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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第四圏 貪欲の迷宮
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第四圏 貪欲の迷宮1 -大金-

火炎が押し寄せる。

盾で防ぐが、肌が焼かれ赤くなる。

火炎は後衛にも被害をもたらし、特にミズとトウが危ない状況にある。

だが、どうしてもこの2人は必要なのだ。


ir-krassen(回復)

ミズの詠唱で、トウが持ち直す。

ɔː-hi-con()centração()

トウの詠唱が怪物の群れを焼き尽くす。


目の前の怪物は、金貨。

箱の中に入ってるアレが飛び回り、詠唱もしていないのに火炎が俺達を襲う。

1つ1つは弱く被害も少ないが、なにせ数が多い。

俺はともかく、隊長やナツの剣撃もあまり役に立たない。


1回の踏み込みで倒せるのは1つ、運が良くても2つ。

全然減らないどころか、どこかから仲間が飛んで来て増えていく。

これは、退避するしかないか?


「トウ!昨日の呪文を!!」

タダが叫ぶ。

昨日、米軍が発見した巻物で学んだ呪文は、まだ効果が良く判ってない。

その上、トウは1度しかその呪文を使えないらしい。


tʃ-zái-ir(消滅)

膨大な数の、全ての金貨が床に落ちた。

つっついてみても、動く気配はない。

あまりの効果に、誰よりも詠唱したトウが唖然としてる。

その一方で、ナツが袋に金貨を詰めだした。


呆然と見ていた俺だが、ハタと気付いた。

「これだけの量があれば」

「ひょっとして、カツが?」

復活できる。


--


「まだ足りんな」

拝金神父が言う。

「1,352枚だ。後、2,000枚くらい持ってこい」

ケチだ。劉さんはドケチだ。

ちょっとくらいマケてくれたって良いのに。

「だから、マケるもマケんも無い」


システムが要求する金貨は、後2,000枚。

「でも、あの怪物と2、3回遭遇すれば」

「ああ、カツが復活できる」

滅多に感情を顕わにしない隊長が、満面の笑みを浮かべて言う。

しかも、怪物はトウの魔法で一網打尽。


俺も一緒に喜んでたが『喜んでていいのか?』そんな悪魔の声が胸で囁く。

喜んでいいのだ!

俺には、タダ先生から女性隊員を紹介して頂くという夢がある。

明るい未来が待っている。

ふぅ。


--


ラボに、今まで無かったくらい大人数が詰め掛けていた。

研究者や俺達分隊員だけじゃなく、非番の自衛隊員が大勢居る。

そして米軍。


何故か焦燥感に駆られた俺は、トウに相談し、ナタリーやマークに頼み、トウと一緒に米軍パーティの隊長に頼みに行った。

彼らが収集した金貨を貸してくれ、と。

彼らも金貨の群れと遭遇したらしく、必用な金貨を快く貸してくれた。

金貨の群れは結構頻繁に出るらしく、トウが居れば直ぐに返せるだろう。


皆が見守る中、劉さんがシステムを操作し、両手を挙げる。

lá-leven(復活)

光が溢れた。


光の中、カツの骨が、腱が、筋肉が、皮膚が、修復されていく。

顔が修復された彼は、自衛隊員らしく引き締まったイケメンだった。

ちくしょう。


ナツが食い入るようにカプセルを、中に入った恋人を見つめている。

その頬に、涙が1粒こぼれた。

まぁ、これは仕方ない。

ここは引かなきゃ男じゃない。

ここは引くけど、その替わりタダ先生! よろしくお願いしますよ。


光が薄れ、完全に修復されたカツの姿がハッキリ見えるようになる。

やがて光が完全に消え--


カツは灰となり崩れた。

"カツ"については、「第一圏 辺獄の迷宮1 -遺棄-」参照

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