第七圏 暴力の迷宮5 -地震-
「その巨人には殆どの呪文が効かなかった。ただ"昏睡"には弱かったというわけか」
米軍側と日本側が集まり、情報交換を行う会議。
本日の議題は地下7階 第2環の最深部についてだ。
「よくそんな状況でその呪文を使ったな」
トウ、そこは突っ込まんといてくれ。
「ああ」
と、なんとも言えない目で米軍が俺を見る。
針のムシロである。
とととところで、コレはいったい何だろう?
巨人が持っていた箱から出たのは、小さな丸い円盤。
鉛にような色で、かなり厚みがある。金貨じゃない。
「御前様?」
ナツが言う。
何だそれ?
「"めだい"ね」
ミズが言い、キャリーが頷く。
何だそれ?
「江戸時代初期、訪れた司祭が日本人に与えたメダルよ。カクレキリシタンが御神体として拝んでいるわ」
ちなみに、かなり強力な呪いがかかっている。
持っているだけで力が抜け、手足から血が滲み出した。痛かった。
帰り道は俺が持たされ、何度かキャリーの回復呪文で癒して貰った。
もー俺、それ持たないからね!
「第3の環でも、同様の何かが入手できるだろう」
隊長が言う。
そして、やはり呪いがかかってるんですね。
「第3の環、神に対する暴力か」
神曲では、どんな怪物が出るんだ?
「ゲリュオンかしら」
「あれは味方のはずよ。候補としてはダンテの師、ブルネット・ラティーニね」
「プリスキアヌス、フランチェスコ・ダ・コルソ、アンドレア・デ・モッツィの3人も考えられるわ」
「3人なら、グイード・グエッラ、テッギアーヨ・アルドブランディ、ヤーコポ・ルスティクッチの方が、可能性が高いと思うわ?」
キャリーとミズが討論している。
だが、できることなら日本語でおk。
そもそも、神に対する罪って何。
その人たち、何やったの。
「男色よ」
うげげ
それは個人的にヤだ。
でもそれって、地獄に堕ちる程のことか?
まー俺はヤだけど、そういう趣味を持つ人が居ることは知ってる。
どう考えても、それが神に対する暴力、それほどの大罪とは思えない。
「何が正義で、何が悪かは、神様が決めるわ。罪の重さもね」
えー
何その自己中な神様。
「この前、教えてあげたでしょ」
とキャリーは親指で自分の右胸をつつく。
「"男色は罪"という社会の方が有利で、残ったのよ」
とりあえず第3の環に行く際は、防御はしっかり固めて行こう。特に下半身。
だが、第3の環へ行くのは当分先の事になる。
激しい揺れと共に、分屯地が在る雲仙岳が噴火を始めたからだ。




