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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第八圏 悪意の迷宮
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第八圏 悪意の迷宮1 -目的-

地下8階。

階段を下りると少しばかりの通路があり、すぐに扉が行く手を塞いだ。

扉の上には、"Ruffiani e seduttori"と書いてあった。


どゆ意味?

「女たらしという意味」

それは大罪だ。

地獄に堕ちるがヨイ。


翻訳してくれたのはマーク。

前回、見送りにも来なかったので心配してたが、無事復帰したようだ。

よかったよかった。


カークが手振りで、扉を開けることを知らせる。

扉が開き、閉まる。

怪物は現れなかった。


玄室というには広過ぎる領域だった。光が届かず、向こう側の壁が見えない。

左手法で周ってると扉があった。

鍵穴がある扉で、試しにカークが蹴っ飛ばしてもビクともしない。


扉の上には、"Adulatori e lusingatori"と書かれている。

どゆ意味?

阿諛追従(あゆついしょう)という意味」

おべっか使っただけで地獄に堕とされるとは、なんと不憫な。


そのまま進み、暫く歩くと入ってきた扉に戻った。

「面積は、階層全体の1/10程度」

地図作成も担当しているマークが言う。

『神曲』では、第八圏に10の嚢が書かれている。

それに倣い、地下8階には10の玄室が有ると予想されていた。面積が1/10ということは、その傍証となる。


つまり、この迷宮が地下9階までである可能性が、更に高くなったという事だ。


「この領域を探索後、扉の解錠を試みる」

そうなれば俺の出番か。

その前に、カークの指示通り玄室の中央部を探索する。


中央へ歩いて行くと、次第に背後の壁が遠くなり、やがて見えなくなった。

四方八方壁が見えず、真っ直ぐ歩いてるか曲がってるかも判らない。

時折マークが"座標感知"を使ってるから、大丈夫なんだろうけど。


「そろそろ領域の中心」

マークが囁く。

途端、気温が下がってきた。


吐く息が白くなり、空気中の水分まで凍って視界が白く濁る。

その白いモヤが集まり、何体かの巨大な人型を形作る。

lá-muur-ɔː(大壁)

すかさずキャリーが防御呪文を唱え、前衛3人が突進した。


キィイィイイッ

黒板を爪で引っかくような音が響く。

やめてー

俺、その音嫌い。文字通り総毛立つ。


怪物は大理石のような肌を持つ2体の巨人で、恐ろしい程の冷気を纏っていた。

そして3人の"フードプロセッサー"では、黒板を爪で引っかいたくらいの傷しか、肌についてない。

むしろその音で、俺がダメージ喰らった気がする。

一方、怪物の豪腕は一撃必殺な勢いだ。


「kiuɑ-hi-con()centração()

マークの詠唱が終わり、怪物の間で青白い焔が爆発する。

3,000℃を超える高熱、のハズなのに怪物は何ともない。

むしろその熱で、俺の髪が焦げそうである。


カークが吹っ飛ばされ、俺が前衛に出る。

でもコレ、どうすりゃいいのよ。

俺の小剣じゃ、かすり傷も付きそうに無い。

持ってる巻物も、マークの"火海"よりずっと弱い。

そして、振り回される豪腕は強烈。


コレは当たったらダメなやつだ。

盾越しだろうが、革鎧を着てようが、俺は天国に召されてしまう。

紙一重の状態で拳をかわす、だが、これは長くは保たない。


ir-leven()-kiuɑ()

キャリーの奥の手も効かない。

これは逃げるしかナイか。


kiuɑ-ðŋ-(極大)diver()gência()

聞いたことが無い呪文が響くと、怪物達が巨大な球体に包まれる。

その球体の表面は鏡のように、周りの全てを反射している。


ゾゴッ!


球体の中で重い音が響く。

球体が塵のように消え、中から現れた怪物達は消し炭のような姿を一瞬止めると

次の瞬間、土に還り崩れ去った。


「Oh...」

呆然、という感じでスコットが呟く。

マッコイも目を丸くしている。

かく申す俺の口も丸くなっている。


「ラボで発見した、新しい攻撃魔法だ」

実は、どんな効果があるか判らなかったらしい。

文脈からすると、かなり破壊力が高く、ラボで発動させるのは危険だったとのこと。


でもコレがあれば、大概の怪物は大丈夫じゃないか?

「ただ、1日2度しか唱えられない」

後1回はイケるってことか。


「コウ、そろそろ仕事だ」

あら、箱が出てた。

サクサク開ける。

中からは、大量の金貨に武具。

「そして、これか」

鍵だ。


阿諛追従の扉に戻る。

鍵を使うと、重い音が響き、解錠されたっぽい。

試しにカークが扉を蹴ると開き、暫く後に凄い勢いで閉まる。

「本日はここまで、出口まで退却だ」


--


ラボで、学者達に鍵を見せる。

「この鍵は、これまでに無い特徴を持っている」

俺しか扱えないのだ。

"戦士"も"僧侶"も、もちろん"魔術師"も持ち上げるだけで相当な力がいる。落とせばまず拾い上げられない。

ナツを呼んで試したが、"侍"もダメだった。


「"盗賊"専用の鍵か」

そう言われると何かヤバい道具に聞こえる。


「コウが居なければ、ここで詰んでたわけだな」

マッコイが言う。

うム、その通り。

褒めて。もっと俺を褒めて。できれば美女から褒められたい。


「何故、こんな回りくどいことをするんだろう」

マークが言う。

回りくどいって何が?


「もし我々を先に進ませたければ、鍵など掛けなければ良い。進ませたくないなら、鍵を隠しておけば良い」

そりゃまそーだ。

「この迷宮を造った者の目的が判らない」


先に進むためには、2つの条件を満たす必要がある。

1.パーティ内に"盗賊"が居ること

2.あの怪物を倒すこと

つまり迷宮を造った者は、「"盗賊"を連れて怪物を倒せ」と言ってるわけだ。


でも、何のために?

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