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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第八圏 悪意の迷宮
83/106

呑み会 二十三次会 -天国-

俺は、現世(うつしよ)に甦った。

だが、天国(ぱらいぞ)の記憶はまるでナイ。


俺ほどの男が死んだなら、必ずや天国に召されるはずだ。

だが、俺の最後の記憶は、俺に何かを叫んでいるナツの顔。

そして、俺が見た最初の光景は、俺に何かを言っている劉さんの顔。

復活して最初に見る顔が劉さんとは、ちょっとどうか。


と、次の瞬間、分隊員と米軍パーティの面々に囲まれた。

ir-kras()sen-kiuɑ()

俺の耳にタダの詠唱が聞こえた。

どうせならキャリーの魔法で。プリーズ。


復活用のカプセルから降りる。

ふらつくことも無く元気一杯。

なかなか回復呪文が上手くなったじゃないか、タダのくせに。


「復活、おめでとう」

「これでコウも、2階級特進会の一員だな」

ミズとトウが俺の肩を叩く。

隊長も無言で肩を叩いた。


「俺も、その会員だ」

「僕も」

「私モ」

マッコイとマーク、スコットが言う。

考えてみれば、死んだ事が無いのはナタリーとナツとタダだけだ。


「じゃ、今日はコウの入会を祝ってやるか」

謹んで(うけたまわ)ろう。

「大勢来そうだ。これは、米軍の会場(HEAVEN)を押さえないと」

マークがスマホで電話をかける。


「その前に」

後ろから声がした。

「診察が必要だ」

劉さんに拉致され、俺は医務室に連れて(ドナドナ)行かれた。


--


「コウ、こっちこっち」

「2階級特進会は、こちらのテーブルだ」

劉さんの診察が長引き、俺が到着した時には既に場は盛り上がっていた。

隊長とカークとナタリーは、報告のため欠席。

タダは1人寂しくカウンター。


「では、我らが"盗賊"の入会を祝して」

「「「「乾杯~!」」」」

乾杯~

でも"盗賊"は止めて欲しい。


ぐびっ。


く~~~っ!

生き返った後のビールは沁みる~~っ!

五臓六腑に沁み渡る~~っ!!


「で、どうだった? 死後の世界は」

何も覚えてナイ。

ナツの顔の次は劉さんの顔。それだけ。


「「「「?」」」」


皆の頭の上に「?」マークが浮かんだ。

やだなー。皆、死後の世界とか信じちゃってるの?

そんな非科学的なコト。


「こんな娘に会わなかったか?」

マッコイが手描きの女の子の絵を俺に見せる。

可愛らしいが、今時和服を着た娘なんて居ないぞ。祭りでも行ったか?

「俺達は、皆、死後の世界でこの娘に会っている」



俺の頭の上に「?」マークが浮かんだ。

それも特大のヤツだ。


「緑豊かな草原の岡の上で」

ミズが言う。

「海が見えて、小さな島が沢山見えた」

と、マーク。


「幻覚かも知れん」

だが、とトウが言う。

「死んだ者は、全員同じ光景、同じ少女を見ている」


!?


俺の頭の上に--いや、判った。判ってしまった。

俺を騙そうとしてるな。

その手にゃ乗らない。


「嘘じゃないんだ、これが」

マッコイの肌は鳥肌が立っていた。

もう1つ、絵を出された。

「俺とトウは、彼にも会ってる」

中年の男だ。普通に洋服を着てる。

「この男は、以前、洞窟が現れた時に行方不明になった男だった」


俺は、何も覚えていない。

そんな光景は見ていない。

そんな人達には会っていない。


「私は」

ミズの声は、少しだけ震えていた。

「私と隊長は、死んだカツに会ったわ」


「私達は仮説を立てている」

トウが続ける。

「迷宮内で死んだ者は、全員同じ場所へ往く、と」

幻覚だろ。


でも、とマーク。

「たとえ幻覚だったとしても、全員が同じ光景を観るなら、それは現実と区別がつかない」

そして、とミズ。

「カツは今も其処に居る。其処は--」


天国(ぱらいぞ)


そう皆は考えているらしい。

だが、俺にそんな記憶は無い。


暫く天使が通り過ぎた後、トウが沈黙を破る。

「コウの証言で、仮説を修正する必要がある」

やっぱさ、偶然、同じ夢見てたんじゃないの?

「迷宮内で死んだ者は、全員同じ場所へ往く。但し善人のみ」

おい。


「そうか、コウは悪人だから天国に往けなかったのか」

こら。


「地獄には堕ちないのね」

ちょっとー。


俺ほどの男を招かないとは、天国の門番(ペトロ)は人を見る目がナイ。


--


それからは、いつもの呑み会になった。

マッコイとスコットはショットグラスをガンガン開け、マークはオレンジジュース。

トウはウィスキーをロックで、ミズとキャリーはカクテル。

俺はビール。


ジョッキが空いたので、カウンターにお代わりを頼みに行く。

お、新しい銘柄が入ってる。これにしよう。

冷えたジョッキを持ってテーブルに戻る途中、米軍の女性達が呑んでるテーブルの横を通り過ぎる。

「Oh boober!」


俺を見つけた金髪の可愛いコちゃんが、叫ぶ。

そのコの横に居た肌の黒い美人さんが、自分の豊かな胸をふにふにして見せてくれる。

いいねー。いいよー。

ところでブーバーって何?


テーブルに戻ってマークに尋ねた。

ブーバーって言われたんだけど、どゆ意味?

ひょっとしてセクシーな男性って意味?

「いやそれは、ちょっと」

口ごもるマーク。


横からトウが言った。

「意訳すると"おっぱい星人"だ」


ヌアァアアツゥウウウ!!

俺の清純なイメージを崩したのは、あの女だ。

おのれ許さでおくべきか。

次回は7/17に投稿予定です

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