に敗れるはずなかろう」

「ねえアシュ。もう初夏は過ぎているから、今は馬鹿こそ風邪を引く季節だからね?」

 はて、何の話だかまるで分からぬ。夏と馬鹿と風邪に何の関わりがあるのか。覚えておれば月曜日にでも氏子に聞いてみる事としよう。

ほれ現役女子高生のあられもない姿だぞ。

(ただし筋肉ゴリラである)

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