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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第四圏 貪欲の迷宮
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第四圏 貪欲の迷宮2 -説得-

覚悟ができてるとはいえ、人間それほど非情にはなれない。

健全な精神は健全な肉体に宿る…かどうかは知らないが、不健全な精神で戦闘に突入するのはリスクが高い。

俺はともかく、他の分隊員は数ヶ月のレベルアップを経て、現在に至っている。

もし俺達分隊員が全滅すれば、日本は米軍に数ヶ月後れを取ってしまうわけだ。


それは好ましくない、と判断があったのだろう。

ここ1週間、俺達は迷宮に入っていない。

だが、それはそれでリスクがあったのだ。


考えてもみて欲しい。

洞穴の中でゾンビや熊と戦闘する。

死んでも復活できる、と思いきや灰になることもある。

そんなオファーが来たら、君ならどうする?


Noだ。大文字で特大のNO!


いきなり非日常的な状況に巻き込まれ、それをずっと続けていれば、非日常が日常になり慣れてしまう。

だが、1週間というブランクが、俺達を日常の方に戻してしまった。

「コウ、此処を脱出しません?」

俺にそう聞いてきたのはタダだ。


脱出する方法があるのか?

思わずそう聞き返してしまった。

方法があったらどうするのか。俺は他の分隊員を、ナツを見捨てて脱出するのか?

「コウが居れば、あるいは」

そうタダは応えた。


タダの作戦はこうだ。

食料や生活雑貨を搬入するためのトレーラーが、時折出入りする。

物によっては、基地内で1夜を明かすことがある。

夜中にそのトレーラーに忍び込み、脱出するという。


なんだよ、そのザルな作戦!

そんなのすぐ見つかるだろ。この分屯地の出入りは、かなり厳重に監視されている。

仮に門を出れたとしても、トレーラーからどうやって出るつもりだ。外から鍵掛けられてるんだぞ。

「そこをコウの腕で」

俺は何処の脱出王だよ!


「ダメかぁ…」

タダは諦め切れないらしい。

そもそも、脱出しても行くところが無い。

俺達が知ってるのは、かなりヤバい秘密だ。

そんな俺達を野放しにしてくれるワケは無い。

あっという間に警察に御用だ。


タダは一旦諦めたようだが、このままじゃヤバい。

ということで、俺はとある女性自衛官に声をかけた。

以前、タダと一緒に迷子の子猫ちゃんになった人だ。


かくかくしかじか。


脱走しようとした話は伏せつつ、カツが灰になったところを見てタダが怯えている。そんなことを伝えた。

「判りました。任せて下さい」

力強く彼女は頷いた。

その勢いで、豊かな胸がブルンと震える。


待て。

判ったのは良いが、どうするつもりだ。

なぜトウのところに行って、話をしてる。

なぜ俺に「男子営舎の合鍵を作ってくれ」などと言う。

そしてトウは、なぜ用も無いのに俺たちの部屋に来て時間を潰しているのか。


--


翌日、タダが元気な顔を見せ、もう脱出のことは考えないとか言ってた。

妙にスッキリした顔をしてた。


ぢぐじょぉお…

"迷子の子猫ちゃん"については、「第二圏 肉欲の迷宮6 -馬人-」参照

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