嵐の日のボサノヴァ
ニーチェは愛は雨と言いました。
誰のもとにも平等に降り注ぐ。
太郎の屋根も次郎の屋根も貴婦人の傘も濡らした後で
次の町へと過ぎて行くのでしょう。
大蛇のようにうねる風とガラス窓を叩く雨
苦しそうに身をよじる木々の姿を
僕は人ごとのように眺めた
この小さな部屋には雨は降らない、風も吹かない。
僕は屋根のある場所に隠れている。
ここは僕にとって洞窟のように心安らぐところ。
だが、僕の心は濡れている。
何故かって?
きゅいきゅい、とギターの指板を滑る音が
鼓膜の内側をくすぐるその音が
僕のひび割れた魂にに水を差すのだ。
潤いを得た僕の心は
ラジオから流れるボサノヴァのエイトビートに
足ふみならす
晴読雨読、三連休はこれに限る。