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幕間5
現世に望みは無かった。
ただ、天国に行く事だけが救いだった。
何故、現世はかくも絶望に満ちているのか。
俺が広めた神は、現世では許されぬ神だ。
その神を崇める者は、想像を絶する責め苦を受け、死んでいった。
指を落とされる者。
額に3文字の焼印を押される者。
血抜きの穴を首に開けられ、逆さに吊るされる者。
御山の熱湯を注がれる者。
だが、責め苦を受ける者は、神を崇める者だけでは無い。
その多くは、信仰を持たぬ民だった。
彼等には天国という救いすら与えられない。
何故、人間はここまで残酷になれるのか。
何故、神は現世の民を救われないのか。
何故、神は奴等を赦しておられるのか。
俺は奴等を許せなかった。
俺は仲間を同士を民を集め、武器を防具を拠点を集めた。
だが俺は、俺がやったことは、怨念を集め、復讐を集め、皆に滅亡の道を歩ませただけだった。




