教師の無茶振り
仁は遅刻の罰として教師に呼び出される。
そこで言われたことは⁈
「ねえ君、私は何時に来いと言ったが覚えているか?」
「八時ですよね。」
「今何時?」
「八時四十分です。」
「おい、遅刻だろうが。」
俺は昨日言われた通り学校に八時に来ようと思った。まあ色々あって間に合わなかったのだが。
「遅れたのには一応理由が。」
「話してみろ。」
「昨日理事長と話した後…」
俺は昨日会ったことを全て話した。
まず泊まる場所がないことのでレイの家に泊めてもらおうとしたらレイの父親が過保護すぎて追い出されたこと。そのあと野宿をしてたら警察に職質されたこと。全く昨日は災難過ぎた。
「いやそれ理由にならないから。ん?待て
なんで野宿なんだ?貴族なはずだろ?」
完全に忘れてたー。そういやそんな設定あったな
「いや今親と少しもめてまして。家出を。」
「まあいい。君のクラスはD組だ。」
「ドラゴン級に強いのDですか?」
「ドロップのDだ。つまり落ちた物、落ちこぼれという意味だ。無属性にはぴったりだろう。」
こいつは俺を入学させたはいいもののまだやはり敵対しているようだ。
「まあいいですよ。何クラス構成ですか?」
「四クラス。君のクラスが最弱さ。」
なぜだろう最弱とか落ちこぼれとか無駄にかっこいいな。これもアニメの見過ぎだろうか。
「遅刻してすいませんでした。では。」
「ああ、それと敬語が使えるようになったようでよかったよ。」
当然だ。昨日レイに何度怒られたことか。
流石にあの厨二病に言われたら異常だと気づく。
ここが教室か。俺は転校生なわけだが、ここでは俺の黒歴史を知るやつはいない。よって人気者になれるってわけだ。うん、多分違うね。
ここは派手にかましてやるできだろう。
やってやる!
「よう、みんな。これから仲間になる神崎仁だ。
まあ俺は最強になる男なんでよろしくな。」
あれなんでクラスがいきなり静かに。
「神崎仁くんだね。君は僕の授業に遅刻したわけだが何か言い分は?」
教師が話しかけて来た。ん? そりゃそうか今八時四十分だったわ。
普通授業始まってるよな。そんな中一応転校生だからって事で途中から参加したけど遅刻したやつがいきなり最強宣言とか生意気すぎだろ。
「授業が終わったらすぐ来い。君の席はクラシスの隣だ。」
クラシスと言われても誰だかわかんないので教室を見回していると空いている席を一つ見つけた。
多分そこが俺の席だろう。
「あのクラシスさん、初めましてこれからよろしく。」
流石に異世界に来ても初対面相手だと少しきついな。
「初めましてじゃないんだけど。」
「え?」
そう言われるとこいつどこがで見たことあるな。
「お前レイに絡んで来た女か! 確か名前はサケだっけ。」
「サナよ! 失礼ね。」
「ていうかお前底辺クラスなの? あんな自信有り気だったのに?」
「うるさいわね。あなたこそ底辺じゃない。」
「おいうるさいんだけど。クラシスお前も授業終わったら来い。」
「え⁈ なんで私も⁈、あんたのせいだからね。」
「ざまあみろ。」
「何ですって!」
「すまん。つい本音がな。」
授業の内容はさっぱりわからん。
この世界について話しているのだろうがさっぱりわからん。なので隣でうろたえてるサナばかり見ていた。ていうかなんでそんなにうろたえているんだろう。
「なあサナなんでそんなにうろたえてるんだ?」
「あなた今からゼスティーに怒られるのよ。
なんでそんなに平然としていられるのよ。」
「ゼスティー?あの教師のことか?そんなに怖いのか?」
「怖いってもんじゃないわよ。前怒られたパクゾウなんて泣ながら帰って来て。何があったか聞いても話したら死ぬってばかりで。」
怖いのは伝わってくるんだけど。なんだよパクゾウって名前のセンス無さすぎだろ。
授業が終わった後の教室はいきなり騒がしくなり青春という感じがした。だが現実世界の時と同じく俺の周りには音がない。会話がないのだから当然か。だが現実世界との大きな違いは今俺はぼっちではない。隣で震えてる女の子がいるのだから。
「なあサナそろそろ怒られに行くぞ。」
「いやよ。なんで私が…」
「なら先に俺が行こうか?」
「そんなのもっといや。一人で怒られるなんて」
こいつやっぱ強がりなだけだ。
「さあ勇気を出して、行くぞ。」
「ゼスティー先生はいらっしゃいますか?」
職員室のドアを叩く。職員室なんか久しぶりだ。
先生は友達を作ればっか言うから避けてたからな。
「入れ。」
「「失礼します。」」
今度は挨拶ちゃんとできたぞ。仁君偉い!
「なあ何で呼ばれたのかはわかっていると思うがわざわざその場で怒らず呼び出したのには理由がある。少ししたら四クラス合同の競技会が開催されるのは知っているな。」
「知りません。」
「まあお前は知らなくて無理もないか。競技会というのは言わば実践試合だ。四クラス一人の代表を決めトーナメントで対決する。試合数は代表一人だけなため少ないが、とても白熱するイベントだ。」
ああ、ありがちだな。それでクラスの優劣が変わったりするやつだろ。そこで俺は実は実践向きだとわかり人気者になるやつだ。多分ないけど。
「そこでだ君達二人どちらか代表をやってみないかい?」
「是非やらせてください。」
俺は真っ先に名乗り出た。実践演習だから死ぬことはないだろうしそこで万が一一人でも倒せたら人気者になれるだろう。
「クラシス仁でいいか?」
「ぜひそうしてください。あんな流血しない年がないような危険なイベントやりたくもありません。」
ん?今なんて?なんなのこの世界は。
普通怪我人が出ない試合を開催するだろ。
なんで怪我人出るのが当たり前の試合を毎年開催してんだよ。分かったぞ、この教師誰も代表をやりたがらないから俺らに押し付けようとしてしているんだ。
「じゃあ仁って事で。ちなみに一試合目はB組の
ガナル=エスティアだ。」
「あのA組にも引けを取らないガナルですか?
本当に代表にならなくてよかった。」
え??はい?
「じゃあ頼んだぞ仁。」
「いやあの」
「もう申請しちゃったから。」
「おい!あんた何してくれてんだ!」
「「頑張って」」
最悪だゼスティーはもちろん、サナは自分に被害が出ないと思った途端に手のひら返し。本当に最悪だ。
「まあレイと同じクラスなんだし修行でも付き合って貰えば?」
裏切り者のくせにアドバイスか。
ん?レイと同じクラス?
「俺とレイは同じクラスなのか?」
「気づかなかったの?」
一つ気づいたことがある。
レイはぼっちすぎて存在感ゼロでした。