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聖者シャルー3

 聖者シャルーの弟子はもうひとりいた。

 もちろん、手足となって働く下僕のような弟子達は無数にいたのだが。

 直接の弟子の事である。

 なかなかの美少女だ。まだ十二歳くらいに見える。当然、白人の女で金髪碧眼、ブルネットふうにまとめた髪がかわいらしい。

 彼女も青と白を基調とした清浄な神官服を着ている

「小賢しくあるな」

 と何度もシャルーは少女に指導していた。

「お前は聖女になるべく定められている。だが自身が聖女だなどと思い上がるな。教科書通りの言動をするな。偉そうな判ったような顔をするな。たかが十二の小娘が、「人生とは○○」などというな。滑稽なだけだ」

 シャルーがクスリと笑って。

「年上の人生において悩んでいる人間に向かって、お前が「信仰によって乗り越えなさい」と言ってみろ。ギャグだぞ」

 美里は、なるほどと思った。

 人生経験もないものが年上に「信仰によって乗り越えろ」というのは確かに何かのコントに違いない。

「お前もだ。美里、たとえ私の弟子といえども、人生とか宗教を判ったような顔をするな」

「安心して下さい。私は異世界人の子供、どちらも判っておりません」

「ただ王者の威厳は持つべきなのだぞ? お前は一国の王になるのだからな」

 シャルーの言葉に美里がうっと詰まる。やはり、まだピンとこない。

 自分が一国の支配者などとは到底思えない。

「でも人は私に聖女として期待してきます。どうすればよいでしょう?」

 ブルネットの少女がシャルーを見上げる。

「そうだな、コルデリア。だが心配するな。私がなんとかしてやろう」

 法王の代理人にはそれだけの裁量があるという事だろう。と美里は解釈した。

 たとえば飢えている民達がいればそれを国家レベルで助けられるような。奇跡でもないし、神でもないな。ただの互助システムだ。まあ宗教なんてそんなものかもしれないが。

 シャルーが美里を見た。

 美里がビクリとする。

「まあ、いい」

 シャルーが言った。

「いずれ判る・・・・・・」


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