表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

宝は予告状で

作者:
掲載日:2018/06/26

思いついたモノを一気に書き上げちゃいました。

詳しい設定はありません。


軽く読み流してください。


とある国に『シュミット伯爵家の至宝』と呼ばれる少女がいた。

彼女は歴史あるシュミット伯爵家の令嬢で親に大変愛されている少女であった。


黄金色に輝くふわふわの髪。

琥珀を埋め込めたような瞳。

ふっくらと膨らんだ唇は赤く男達の視線を独り占め。


親は可愛らしいその少女をとても可愛がり、蝶よ花よと育てた。

少女は成長すると共にその美しさを増していった。


誰が言い出したのか『シュミット伯爵家の至宝』と呼ばれるようになった少女。


少女は『自分以上に美しく、誰からも愛される女性など存在しない』と思うようになっていった。

親は少女の望むモノをすべて与えていった。


お菓子、玩具、ドレス、宝石など。

少女が手に入らない物はないと勘違いするほどに我儘に育てた。


少女が社交界デビューをすると、数多の求婚者が現れた。

上は公爵家から下は羽振りのいい商人まで多種多様な者が少女の父親に許可を求めた。


しかし父親は全てに首を横に振った。

父親は娘を嫁に出さないと周囲に話しているそうだ。


ある日、少女は一人の青年と出会った。


留学に来ていた他国の高位貴族の子息。

一緒に留学に来ていた王子の側近だった。


学園で少女は青年の傍に付きまとうようになった。

青年は少女に優しい笑みを浮かべ、優しい言葉を掛けた。

少女が青年に落ちるのに時間は掛からなかった。


青年は少女の望む言葉を紡ぎ、少女が望むモノを与え続けた。


少女は父親に青年との婚約を強請った。

しかし、父親は横に首を振るばかり。

父親は断固として反対した。

また、母親も同じ国に住むならばすぐに駆け付けることが出来るが国外に出たらそう簡単には会えなくなるのよと娘を説得する日々。


少女は自分の願いを叶えてくれない両親に喚き散らす日々。

その様は伯爵家に勤めている者たちから他家へと伝わっていった。


少女は親が叶えてくれないのなら自分で叶えるとばかりに青年に付きまとうようになった。

青年の関心を買おうと聞いてもいないのに自分の家のことを全て話していた。

それを傍に聞いていた他の貴族子息や令嬢たちの苦言などに一切耳を傾けずに。



そんなある日、シュミット伯爵家に一通の差出人不明のカードが届いた。


『貴家の宝を頂戴する』


たったその一言だけが書かれていたカード。


『宝』とは娘のことだと思った伯爵はすぐに騎士団に報告。

厳重な警備がシュミット伯爵家に敷かれることとなった。


厳重な警備により自由に外出が出来なくなった少女は日々両親に文句を言うばかり。

少女は自分の不幸を嘆き、青年に助けて欲しいと手紙を書いた。

丁寧に屋敷の見取り図まで描いて、屋敷から攫ってくれと。

しかし、青年からの返事はなく、少女の不満はどんどんたまっていく。


少女の不満は傍付の侍女にぶつけることで解消されていた。

幼い頃から少女の傍付をしている侍女は大人しく彼女の鬱憤晴らしの道具となっていた。


侍女の仲間はそんな彼女を助けたくても助けられずにいた。

少しでも彼女に優しくすると少女が怒り、解雇通告を突きつけるからである。


彼女は幼い頃から少女の傍に付き、少女の我儘に付き合ってきていた。

幼少時、少女の悪戯が原因で顔の右半分に大怪我を負った。

すぐに医師に見せていれば傷も残らず元通りになっていたはずだった。

だが、少女が故意に知らせずにいた為、屋敷の者が彼女の怪我のことを知ったのはかなり時間がたってからだった。

それ以来、彼女の顔右半分は醜い傷があるからと仮面で隠すようになった。



カードが届いてから2週間後。

