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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第五圏 憤怒の迷宮
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第五圏 憤怒の迷宮5 -悪魔-

陸自vs米軍の危機を水面下で解決した優秀な俺は、迷宮に於いても優秀である。はずだ。


なにせ、米軍には金貨2,000枚の借金がある。

俺ほどの男が居なければ、あっという間に利子がかさみ借金地獄だ。

「あの貸しなら、米軍側救出と監察官捜索でチャラだ」

あれー?


だが、魔法が使えなくなる領域が判ったことで、地下5階は米軍に劣らぬ速さで探索が進んでいる。

これは--

「私のマッピングが優秀だからだな」

さっきから煩いよトウ。

「状況を開始する」

はーい


ムダ口を先生に注意された生徒のように押し黙り、迷宮入り口の地獄門を潜る。

ここからは、さすがに真剣にならざるを得ない。


地下5階は、おそらく今回の探索で下への階段が見つかる。

ただし、地下6階への降下は困難が予想されている。

『神曲』では此処で悪魔が門を塞ぎ、通してくれないという話が書かれている。らしい。タダによると。

だって、あんな難しいの読めないよ!

印刷もなんか荒いしさ。


今回は座標感知の魔道具も借りてきた。

回復魔法を書き込んだ巻物も用意してきた。

出来る限りの準備をした。

でも本当に悪魔が門を塞ぎ、通してくれなくなるとは思ってなかった。


俺達は、閂をかけられたらしくビクともしない扉を前に、呆然と立っていた。


--


ここで時を少し戻そう。


地下5階の奥、未探索だった領域の一番奥にある玄室。

俺達は何とか、その場所まで辿りついた。

扉が開き、閉まる。

怪物の--悪魔の群れがそこに居た。


コウモリのような羽。

黒いウロコで覆われた皮膚。

猫のように横に開く瞳孔が、俺達を捕らえる。

lá-muur(障壁)

tʃ-hi-con()centração()

牙に覆われた口が開くと、詠唱が聞こえた。


ひー

無数に飛び交う火の矢が俺達を襲う。

先手を取られ、俺達の動きは防御で手一杯になる。

その俺に、長い爪を伸ばした手が迫る。

左側を盾で、右側を小剣で防ぐ。


悪魔の群れから距離を取り、体制を立て直す。

ふと違和感が俺を襲う。

だが、違和感などに構ってる余裕は無い。

lá-muur(障壁)

ɔː-hi-con()centração()

ir-stem(沈黙)

頼りになるウチの後衛達の詠唱が聞こえ、魔法が俺達を護り、悪魔の群れを襲う。

ナツの剣撃が、1匹の悪魔の手を切り落とし、血しぶきが飛ぶ。

ミズの"沈黙"魔法が効いたのか、悪魔が口を開いても詠唱は聞こえず、魔法は発動しない。


攻撃から、次の攻撃に移る際の半呼吸ほどの間。

その間に、悪魔の群れは後退した。

玄室の奥に有った扉を開け、飛び込んでいく。

扉が閉まると、ガコンッと重い音がした。


そして俺達は、閂をかけられたらしくビクともしない扉を前に、途方にくれることとなった。

玄室の中には俺達と、ナツが切り落とした悪魔の手だけが残っていた。


--


「コウの腕でも開けられないか」

いや鍵穴も無いし、多分裏側から閂を掛けられてるからムリ。


俺達は出口まで後退し、米軍と一緒に会議室で対策会議中。


「次に遭遇した際、大量の火力で一気に全滅させるしかないか」

とはいえ3グループの群れが居たから、1回の攻撃で全滅は難しいな。

「他に扉を開ける方法は無いのか?」

実は良い考えがある。


名づけて"天の岩戸作戦"。

美女が舞い踊り、薄絹を1枚、また1枚と脱いでいく。

その周りに陣取り、酒を酌み交わしながら浮かれ騒ぐ。

何事だ、と悪魔が扉を開けたところでツッカエ棒を填める。

なお、舞い踊るのはナタリーかキャリーが望ましい。ボリューム的に。あと若さ。


この完璧な計画は、俺の口から外に出ることはナイ。

そんなコトを口にしたら最後、俺の命は無い。物理的に。

ここは、別の計画が必要だ。


「『神曲』では、メガイラ(嫉妬する者)アーレクトー(止まない者)ティーシポネー(殺戮の復讐者)、3柱の復讐の女神が扉を開けるために来るわ」

ミズが言う。

「確かメデゥーサも呼ばれたはずだ。1人足りんな」

ちょ、カーク隊長。

4人居ます。此処には女性が4人居ますからね!

間違っても視線で3人を限定しないように。お願いしますよ。


「悪魔の手からは何か分かったか?」

そう、ナツが切り落とした悪魔の手は持ち帰っても土に還らず、そのままの状態で残っていた。

血しぶきが飛ぶのも、今までになかったことだ。


俺は戦闘開始時に感じた違和感を思い出す。

今まで戦った怪物は、何処か作り物めいた雰囲気があったが、あの悪魔の群れは違った。

まるで生きているような、そんな感じがした。


「悪魔の手は今、ラボの医学技官達が調査している」

と隊長が言う。

「ただ、門を開ける役に立つとは思えん」

指紋認証で開く扉だったら使えたのに。


結局、米軍パーティにトウが参加し、前衛3名の戦士に後衛3名の魔術師という最大火力でゴリ押ししてみることになった。

これがダメだった時、俺達には最後の手段しか残されていない。

でも"天の岩戸作戦(最後の手段)"は、俺以外の誰かが提案して欲しい。

もちろん参加はする。全力で。

コウが読もうとしたのは、岩波文庫。最初に読むなら、河出文庫がお勧め。

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