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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第四圏 貪欲の迷宮
28/106

呑み会 六次会 -貧血-

「もう今夜は帰りたくない」

居酒屋(ぱらいぞ)のテーブルに肘を付き、掌で顔を覆ったミズが呟く。


誰も何も言わない、言えない。

カツが灰と化した時のナツの顔、それを知っているからだ。

ナツと相部屋のミズは、いたたまれないだろう。


だが、誰か側についていて欲しい。

ナツに限ってまさかとは思うが、後を追うなんてことは無いだろうね?

「それは多分、無い」

トウが言う。


「灰になってもまだ、復活の可能性は残っている」

可能性が有るうちは、ナツは諦めない。諦めきれない。

ただし、金貨がどのくらい必要なのかは、予想もつかないらしい。


料理は誰も箸をつけぬまま冷めていく。

さすがに酒を呑む気になれず、頼んだウーロン茶のジョッキ。それすら手つかずだ。


「ここに居たか」

隊長の声がした。

「ナツは貧血を起こしたため救護室に運んだ。今、救護班が付いている」

微妙にほっとした空気と、それを咎める空気が混ざり合う。


「ごめんなさい。私、今日はもう引き上げるわ」

ミズも貧血を起こしそうな顔色だ。

「営舎まで送ろう」

隊長が付き添う。

「お前達も、あまり気にするな--とは言わん。だが、覚えておいてくれ」


「自分達は、覚悟はできている」

隊長は、自分自身に聞かせるようにそう言い

「食べ物を無駄にするなよ」

と、から揚げを1つ、口に放り込んで行った。

味なんてしないだろうに。


本当に覚悟なんてものができるなら、ナツは貧血なんて起こさなかっただろう。

救護班が付くことも無いだろう。

あんな光景を見せられて、その後普通に過ごせる者が居るなら、そいつはきっと心が壊れてる。


俺達は、料理を無理矢理腹に詰め込み、居酒屋を引き上げた。

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