少女は両親と共に厳重な警備の中、王宮で開かれる舞踏会に参加していた。

留学を終えて帰国する王子とその側近たちの為の舞踏会だ。

少女は今までで一番美しい姿で会場に足を踏み入れ、驚愕の表情を浮かべた。


自分付の仮面の侍女と自分のお願いを全く聞いてくれないからと母親に頼んで家から追い出した兄が自分が恋い焦がれている青年の傍に寄り添っていたのだ。


王家主催の舞踏会である事も忘れ少女は美しく着飾っている仮面の侍女に詰め寄った。

仮面の侍女は長男と青年の背に庇われ、少女は青年と対峙する格好となった。


なぜ自分の侍女がここにいるのか。

侍女はこの場に相応しくない。

即刻、追い出すべきだ。


少女はありとあらゆる言葉を侍女に向けた。

その言葉は淑女としては眉をしかめるような物ばかり。


一通り少女の言い分を聞いた青年はシュミット伯爵に向かって問いかけた。


なぜ、ご自分の実の娘を後妻の連れ子の侍女にしているのか、と。


騒がしかった会場は一瞬で静まり返った。

その疑問は常々貴族の間で囁かれていたことだった。


だが、宰相補佐という地位に就いているシュミット伯に問い掛ける者はいなかった。

いや、問いかけた者は悉く地方に飛ばされていた為、いつしか誰も問いかける者がいなくなったのだった。


シュミット伯爵は無表情のまま黙っていた。

その傍らに立つ夫人は顔を真っ赤にさせている。


青年はさらに言葉をつづけた。

追い出した長男と仮面の侍女の実母は青年の祖国の大公閣下の御令嬢だった。

留学に訪れていた伯爵が熱望したから渋々嫁に出したのに、輿入れさせた後の扱いが雑だったのはなぜか。

実家が他国にあるために口出しが出来なく、長男と仮面の侍女の様子も最近になって知るようになった。

大公閣下は孫を助けられずにいた事に大変嘆いていた。また伯爵に対して怒り心頭であると。

あと少し、自分たちがこの国を訪れ実情を把握できずにいたら戦が起こっていただろうと。

ゆえに、戦を仕掛けない代わりに大公閣下の孫である長男と仮面の侍女は実母の祖国に連れ帰ると。


これは国と国との間ですでに決まったことであると。


青年の言葉はすぐに国王によって正式に宣言され、長男と仮面の侍女はその日をもって実母の祖国に移住することが公になった。

今までの慰謝料等を請求するかという問いに長男と仮面の侍女は首を横に振った。

一応『衣・食・住』を与えられ、必要最低限の教育も受けさせてもらったので必要ないと。

ただし、今後一切接触はしないでほしいと。


仮面の侍女はそっと自分の顔に付けている仮面を取り外した。

その下には醜い傷があるからとずっと人前にさらすことがなかった素顔が現れた。


その顔には傷は一つもなく、美しい顔があった。


プラチナブロンドの髪。

左右違う瞳の色。

薄いピンク色の唇と頬。

どれもが彼女を輝かせるパーツとなっていた。


『シュミット伯爵家の至宝』と呼ばれていた少女よりも光り輝いているその素顔に誰もが息を飲んだのだった。


そこにいた誰もが思った。

シュミット伯爵家の宝は少女ではなく仮面の侍女……先妻の娘だと。


「では、予告通り。貴家の宝は私、コンラート=クロイチェルが確かに頂戴いたしました」

舞踏会の最後に青年が恭しく頭を下げると、会場は歓声に包まれた。


それは公衆の面前で青年が仮面の少女を娶ると宣言したようなものだからである。

もっとも、それは仮面の少女の兄の『おじい様の許可を得てから!』という言葉で保留になったのだった。


だが、仮面の少女もその兄も困惑はしつつも嫌がっていないので近い将来、正式に嬉しいニュースが発表されることだろう。


シュミット伯爵はその場に崩れ落ち、夫人は持っていた扇を折り、少女は茫然と立ち尽くすのだった。



シュミット伯爵家に届けられていたカードについては伯爵夫人が方々に話していたことから誰もが知っていた事だった。

