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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第七圏 暴力の迷宮
79/106

呑み会 二十二次会 -意識-

「では、地下7階の制覇を祝して」

「「「「乾杯~」」」」


今日は守須准教授は来なかった。

どーしても見逃せない状況にある。

目に涙を浮かべながら断る准教授。

それほどまでに来たかったのか?


一方、それほどまでに想われてるミズは、ゲンキンな--いや元気なものだ。

「良い女って、そういうものなのよ」

酒に酔う前に、自分に酔ってる。

その自信を、少しナツに分けてやった方がヨイ。


守須准教授の代わりに、劉さんが来ている。

劉さんは良く来るが、ひょっとしてヒマなのか?

「忙しい」

どー見てもそーは見えん。


「とにかく、地下8階への階段が見つかってよかったです」

タダが話を呑み会の趣旨に戻す。

「ナツのお父さんに感謝ですよね」

ああ、感謝と懺悔もさせて頂きたい。

未だ誤解してるんだろーなー。


「問題は何故ナツだったか、だ」

「そう、そこが問題ね」

トウとミズが、なにやら訳分からんことを言い出した。

「知識と遺物が無ければ超えられない迷宮、か」

劉さんも口を出す。


俺とタダは、ポカン状態である。

「いいか」

と、トウがポカン2人に言う。


「地下8階への階段へは、"さん・じゅあん様の歌"と"御前様"が無ければ辿り着けない」

それは知っている。

「その知識と遺物を持ってたのは、多分1人だけだ」

ナツの親父さんだな。

「その娘が迷宮を探索するって確率は、どのくらいだ?」


ピンと来た。

俺、ピンと来たよ!

「滅茶苦茶低い確率ですね」

タダに先越されたー

「そうだ、そんな偶然はありえない」


「偶然がありえないなら、必然?」

ミズが、また訳分からんことを言い出す。

「どう思う、劉」

そのままスルーパスするトウ。

「難しいな」

難しいらしい。


「つまりね」

ミズが再びポカン状態になった2人に言う。

ちなみに2人の内1人は、誰あろう俺である。


「迷宮の造り主が、ナツの意志を操って此処に来させた、って事よ」


いや、意志を操ってって、そんな催眠術じゃあるまいし。

「迷宮内なら、ヒトの肉体を操った例がある」

ローブ姿の少女か。

って、まさかナツが同じだと言うのか。


「それは無い」

と劉さん。

「彼女の脳は通常通り成長している」

「自前の脳で意識を紡いでいるわけね」

まぁ学業の成長は、ちょっとナニのようだが。


「ヒトが行動を起こすのは、脳の活動に拠る」

脳死状態じゃ動けないもんね。

「そこに干渉すれば、行動を操ることは可能だ。原理的には」

自然界にも、カタツムリに寄生し行動を操ったり、カニに寄生して操る寄生虫が居るらしい。

でも、もの食ってる最中にそんな話、しないで欲しい。


「家に嫌悪感を持たせ、陸自に入隊させ、この分屯地に配属させる。そんな事が?」

「出来ない理由は無い、が」

劉さんは俺を見つめ

「別に陸自に入隊させる必要はない。こいつみたいに落っことせば良い」

俺かよ。


陸自に入隊するまでは、ナツの意志で問題無い。

だが、この分屯地への異動希望は、何らかの干渉を受けた可能性がある。らしい。

それはちょっと、どうなんだ。


ナツの意識を乗っ取り、ゾンビのように動かすってのはなー。

後で気付いた時、変だって思うんじゃないかな?

「ヒトは意識して行動を起こしてはいない」

ちょっと劉さん、ナニ言ってんの?


「ヒトは行動を起こしてから、それを意識する」

はい?

「例えば、お前がこのジョッキを取ったとする」

ぐびり、と一口呑む。

「ジョッキを取るには、腕の筋肉へ脳が信号を出す」


「だが、ジョッキを取ろうとお前が意識する0.5秒前に、お前の脳は腕を動かす準備を始める」

またまた劉さん、俺を騙そうと思ってからに。

「これは、観測された事実だ」


後で調べたところ、確かにそういう実験結果があるらしい。

しかも"俺、0.5秒前にジョッキ取ろうと思ったもんね"、と意識が記憶を差し替えるらしい。


「ヒトを行動させてるのは、意識じゃない。無意識だ」

だから、と劉さんは言う。

「ナツが操られたとしても、ナツの意識はそれを自覚できない」


ただ問題は、と劉さんは続ける。

「ナノマシンの有効範囲は迷宮内だけだ」

確かに地獄門の外に出ると、急に武具が重くなるもんな。

「迷宮外で、ナノマシンが脳の代替をしたらしき報告は無い。お前自身--」

「劉」


トウが変な声色で劉さんを止めた。

劉さんはピクリと表情を固め、ジョッキを呷る。

「そんなわけで、迷宮外に居たナツを操って、探索に参加させるのは難しい」


劉さんは言葉を続けたが、俺は聞いちゃいなかった。

お前自身--確かに劉さんは俺に向けて、そう言った。

俺自身が何だっていうんだ?


「ただし、コウは操られている可能性があるわ」

やっぱ俺?

「女性には継げない知識と遺物。だからナツでは、どうしようも無かった」

ああ、とタダが手を叩く。

「それでコウを操って、ナツに惚れさせたんですね!」

なんだとー


「そう。じゃないと、このおっぱい星人がナツに惚れるワケ無いじゃない!」

なんですとー


皆は俺を誤解している。

俺は確かに、女性のそのブブンが好きだ。

だが、決して大きくなければダメなワケじゃない。

富める者(ナタリーの胸)も、貧しき者(ナツの胸)も、平等に愛する。


博愛精神に溢れた男なのだ。えへん。

0.5秒遅れの意識については、ベンジャミン・リベット著「マインド・タイム」より


なお、「WG報告 -模倣-」の通り、迷宮内でコウの脳は、ナノマシンで代替されています。

ラボに詰める劉、トウ、ミズは、その事を認識しており、今回劉が思わず口を滑らせました。

そしてコウは、ミズに上手いこと誤魔化されてます。


次回は7/15頃の予定です

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