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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第七圏 暴力の迷宮
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第七圏 暴力の迷宮11 -断絶-

"めだい"、"踏み絵"、"鞭"、3つの遺物を持って、地下7階 第3環の最奥へ向かう。

結局、俺が持たされた。くすん。


「着いたな。コウ、大丈夫か」

大丈夫、問題無い。

発見した時と違い、"めだい"を持っていても、力が抜けたり血が滲み出したりはしない。

多分、セットで持っているからだ。


地下7階、第3環の最奥。

3つの壁画が俺たちの目の前にある。


1つ目の絵。神父から何かを授かっている2人の日本人の絵。

その1人の掌に、"めだい"を触れさせる。

と、俺の手の中の"めだい"が消え、絵に"めだい"が現れた。

「予想通りね。ここまでは」

とミズ。


"めだい"、"踏み絵"、"鞭"の3つの遺物。

影響を恐れて検査はできなかったが、ナノマシンの集合体だろうと想像は付いていた。

この絵に触れさせることで、何らかの影響を--おそらくは地下8階への扉を開くだろうと、予想されていた。


俺は懐から箱を出す。

ナツの親父さんから継いだ箱。ナツを、彼女の祖先を、代々縛っていた御前様だ。

箱の中に在ったのは、"めだい"だった。

先ほど絵の中に消えた物と瓜二つの。


ナツ、良いのか?

「悪いワケ無いっしょ。さっさとやれ」

親父さん、アンタ可哀想な父親だな。


絵の中のもう1人の日本人の掌。そこに触れさせた瞬間、御前様は消えた。

とても呆気なく。

そして、絵にもう1つ"めだい"が現れる。

「よくまぁ400年も、受け継いだものね」

ミズが感慨無量という感じで言う。


俺は少しの間、心の中で親父さんに謝った。

途絶えさせました。

もう続けることは、継ぐことは、誰にも出来ません。


2つ目の絵。何かを踏んでいるような男の絵。

ナツの親父さんは、追伸として、この絵について書いていた。

私なら踏ませない、と。


もし、この迷宮を造ったのが潜伏キリシタンなら、踏み絵を踏ませることなどあり得ない。

たとえ絵の中であっても、そんな事は出来ない。

神を汚すその痛み、脚の、心の痛みを、誰よりも知っている筈だから。


俺は親父さんの助言通り、"踏み絵"を絵の中の男、その胸に当てられた両手に触れさせる。

と、"踏み絵"が消え、絵の中の男が"踏み絵"を両の手で抱きしめた。


3つ目の絵。背中に傷が付いた男の絵。

その手に"(オテンペシャ)"を触れさせる前に、やる事がある。

ミズ、頼む。ナツも。


「あんな親父の事なんて、気にすること無いのに」

そう言いながらも、ナツは後ろを向き、耳栓をしてくれる。

「学者としては、非常に興味深い内容なんだけど」

と言いながら、ミズも同様にしてくれる。

「タダ、しっかり聴いて後で教えて。いいわね」


"鞭"は触れさせると消え、絵に現れ、そして"さん・じゅあん様の歌"が聞こえて来た。


"あー前はなぁ前は泉水やなぁ

後ろは高き岩なるやなぁ

前もな後ろも潮であかするやなぁ"


俺は、続けて唱える。

津本の親父だけが唱えることを許される祈祷文(おらしょ)

女性は唱えることも、聞くことも許されぬ祈り。

せめて、その伝統は守ってやろう。

最後まで。


あーこの春はな、この春はなぁ

桜な花かや、散るじるやなぁ

また来る春はなぁ、蕾、開くる花であるぞなやぁ


絵が消え、壁が消えた。

そして地下8階への階段が目の前に現れた。


よくもまぁ、400年も変えずに受け継いだなやぁ。

多分、全て、この時の為に。

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