娘が何者かに攫われると騒ぐ伯爵夫人を横目に、賭け事が行われていたのだ。


誰がいつ少女を攫うのかと。


その賭けの結末は多くの人の期待を裏切る結果となったが、この結末に文句はなかったそうだ。


いつしか仮面の少女と青年のラブロマンスは物語として真実を少し変えて民に受け継がれていくこととなる。

だが、今はそれを知る者は誰一人としていない。

二人の物語はまだ始まったばかりなのだから……





***おまけ~裏側~***


「妹のアイを助けて欲しい」

突然、王子に面会を申し出たかと思うと、目の前の青年は膝をついて頭を下げた。

「クンツァイト?いきなりどうしたんだ」

留学先で知り合ったクンツァイト=シュミット。

宰相補佐をしているシュミット伯爵の嫡男。

彼の母親は我が国の大公閣下の末娘。

クンツァイトは無礼を承知でお願いいたしますと告げると、自分と妹君が置かれている状況を説明した。

それは我々が大公閣下から頼まれていたことを知るのに十分な情報だった。

我々はすぐに大公閣下に連絡を入れ指示を仰いだ。

閣下からの連絡があるまで、留学生として静かに過ごしていた。


ある一部分を除いて。


俺は学園内でシュミット伯の娘だという我儘少女の相手をする羽目になった。

王子達は満面の笑みを浮かべながら「頑張れ~」なんて言っていたが、正直この少女はウザイとしか言いようがない。

まあ、俺の気を惹くためか、シュミット伯爵家の内情をぺらぺらとしゃべってくれるのには助かったけどな。

クンツァイトの情報によるとシュミット伯の実の娘ではなく後妻(平民)の連れ子という。

だが、先妻の娘を下に置き我儘放題だとか。


クンツァイトたちの実母はアイ嬢……アイオライト嬢を産んだ1年後に亡くなったという。

後妻は喪が明ける前に突然伯爵邸に乗り込んできてそのまま居座っているとか……


先妻の娘であり、クンツァイトの妹でもあるアイオライト嬢は幼い頃からこの連れ子の世話役を強制的に後妻にさせられているという。

クンツァイトがいくら抗議しても父親は『仕事が忙しいから』と取り合ってくれなかったという。

抗議しては伯爵が不在の間に継母から折檻を受ける兄の姿を見てアイオライト嬢は自分は大丈夫だからと兄にこれ以上傷ついてほしくないと願ったという。

幸いにも執事長と侍女長がクンツァイトとアイオライト嬢側の人だったためにそれとなくフォローをしてくれていたという。

後妻と連れ子が茶会やなんだかんだと出かけている間に淑女教育も施したというからかなり優秀な使用人なんだろう。

ただ、一度だけ彼らのフォローが間に合わなかったときがあるという。

連れ子の悪戯でアイオライト嬢が顔に大怪我を負ったという。

連れ子は怪我をしたアイオライト嬢をそのまま倉庫に閉じ込めていたという。

料理人が食材を取りに倉庫に行き、事態が発覚。

あと少し発見が遅ければ最悪死んでいただろうというのが医師の判断である。

さすがにこの時は伯爵も連れ子をきつく叱ったらしい。

この事件後、アイオライト嬢は仮面をつけることを余儀なくされた。

連れ子が『醜い顔をさらすな』と言ったかららしい。

さすがにこれには他の使用人たちもアイオライト嬢に同情し、以後彼女の味方になっていったという。



俺がアイオライト嬢と顔を合わせたのは大公閣下からの指示が届いた翌日だった。

クンツァイトの手引きでこっそりと屋敷を抜け出し、我々と顔を合わせた彼女はとても恐縮していた。

その姿が小動物の様で大変可愛らしく、どうやら俺は一目で彼女のことが気に入ってしまったようだ。


その間、連れ子の方は俺名義で観劇のチケットを送っておいたから数時間は時間が稼げる。

俺自身は劇場に足を運ばないけどうまい具合に連れ子は劇場に向かい観劇を楽しんだそうだ。

この国の高位貴族の子息(人気者)たちをこぞって劇場に送り込んだからな。


