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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第七圏 暴力の迷宮
67/106

呑み会 十九次会 -隊長-

「それでは地下7階、第1の環、制覇を祝して」

「「「「「乾杯~」」」」」

今日もビールが旨い。

分隊員全員での祝杯は、格別である。

本日は珍しく隊長まで参加している。


「ささ隊長、もう1杯」

ミズがすかさず空になった隊長の杯に注ぐ。

隊長、実は日本酒党である。


「それにしても、ミズが唱えた呪文の効果は凄かったな」

トウが手放しで誉める。

「"極症"は"全快"の使える回数が減るから、余り使えないんだけどね」

隊長がミズの杯にご返杯。

いつもビールだったミズ、本日は日本酒。


「助かった」

隊長がミズを見つめ、低く響く声で言う。

花が咲くように微笑むミズ。

ん、なんかイイ雰囲気なのか?


「ところでさ」

そんな雰囲気を読まず、ナツが言う。

「島原の乱って、何?」


俺は目を丸くしてナツを見つめる。

トウとタダも目を丸くしてナツを見ている。

ミズは隊長を見つめている。

隊長は頭を抱えている。


「いッ、いや。島原の乱は知ってるよ! ただ、誰と誰が戦ったのかなーって」

それは普通、全然知らんと言う。


かくかくしかじか


トウに肘で突かれたタダが説明する。

「で、この戦いというか一揆がもとで幕府は禁教令を出し、信者は信仰を隠して、隠れキリシタンになったんです」

ナツが目を丸くした。


「隠れキリシタンって、幕府から隠れてたんだ!」

そこ!?

いや、それ知らないってどゆこと?

コッチの方がビックリだよ!


「タダ、禁教令は元和5年。島原の乱の20年近く前よ」

ミズが視線を隊長から逸らさず言う。

「島原の乱が幕府に衝撃を与え、結果的にカクレキリシタンを産んだとは言えるけどね」


あらー

俺も知らなかった。

でも俺、理系だし!

タダの目は泳いでる。

お前は文系、しかも日本史専攻なのに、それはマズいだろ。


つかタダはともかく、ナツはなぜ知らない。

「いやアタシ歴史は苦手で…」

そーゆー問題じゃナイ。

口には出さんが、お前の実家は隠れキリシタンだろうに!

そういう思いを込めてナツを見ると、ナツは目を逸らした。


ひょっとしてナツ、アホの子なのか?


--


宴が終わり、営舎に戻る途中。

隊長とミズが遅れていた。

俺達は先を急ぎ、角を曲がった所で待機。監視体制に入る。


「今夜のミズは気合入ってたからな」

「メイクがビシッと決まってましたからね」

「服も、かなり迷って決めたんだよ」

確か隊長は奥さんと死別しているはずだ。法的に問題は無い。


でも、と俺は胸の中だけで思う。

隊長は45歳。多分ミズの方がかなり歳うぇーッ!

なんかゾクッとした。今、ゾクッと悪寒が走った。


その時、細かい縦揺れが始まり、グラッと揺れが来た。

「きゃっ」

ミズが隊長の胸に倒れこむ。

歳のワリにたわわな胸が、2人の間で潰れる。


当てて来たな。

あざとい。

それはあざとい。


その時、隊長の意を決した声が聞こえた。

「ミズ、この迷宮探索が終わったら、頼みたいことがある」

「はい!」

キターーー


隊長ここでフラグ立てるの?

ミズ相手に立てちゃうの!?

でもそれ、死亡フラグだよ。


「ナツの勉強を見てくれないか?」

あれ?


「あいつは実技と体力は申し分無いが、学科に問題があって陸曹候補生になれん」

ナツは目が泳いでいる。

やはりアホの子なのか。

「士長に上げると肩叩きされかねんので、上げれん程だ」


隊長、貴方はヒドい。

ミズは遠目から見ても固まってる。

メーデー、メーデー、メーデー!

心停止してる可能性がある。救護班急げ!

舞い上がってしまっただけに、叩きつけられた時の衝撃が大きかった。


その夜、アホの子からメールがあった。

"ミズが死んだ魚のような目をしてる"

"どうしたらいい?"


ナツには、どうしようもナイ。

いや1つだけ、ナツにできる事がある。


俺は"勉強しろ"と返信した。

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