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第7話 魔法学校の試験内容

 俺達は無事にアシュガルド魔法学校に着いた。


 なんでもセバスチャンは試験が終わるまで待っていてくれるらしい。


 いやいや。俺達は絶対に受かるつもりでいるんだ。


 にしてもでかい壁だな。門外不出って感じだな。なんとも言えない感じがする。


 それに遠くからでも分かるのだが部外者が入れないように結界が張られているな。これは。


「おい! 貴様!」


 なによりも驚いたのだがこれで結界を張ったつもりなのだろうか。なんとも幼稚な結界だな。


「おい! って言っているだろうが! この! 平民風情が!」


 うん? 皮肉にも平民風情で反応してしまった。いかん。めんどくさい未来が見える。


「なんだ? そのオーラは?」


 ほう。こいつには見えるのか。俺のオーラが。なら……とことん見せてやろう。これが……俺のオーラだ。


「うん? はぁ!?」


 そうだ。そうだ。もっと驚いてもいいんだぞ。入学早々に舐められたい者なんていないだろうからな。


「はは! こ、こいつ! 烙印光じゃないか!」


 な、なんということだ。こいつの魔力感知はたかが知れていたのか。く。衰退が激しくないか。魔法レベルの。と言うか。忘れていた。


「え? 烙印光だって? なんでそんな奴が魔法学校に――」


「烙印光って確か処罰の対象になるんだよね? やだ。怖い」


 ぐ。よりによって烙印光を知っている奴がいるとはな。そんなにでかい声で言われると実に動き辛いな。


「そうだぜ! 皆! 俺様ことギード様が言うんだから間違いねぇ! こいつは間違いなく烙印光だぜ!」


 ぐふ。そこまで見抜かれたらやり辛い。俺の学校生活にいきなりの支障が。く。どうすれば――


「ちょっ――」


「んぐ!? んぐぐぐぐ!?」


「え?」


 なんだ? なんだ? 俺の前にアスティが現れたと思ったらギードとかいう奴が急に口を塞ぎ始めたぞ。思わずアスティが謎めいた。


「こっち」


 うお。急にだれかの白い手が俺の手首を掴んで引っ張っていった。見た感じは幽霊ではなさそうだ。


「き、君は?」


 声からして女の子のようだが――


 は! もしかして彼女が俺を助けてくれた? ということはギードに掛かった魔法は彼女のせいか。一体。彼女は何者なんだろうか。


「おっと」


 白い手は俺の手首を離し急に立ち止まった。立ち止まった衝撃で俺が言ってしまった。とそれよりも――


「あ、有難う! それで……君の名は?」


 うん? 訊いても答えてくれない。一体。何者なんだ。彼女は。あ。もしかして先に名乗った方がいいのか。ここは。


「あ。ごめん。俺の名はアレス。……君の名は?」


 これなら答えてくれるかな。もしこれで答えてくれなくても俺にはこの子に恩義がある。どうにかして返さないとな。


「私の名は……セシリー」


 そうか。セシリーか。ならここは――


「アレス!」


 うん? この声は――


 アスティか。俺はセシリーのことを忘れて振り返った。するとアスティの後ろにはセルフィがいた。


「あ! 丁度よかった。二人とも。あれは実はここにいる――」


 うん? いない? 二人に紹介しようとしたらセシリーがいなくなっていた。あ。しまった。


「さっきの子? それならどっかに行ったみたい」


 アスティ。気付いていたのなら止めてくれよ。これじゃあ近付き難いじゃないか。だがこの恩義はいずれ返さないとな。


「二人とも。それよりもそろそろ試験の時間だ。登録しないと」


 セルフィが警告してきた。これは急がないとな。折角の試験を見逃すなんて馬鹿のすることだからな。



 俺達は無事に試験に登録した。


 そして試験官の話を聴くとどうやら俺は中等扱いのようだ。まぁ。平民だしな。


 つまり全ての試験で平均点以上は出さないと駄目だと言うことだ。


 俺の友である二人は心配そうな表情をしていた。だが今回の俺は一味違う。それを証明しよう。今日は。


 どうやら貴族である二人は高等扱いのようだ。ここは一旦離れ離れのようだ。


 なんでも訊いた話によると下等は奴隷が成り上がってくるらしい。なんだか。捨てたもんじゃないな。この未来も。


