無能な魔法師の転生魔法
「悪いがオルギス。ろくにオーラも発現しない奴を受け入れる訳にはいかない。他を当たってくれ」
そう。言われ続けてもう何年が経った?
オルギスこと俺は未だにぼっちのままだ。
はぁ。もう……この際だ。だれでも言いなんていわない。こうなったら……俺は――
「転生してやる」
この時の俺はだれかを睨むように言っていた。
何度も俺以外の人間を呪ったことか。
だれも……俺の努力なんて見てくれない。
唯一の味方である家族すらも俺のせいでバラバラになった。
母さん。ごめん。
「俺……転生するよ」
生憎だが俺は転生魔法だけは自信がある。
もし転生に成功したら俺は超ど級の天才少年になろうと思う。それも……英雄光のな。
この世界では未だに魔王が暗躍している。すなわち俺が英雄光になって世界を救うのだ。
ぐふ。ああ。なんて世界は素晴らしいのだろう。こんなにも禁術に近い転生が使えるなんてな。
んじゃさっさとここからおさらばだ。既に転生魔法を行えそうな場所は知っている。
「さようなら。皆」
俺は最後にそう言い残して移動魔法を唱えた。行く当ては……ただ一つだけだ。
そう。いや。分からないか。今……俺がどこにいるかなんて。
そうだな。周りに建物が一つもない。もしここで転生しようものなら本当にだれにも悟られないだろう。
だからこそに俺はここを選んだんだ。ここなら俺の構築した魔法陣を発動させても大丈夫な筈だ。
それじゃあ準備運動することなくさっさと魔法陣を地面に構築するかな。俺は魔素操作をし始めた。
空気中にある魔素を操作しどんどん地面に魔法陣を構築していく。まるで指揮者のようだ。
こんな時には優雅な音楽でも聴きたい。ああ。なんて素晴らしいのだろうか。まるでこれから壮大なことが起こりそうだ。
人気もないこの場所でたった一人だけの空想劇。だがもう悲しくはない。だって……俺には転生があるのだから。
魔法陣が完成すると瞬く間に光り始めた。遂に。遂にだ。俺は完成させたのだ。人類初の転生魔法陣を。
さぁ。魔法陣よ。こんなところから俺を救い出し未来に転生させてくれ。そして俺は最強の魔法師になる。
意気揚々としていたが段々と眠たくなってきた。次第に尋常ではない眠気が俺に襲ってきた。
気付くと俺は深い眠りに付いていた。そこからの記憶は凄く曖昧だった。俺は無事に転生できるのだろうか。