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第4話 ライバルとの決闘

 セルフィと決闘をすることになって中庭に案内された。


 確かにここなら広くて遮る物もない。思いっきり戦えるぞ。


 肝心のアスティを無視してここにきたからな。あとで謝らないとな。


「いいかい。英雄光かなんか知らないけれど俺は勝つよ」


「ううん? 知っているのか。俺が……英雄光だって」


「君はどこまで俺を侮辱すれば気が済むんだ。まぁ。いい。さぁ! 魔力剣をお互いに出そう!」


「ああ。魔力剣だな。分かった」


 魔力剣。その名のとおりに魔力で構築された剣だ。


 お互いに距離を取り合い魔力剣を瞬時に出現させた。


 うほ。流石は英雄光だ。こんなにもすんなりと出せるとはな。


 それどころか。まだまだ魔力剣を改造できそうだな。


 後で色々と魔細工強化してみるか。うん。だからさっさと終わらせよう。


「君という奴は……どこを見ている! 俺を舐めるな!」


 別に舐めてはいない。……うん? セルフィの魔力剣は細いな。速度重視か。


 うん? おっと。意外に素早いな。これは身体強化でもしたか。一気に詰め寄ってくる。


 悪いがさっさと終わらせたいんだ。こんなところで道草をしている場合じゃない。


 今の俺ならできる筈だ。身技【八艘跳び】


「な!?」


 悪いな。真っ向勝負をしなくて。この八艘跳びで俺は今セルフィの後ろにいる。


「ぐ。舐めるなぁああ!」


 後ろをあっさりと取られて間に合うのか。なら試してやろう。剣技【速攻斬り】


「やるな! この速度に付いてこれるなんて」


 セルフィは俺の無属性斬りに対して竜巻を身に纏わせ防いだ。なるほど。風の使い手か。


「あっさりと終わると思ったら大違いだ! いくぞ! アレス!」


 セルフィは振り向くとそう言い残した。……うん? この感じは……くる。魔素がセルフィの元に集まっている。


 こ、これは――


 見事なまでに緑のオーラだ。まさに風に愛された男のオーラだ。だが――


「遅い!」


 俺を仕留めるには余りにも集約するのに時間が掛かりすぎだ。走る余裕がある。だが――


 セルフィは俺の知る限り伝説の精霊に好かれても可笑しくないくらいの実力の持ち主だ。面白い。こっちも全力で行こう。


 身技【身体強化】+風技【追い風の加護】


 これで今の俺は爆速だ。このまま体当たりをしてもいいくらいだ。だが今回は剣での決闘だ。油断はできない。


「まだだ! まだ終わらせない!」


 セルフィの意地か。うん。これは――


 おほ。流石は風の使い手だ。宙に浮き始めた。このままだと跳んでも届かない。ならば――


 剣技【斬り刃】


 走っても跳んでも届かないのなら剣を振った時に出る衝撃波を食らわせるまでだ。これなら当たる。


「な!?」


 セルフィは俺の出した衝撃波を見事なまでに弾き飛ばした。三発の衝撃波だと舐めすぎたか。


「なにを驚いている? 俺はお前に……失望したぞぉお!」


 く。本気を出すしかないのか。これ以上に本気を出したら変な騒ぎになりかねない。どうする?


「これでも……喰らえぇえ!」


 まさか。あいつ。秘奥義【イカロスの翼】を発動したのか! しかもそれ+羽技【フェザーレイン】までも!?


 これは……とんでもないライバルがいたもんだな。ふはは。


「アレス! 逃げて!」


 うん? この声は……アスティか。生憎だがな。俺は逃げる気もしない。さっきまでいなかったのだがアスティめ。心配できたな。


「アスティ! 俺はもう! 逃げない!」


 こい! セルフィ! 俺が全て受け止めてやる! 秘奥義【英雄光の加護】+魔法技【魔素変換】+罠技【自動反撃】


 英雄光の加護は一種のバリアみたいな物だ。そして魔素変換は相手のフェザーを全て魔素に変換する。最後の自動反撃は複数の誘導光線が放たれる。


 さっき言ったとおりに全てのフェザーはバリアに刺さり瞬時に魔素変換されると今度は自動反撃が発動した。複数の誘導光線がセルフィを襲う。


「ぐぬ!?」


 それもそうだろうな。今回は三連撃ではないのだからな。最大でも六発の誘導光線がセルフィに襲い掛かった。しかも防げても貫通するように調整した。


「降参しろ! すれば消してやる!」


 俺が吠えた。ギリギリだが打ち消せる。とはいえ瞬間的なのでかなりの技量がいるがな。


「ほざけ! これくらいのことで!」


 うん。見事なまでの男気だ。ならばそれに免じてここは見逃してあげよう。さぁ。セルフィ! 男の意地を見せるんだ!


「うおおおおおお!」


 うん。見事なまでの雄叫びだ。……うん。当たって爆散しているところを見れば避けなかったようだな。ということは――


「ぐ」


 ほう。気を失ったか。落ちてくるな。まるで堕天使のようだ。うん。ここはライバルとして迎え入れよう。最大のな。


「ああ。セルフィ!」


 アスティの声だ。と今はそれどころではないな。重力技【フェザーフォール】


 うん。これでセルフィはフェザーのように落ちてくるだろう。セルフィはゆっくりと地面に落ちた。気を失っているようだ。


 にしてもこの感じからしてセルフィは最後の最後に竜巻を身に纏わせて防いだようだな。致命傷は起きなかったようだ。よかった。


 俺がセルフィの近くで立ち止まるとアスティは俺よりもセルフィに近付いた。そして膝枕をしている。うん。やりすぎたかな。ちょっと反省しよう。


「その……なんだ。すまない。やりすぎた」


「ううん。よかった。本当によかった」


 今にもアスティは泣きそうだった。余程。心配したのだろう。とそれよりも……だ。いちよう勝ったのだからもう言ってもいい筈だよな。


「なぁ? これで本当に推薦状が貰えるのか」


 その。なんだ。セルフィは気を失っているようだが――


「私が責任を持つわ。後でセルフィには伝えておくから」


 うーん。なんだか。い辛い雰囲気だな。仕方がない。ここは潔く去るか。


「そうか。……んじゃあな。アスティ……様」


 そう言って俺がこの場を去ろうとアスティに背中を向けた。次の瞬間――


「あ! 待って! アレス!」


 うん? なんだ? 一体。そう思いながらも俺は静かに立ち止まった。振り返らずに。


「貴方。本当にアレスなの?」


 うん。本当は別人だ。だがここは嘘を付かせて貰おうか。


「俺は俺だ。誰以外でもない。んじゃあ」


 まるで決め台詞のような言葉を吐いた俺はまた静かに歩を進め始めた。


 ここで本当のことを言ってしまえば逆にどうなるかが分からない。だから俺はしばらくの間は黙っていようと思った。

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