兄であるクンツァイトの後ろに隠れるように立ち、我々からの提案を静かに聞いていた。

祖父である大公閣下がクンツァイトとアイオライト嬢に会いたがっているというのが一番の目的だが大公閣下はすでに二人の戸籍を移す手続きを行っている。

それはこの国の国王にも話が伝わっており、秘密裏に行われているとのこと。

大公閣下は国王の弱みを握っているのか、スムーズに事は進んでいるという報告が届いている。


クンツァイトとアイオライト嬢は我々の提案を受け入れてくれた。

ただ、伯爵に話してもきっと後妻が口を挟むだろうから難しいと思うとクンツァイトが懸念していた。

そこで、面白いことが大好きな我が国の王子が我が国に昔現れた怪盗を真似てみないかと言い出した。


数年前、正体不明の怪盗が幸薄い少女(継母に苛められていた貴族令嬢)を屋敷から盗み出し、幸せにするという嘘か本当かわからない話が社交界を賑やかせていたのだ。


王子がやると言ったらどんなに反対しても最終的にはやることになるけど一応は止めた。

止めたが……

「アイオライト嬢を私が奪ってもいいなら反対すればいい」

と言われたら止められなかった。

何度か言葉を交わすうちに、俺の中で彼女の存在は大きくなっていたのだ。

それを見透かした王子の提案だったのだ。


クンツァイトは妹があの家から出て幸せになれるのならと協力的だった。

もっともアイオライト嬢には詳しいことは内緒で事を進めることとなった。

クンツァイト曰く『妹は演技が出来ない』という事らしいので。


まずは俺がカードを伯爵邸に送った。

もちろん、俺の名前は書いてないし、筆跡もわざとわからないようにしてある。


カードが届けられたその日に騎士団に話が持ち込まれ、伯爵邸は厳戒態勢になった。

連れ子は家から出ることを禁止されたのか、俺宛に手紙を送ってくるようになった。

ご丁寧にも屋敷の見取り図付きで。

当然のごとく俺は返事を出さずにいた。

だが、それがアイオライト嬢を傷つけることになったと知ったのは、数日前から伯爵邸に忍び込ませた者達からの報告によってだった。

連れ子は日々の鬱憤を彼女にぶつけているという。

傍付で連れ子の行いを報告する者がいなかったため、連れ子による折檻に気づかなかったという。

その話を聞いた我々は国王に掛け合い、2週間後に帰国する旨を伝えた。

国王は急な帰国に驚きつつも、我々の計画を大公閣下から知らされているのかすぐに了承してくれた。


舞踏会当日は『茶番劇』としか言いようがなかった。

ギラギラコテコテの似合っていない衣装を纏って登場した連れ子に会場にいた者達は顔を引き攣らせていた。

そして、俺の傍にいるアイオライト嬢の姿に気づくとイノシシのごとく突進してあることない事喚き散らしたのだ。


そのあとは知っての通り。

シュミット伯爵家の至宝とは先妻の娘・アイオライト嬢であると皆が認めることとなった。

また、クンツァイトとアイオライト嬢の国外移籍も公になった。


宴の最後で俺の言った言葉は嘘ではない。

今はまだ友人にもなれていない俺とアイオライト嬢だけどいずれ彼女を頂戴する予定だ。


でっかい障壁が2枚そびえているが俺にとっての宝を奪うためにも頑張るに決まっている。


まずはその前に、アイオライト嬢に予告状―恋文―を送らなければな。



『必ずあなたの心を頂戴いたします  C(コンラート).C(クロイチェル).』





思いついたのは『怪盗』『予告状』『仮面』『幸薄い』の4つのキーワードから。

前半部分はいつもと違う書き方に挑戦したけど、挫折(笑)

おまけ部分は補足になればな~と思ったけど伯爵本人に関する謎が増えたヾ(--;)ぉぃ


い、いつかリベンジ(`・ω・´*)9


できたらいいな~(T▽T)アハハ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