 だが奴隷でのしあがるには全ての試験で高得点を出さないと駄目らしい。


 しかものしあがったとしても過酷ないじめに遭うのだとか。なんともいつの時代もいじめがあるんだな。悲しいことに。


 だが俺もその対象になっても可笑しくなかった。なぜならさっきの俺のオーラが見えるギードとかいう奴もいる。


 気を付けなければ――


「では! 中等生の皆様! そろそろ試験が始まります! こちらの部屋に移動して下さい!」


 お? 呼ばれたな。まず最初はなんの試験なんだ? 筆記か。実技か。それとも実戦か。とはいえ行かないことには始まらない。


 へぇ~。こいつらが中等生か。俺は適当に空いている席に座った。うん? あ。あの子は――


 俺が大人しく座って見渡すとギードから俺を救ってくれたセシリーが静かに座っていた。どうやら俺に気付いてはいないようだ。


 そうか。セシリーも中等生なのか。これは。仲良くしないとな。同じランクの仲間同士な。


 おっと。ここで試験官が入ってきたぞ。試験官は教壇に立つと俺達を見渡した。この感じからしてまずは筆記からだな。これは。


「えーと。まずは筆記試験からだ。いいか。お前達は平民だ。勉学ができるかの確認をこれから行う。尚。脱落したい者は申し出よ。以上だ」


 ふん。脱落なんてだれがするか。この俺は筆記だけは一番だったんだ。これだけは負けられない。たとえ恩義のあるセシリーが相手でもな。


「では……試験。開始!」


 試験官が言い放った。その頃には別の試験官が答案用紙を配っていた。どうやら下っ端のようだ。とそれよりもどれどれ……と――


 ふむふむ。答案用紙には別格として異色の難問がない。これは……いけるぞ。ふはは。この俺ではこの問題は塞き止めれん。これは勝ったも同然だ。


 その後も俺は詰まることを知らずに問題を解きまくった。それはもう逆に簡単過ぎて集中してしまう程だ。だが余りにも簡単なのですぐに終わった。


 あー。暇だ。時間が過ぎる度に脱落者が出ている。だがセシリーはなんと二番目に筆記を終えていた。ちなみに一番はこの俺だ。正しく全問正解だろうな。



「そこまでだ! 今すぐに書くのをやめ給え!」


 俺が呑気にしていると教壇に立っている試験官が言い放った。あれから三十分を過ぎただろうか。なんとも短いような長いような時間だった。


「よろしい。では点数が悪い順から渡していく。だからしばらく待つように」


 ほう。どうやら採点が始まるようだ。これは実に楽しみだな。まぁ。言われるまでもなく。俺はこのランクでは一位だろうがな。フフン。


「では次! セシリー!」


 な、なんだと? セシリーが二番目だと? そんなに凄い平民だったのか。セシリーは。これは注目株だな。絶対に。


「では次! うむ? うむむ? な、なんだ? こ、これは?」


 なんだ? なんだ? 次は間違いなく俺だろう。なのに俺の答案用紙を見ながらどうして止まったんだ。……は! まさか。全問正解がそんなに珍しいのか!


「す、素晴らしいぞ。そ、その。アレス君。全問正解だ。奇跡だ」


 と次の瞬間――


 俺とセシリー以外は驚きの声を出していた。できればセシリーも驚いてほしかった。だがこの程度の問題では驚かないだろう。ということは――


 いや。待て。セシリーも転生者と捉えるのはまだ早過ぎる。それになによりも転生魔法は俺位のレベルじゃないと無理な筈だ。考えるのはやめて置こう。


「おほん! 静粛に! たかが平民であることを忘れるな!」


 ということは上等生はもっと難しいということか。ふん。なら俺もそっちの方がよかったかもな。あ。だがセシリーと出会えたのは嬉しいか。俺としては。


 悔しいが俺達は平民上がりの分際だ。そもそも上がりにしても貴族と一緒にはされないだろう。はぁ~。なんという不幸だ。早くここから抜け出したい。


「では。今度は実技試験です。準備はいいですか。中等生の皆さん」


 そうか。次は実技の時間か。丁度いい。今の出せる力を調べたかったところだ。では……そろそろ試験場に向かうとするか。セシリーを誘って。

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