第五圏 憤怒の迷宮3 -監察-
「最低だな」
カークが言う。
「ああ、最低だ…ん?どうしたコウ」
マッコイが俺の方を見る。
いや、ちょっと"最低"という単語にトラウマが。
本日は米軍パーティで探索。
俺はスコットに代わり、前衛に居る。
なぜか。
後衛に監察官が居るからだ。
規則なのか政治的な何かがあるのか、探索がどのように行われているのか監察するらしい。
監察官のご意向によっては予算が絞られ、色々よろしくナイ状態となる。
このため、迷宮放置の危険性と未知の文明をプレゼンすべく、迷宮にご案内することと相成った。
最低である。
監察官は僧侶になったらしく、革鎧と盾を装備できた。
キャリーが英語で監察官に色々説明し、その後ろにはローブを纏ったナタリーが居る。
色仕掛けと魔法の2正面作戦である。
さいてーである。
幸か不幸か監察官は日本語が判らないらしく、俺が失言する心配は無い。
カークとマッコイも、毒を吐く時は日本語だ。
本来は地下5階の探索を進めるはずだが、本日は地下1階。
箱の中の金貨や武具も見たいとのご意向なので、俺が同行している。
まぁゾンビやヘドロムを見て怯えていただき、早々に退散願いたいものである。
そんな事を考えているうちに、都合よく怪物と遭遇した。
ゾンビ5体だ。
前衛とはいえ、米軍の2兵士がいると安心感がある。
本日は魔法も見せる予定なので、何体かは残しておかなくてはならない。
カークとマッコイが、さっくり2体を土に還す。
俺は身を護り、ナタリーの魔法の出番を作る。
あれ、ナタリーの魔法が来ないぞ?
恐れを知らぬゾンビは、更に前進してくる。
俺も攻撃に参加し、残りの3体も土に還した。
さてナタリー、魔法を使わなかった理由を聞こうか。
ナタリーは倒れていた。
キャリーは青くなっている。
何が起きた?
「監察官、逃げ出しちゃった!」
なにー!
「ナタリー大丈夫?」
逃げ出す際にナタリーを押し倒し、彼女は岩で頭を打ったらしい。
ナタリーは頭を抱えて悶絶している。
ナタリーのタンコブは、キャリーの呪文で無事に治った。
問題は監察官だ。
失踪だ、行方不明だ、迷子だ。
これは大問題だ。
"ヘドロム"については、「第二圏 肉欲の迷宮3 -降下-」参照




