それでも、愛されて
それから僕は羊を数えた。
本当は絵本を読んで欲しかったけど。いまさらお願いしたってたぶん、気味悪がるだけだろうし。
出来るだけ早く寝ようとしたけど、別に健康的な生活を送りたい訳じゃない。初夢が見たかったって訳。
結局、今年も夢は見れないだろう。というか、今年もお年玉は三つのぽち袋に分けているのだろうか。
私には兄と弟がいるが、お年玉は兄と弟に一袋ずつ、残った袋は二人で分ける、というのがこの家のお年玉事情だ。
袋を三つ用意するのは両親なりの気遣いなのだろうが、正直私にとってみれば中々迷惑なものである。
餅をくれるのはありがたいが、せめてこう言った季節の行事のときだけ思い出してもらえば十分だと思う。
私としては心の片隅に置いてくれるだけで十分なのだ。
ここまで露骨に、文字通り死児の歳を数える様な真似はして欲しくない。
上手くまとまらないが、僕はここを離れなくてはならない。でも、このままでは出来そうにない。
こんなことをされたら、僕はこの家族を、この世界に執着し続けるより他がないだろう?
愛というのは素晴らしいものだ。しかし、手放さなければならない者には残酷過ぎる。
今更、化けて出ることなど出来ない。両親の愛が更に歪んでいくことは目に見えている。そして僕も、その愛を拒絶することは出来ないだろう。
結局、今年も夢は見れないだろう。




