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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第五圏 憤怒の迷宮
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第五圏 憤怒の迷宮2 -家出-

にーにー

今日のランニングノルマを達成し、猫のワガハイとたわむる。

俺の手の下で至福の表情を浮かべるワガハイ。

よしよし、ういヤツじゃ。

そこに草を踏む音がした。


ワガハイが俺の手を離れ、とととと駆けて行く。

なーお

ナツの腕に収まり、ご満悦である。

その頭を撫でようとナツに近寄ると

「近寄らないで」

ひどい。


「あんな男に近づいちゃダメだよ、ワガハイ」

えー

こんなに可愛がってるのに。

「アイツはおっぱい星人だからねー」

ちょっと、まだ引きずってんのそのネタ!


「ところで、おっぱい星人」

その呼び方はやめろー

「トウは大丈夫そう?」

あいつは…ま、大丈夫だろう。

案外タフだからな。


--


迷宮から戻った後、タダとトウと連れ立って喫茶室に行った。

そして、タダ様が女性自衛官とお茶の機会を作ってくださった!

詳しいことは言えないが、トウが迷宮で辛い思いをした。そうタダが話すと、女性陣はトウの手を取り勇気付けてた。

「私達を護るために、戦ってくれてるんですもの」


あれ、俺は?

俺も戦ったよ。

「私達は迷宮に入れないけれど、この分屯地の皆が貴方の仲間よ」

「ごめんなさい。頑張ってとしか言えない。でも頑張って」

心を込めた激励だった。

問題は、女性の方々がトウの方だけを向き、俺を一顧だにしないことだ!


--


トウは皆に勇気づけられて立ち直ってるよ。

ナツには、それだけを言って安心させた。

俺は勇気づけてくれなかったけど!


「あんたも意外にタフよね」

ナツが俺を誉めるとは!

まぁ、鬼教官のシゴキにも挫けず、脱走もしてない俺は誉めるに値する。

その後の、女性自衛官との受身の訓練というアメが有るにせよ、俺は褒められるべき男だ。

(バグ)をつけたのは、気にしてないの?」

あーそのことか。


まぁ、あれは仕方ないんだろうな。

協働してるとはいえ、自衛隊と米軍は別の部隊だ。

方針も違えば考え方も違う。

何時裏切るか判らないなら、情報を欲しがるのは当然だ。


それに、水面下で動いてるのは米軍も同じだ。

ナタリーなんか、露骨に俺を取り込もうとしているしな。

「へぇ、わかってたんだ」

そりゃ、あれだけ露骨にやられればね。


「ね、なんで逃げようと思わないの?」

突然、聞かれた。

「アンタだけじゃない。トウもミズもタダも、なんで逃げようとしないの?」

ナツだって逃げようとしないじゃないか。

「アタシ達は覚悟して入隊してる。身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる、と誓っている」

まぁ確かに俺は、国民の負託にこたえるって気持ちは無い。

何で逃げようと思わないんだろう?


「アタシは逃げた。イエから」

それは、あの状況は逃げて良いんじゃないか?

「後で聞いたんだ。アタシは逃げさせて貰ったんだ」


「地元の自衛官募集窓口の人、アタシの許婚の親戚だった」

え?

「そして、アタシの実家の道場の門下生だった」

それは責められるんじゃないか? 親戚と師匠に。

「その人は何も言わなかったけど、多分許婚と父さん両方から頼まれたんだと思う、アタシのことを」

それはつまり、2人とも良い人じゃん!


「だからせめて、アタシは此処からは逃げない。でも」

ナツの真剣な瞳が俺の視線を捉える。

「あんた達は違う。もし逃げたいというなら、アタシは--」

手伝う、とその瞳が告げていた。


ああ、もしもその気になったら、頼むよ。

「おう、任せとけ!」

ドン、と自分の胸を叩くナツ。

その胸は、巌のように微塵も揺るがない。


俺の視線の先を察したナツは、見るみる内に真っ赤になり

「サイテーッ!!」

俺に怒声を浴びせ、去っていった。

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