第6話 魔法学校への招待状
遂にだ。遂にきた。
お母さんによれば紛れもなく魔法学校からの招待状らしい。
俺は早速のところで台所の椅子に座り内容を読んでみた。
すると貴方はゼアス様の推薦により試験を受けることが出来ますと書かれていた。
「ゼアス様」
思わず声に出した。もうそれくらいに感動したのだ。
これはゼアス様の為にも試験を無事に終わらせないといけないな。
よし。早速。行く為の準備だ。えーと。この手紙は保証書にもなっているから盗まれないようにしないとな。
俺はそう思うとさっさと自分の部屋に戻った。
この時にはお母さんが側にいた。お母さんは感無量と言った感じだ。
だが俺はそんなお母さんを無視していた。
もうすぐになったらお別れだと言うのに俺は薄情な奴だな。
と思いつつも自分の部屋に入るとさっさと用意していたアタッシュケースの元に行った。
アタッシュケースは机の上に置いてありいつでも物が入れられる状態だった。
というか。
もう既にベッドの上には衣類が畳まれていた。
これは全て俺がしたことだ。
でないとあっちでは生活ができないからな。
そもそもあっちでは寮生活になる訳だから必要最低限は持っていかないと駄目だろう。
さてと。
後は入れるだけだ。
俺は鼻で歌いながら衣類をどんどんアタッシュケースの中に入れ始めた。
これ程までにこっちにきて嬉しいことなんてなかった。
今が猛烈に嬉しいのだ。俺は。
あっちでは散々な目に遭っていたからな。こっちでは楽しい学校生活を送りたい。是非とも。
そうこうしている内に俺は全ての衣類と道具をアタッシュケースに入れた。
ふふ。これでよし。あとは――
「アレス? アスティ様とセルフィ様が迎えにきたわよ~?」
お? 丁度よい感覚だ。
あれから一度も会っていない。だが……捨てられても友は友か。ここは一緒に向かおう。魔法学校に。
「うん! 分かった! ちょっと! 待ってて!」
俺がそう言うとさっさとアタッシュケースを閉めた。ちょっと乱雑に閉めたので音が鳴った。
とこうしている場合じゃない。
俺は慌ててアタッシュケースを右手に持ち一階に移動した。そしてすぐに玄関に向かった。
「あ! アレス!」
気付けば凄くにこやかなアスティの姿があった。あの時以来か。元気そうだな。にしても――
「アスティ様。セルフィ様は?」
俺は慣れない。この言葉遣いに。実にぎこちないだろう。
「ちょっと! アレス! その呼び方はやめようよ! 仮にも私達は幼馴染だよ?」
あ。それは凄く助かる。ならこれからは――
「わ、分かった。これからは呼び捨てで行こう。いいか」
アスティは俺の味方でもあってくれている。なんだか。居心地がいい。
「うん。その位がアレスらしい」
うへ? 転生する前の俺はどんなアレスだったんだ? 逆に訊きたい。
「ふん。俺は認めないからな。貴様はもう対等ではない。だがあの時からなにかが変わったようだ」
相変わらずだな。セルフィは。ふん。返って逆に俺はお前のことを呼び捨てにしてやるよ。絶対にな。
「俺は俺さ。それよりも……二人ともここはさっさと向かおう。魔法学校に」
俺にとってこれは第二の人生だ。もう誰にも俺のことを馬鹿にさせない。そうだ。俺は……世界最強の魔法師になるんだ。
「そうね。今回はセバスチャンが送ってくれるわ。あの馬車でね」
おお! 馬車か! 貴族の証だな! こんな名折れ平民を運んでくれるなんてなんていい貴族なんだ。
「平民に成り下がった貴様には不釣合いだがな。ここはアスティに感謝するんだな。アレス」
はいはい。感謝しますよ。二人にはね。どんなに言われても二人からは愛情を感じるよ。俺は。
「アレス! 行ってらっしゃい! 立派になって帰ってくるのよ? 分かった?」
お母さん。
「お母さんこそ……どうか無事で生きててくれよ? 頼むから」
絶対に守りに護ってください。ゼアス様。後は頼みますから。
「フン。私を誰の妻だと思っているの? さぁ。行きなさい。アレス」
お母さんに言われて俺は深く頷いた。
お母さんから幼馴染の二人に視線を移した。
アスティとセルフィは外で待っていてくれた。
ああ。これからが本番なんだ。俺。頑張るよ。頑張って……世界最強の魔法師になる。
こうして俺はお母さんと軽い会話を交わした後にセバスチャンが操る馬車に入り込んだのだった。
これから向かう先で俺はきっと白い目で見られるのだろう。
だが俺はそんなことでは負けない。だってこんなにも応援してくれる人達がいるから。