アカデミー入学試験
仁はアカデミーに入るため理事長のもとに行く。
しかし理事長は乗り気じゃなくて⁉︎
「ところで仁はなんの職業になりたいですか?」
「そんなの決まってる。もちろん冒険者だ。」
「ですよね。よかったです。」
ん? 待てよ今良かったですって言ったか?
それって俺と一緒に居られるのが嬉しいってことか? ついに俺にも春が来たんだな
「あの私アカデミーにあんまり友達いなくてこんなに仲良く喋ったの初めてで。」
「いやそこまで仲良く喋ってないと思うが。」
そういうことね、こいつもぼっちなんだ。
そりゃ勇者なんて名乗ってる痛い子友達ができるはずがない。
どっかの誰かさんも名前が神崎ってだけで自分は神だとか言って引かれたもんだ。
いや俺のことじゃないからね、ほんとだから!
「冒険者になるにはやはりアカデミーに入るのがいいですよ。途中編入も可能ですし。今からでも理事長のところに行きましょう。」
「そうかわかった。案外適当なんだな。」
「モンスターと戦って大体の生存率は五割を満たしませんからね。人数が欲しいのでしょう。」
「今なんて?」
「人数が欲しいのでしょう。」
「そこじゃねぇよ! なんだ生存率五割って半分死んでんじゃねえか!」
冒険者になると簡単に言ったはいいもののそんな生存率ならやる気なくなるな。もう商人とかになった方がマシな気がする。冒険者とかそこまでなりたいってわけじゃないし。
「まあでも大丈夫ですよ。何とかなりますよ。」
「その自信はどこから来てるんだ。お前そのうち赤ちゃんでも冒険者になれるとか言い出すんじゃねぇの」
「赤ちゃんが冒険者になれるわけないじゃないですか。」
「知ってるわ!」
結局文句ばっか言ってるうちに理事長室の前まで来てしまった。最初にカッコつけたせいで断りづらくなったじゃないか。
「失礼します。レイです。入ってもよろしいですか?」
「入りなさい。」
「失礼します。」
ドアを開けた先にいた理事長はひげを生やしてダンディーな感じな人だった。アニメとかでおじさまとか言われてそうな人。
「君は人の部屋に入るときに何も言わないのかい?」
「え?」
「仁、挨拶ですよ挨拶。」
やばい。ぼっちだったせいで失礼しますも言ってなかった。ぼっちは関係ないか。
「あ、すいません。失礼してます。」
「面白い子だね。で、要件は?」
「あの理事長ここにいる仁を編入させてもらいたいのですが。」
「属性は?」
「無属性です。」
なんか理事長の顔いきなり怖くなったんですけど。やめて、そんな目で見ないで!
「あのねぇ、私もモンスターを倒せる冒険者の数は多い方がいいと思うが、無属性を編入させるほど余裕はないよ。レイ君その意味わかるよね?」
「はい…」
多分理事長はレイが無属性なだけでもアカデミーとしては対応に困っているのにまた無属性を増やすのはめんどくさいと言いたいのだろう。
「なぁ理事長、無属性でも才能が開花することだってあるんだよな?なら別に入れてもらってもいいじゃないか。」
「君敬語も知らんのか。」
「すいません。」
またしてもぼっちのせいで無礼を。いやぼっちは関係ないか。
「そこまでいうなら入れてあげても良い。ただし試験は行ってもらう。」
「待ってください理事長。試験なんて通常行わないじゃないですか。」
「レイ君、君は無属性が普通だと思うのかい?
冒険者を目指さない一般人でさえなんらかの魔法属性を持っているんだ。冒険者なら二つ持ってて当たり前そんな世界なのだぞ。」
現実を改めて言われ落ち込んでいるレイを見るとなんだかこっちがイライラしてくる。
なんだこの理事長は正論すぎて逆にうざいわ。
あ、正論って認めちゃった。
「なぁ理事長。その試験受けてもいいぜ。」
「なら受けてもらおうか。敬語も使えない無属性くん。ルールは簡単実践演習だ。剣を使ったね。
さあ剣を出して。」
「すいません。」
「ん?」
「剣持ってません。」
「そのレベルなのか…私の剣を使いなさい。」
我ながら思う剣も持ってない冒険者は論外ではないかと。
「でもそしたら理事長の剣は?」
「私は素手でいい。それにハンデで一発でも私に当てられたら合格としよう。」
舐められたものだな。素手と剣が戦うとか結果はしれてる。
「では用意ができたか?」
「ああ、いつでもこい。」
「仁頑張ってね!」
「おうよ!」
美少女に応援されるなんて最高だな。
スパーン
ん?なんの音だ…痛い。やばい痛すぎるなんだこれ。なんか気持ち悪い。どうして…
「君大口叩く割りに弱いな。腹を殴っただけじゃないか。」
いやいや腹を殴ってスパーンってなんだよ。
なんで素手でスパーンなんだ。
やば吐きそう。ていうかレイがすごい心配そうな目で見てる。カッコつけといてこれはない。
「ほら行くぞ。」
「ちょっとタンマ。」
また激痛が体を走る。今度はどこを殴られたんだ。多分背中か。やばい立てない…
「だから無属性は嫌いなのだ。幻想を抱いて結局何にもできない。君がいい例だ。」
「うるせぇよ。まだ始まったばかりだろ。」
大口を叩いて見たものの何かないのか。
逆転できる何かわ。このままでは入学できない。ん? 入学?。
「では行くぞ。」
「おい少し待てよ。俺がなんでこんな時期に入学してくると思う。普通冒険者目指してんならもっと早くに入学するよなぁ。」
「それはそうだな。なぜだ?」
「簡単さ。俺は貴族なんだ。幼少期は親に甘やかされて育った。でも年齢が年齢なんで冒険者を目指すことにしたんだ。言いたいことわかる?」
「脅しているのか?」
乗ってきた。このまま押し切ってやる。
「いいや違うさ。交渉だ。俺を入学させてくれたらあんたのことを最高の先生と親に紹介してやる。褒美ももらえるかもな。」
「は、本当か⁉︎」
なんか大人ってこんなに金に汚いのか。
まあこんな嘘をついてる俺が言うことではない。
「入学させてくれるか?」
「わ、わかった。」
「ありがとう。」
「仁大丈夫ですか?」
「何とかな。」
「仁が貴族だなんて驚きました。」
「あれは嘘だよ。とっさにな。」
「え⁉︎」
まあ異世界に来たばかりの俺にとってそんな親いるもんか。でもあいつは騙されてくれたからまあいいか。
「おい待て。」
なんで理事長がここにいるの⁉︎さっきの話聞かれてたか?どうしよう。
「何家のものなのだ?」
理事長はどこまでもお金大好きさんでした。
「神崎家のものです。」
「聞いたことないな。」
「最近力をつけ始めたもので。」
「まあいい。明日から学校だから遅刻してくるなよ。クラスは明日発表する。」
「ああ。」
「後敬語な。」
「はい…」
これからあいつの前では貴族を演じなくてはならないのか。めんどくさ