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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第三圏 大食の迷宮
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第三圏 大食の迷宮5 -帰還-

どのくらい、迷宮を彷徨っただろう。


怪物に遭遇すること5回。

内3回は退避に成功。2回は戦い、勝ち抜いた。

タダを含め、前から4人は満身創痍。回復魔法も尽きた。

特にナツがヤバい。

後1回でも怪物と遭遇すれば--いや、その時はタダが前衛に出れば良いか。

とはいえ、タダももう限界だろう。


皆、無言で前進して行く。

通路と十字路の繰り返しで、どのくらい歩いたかも定かじゃない。

トウによれば、この迷宮は北の端が南の端に、東の端が西の端に繋がっているため、同じ場所をグルグル回っている可能性も--

「待った!」

トウが叫んだ。


「これを見てくれ」

トウが地図の1点を指差す。

通路の左前と右後ろに扉がある場所だ。

「今、ここにいる可能性がある」

言われてみれば、左前と右後ろに扉が見える。


「右後ろから玄室に入り、もう1回扉を抜ければ階段の場所だ」

確かに。

「トウ、よく気付いた」

隊長が、皆が賞賛する。


だが、扉を開ければ怪物と遭遇する可能性が高い。

ナツはもう保たないだろう。

ここはタダに--

「ナツ、頼む」

「承知してます」


隊長はナツに頼み、ナツは隊長に応えた。

2人とも少しの躊躇も無く。

ニッと笑ったナツの笑顔が、目に焼きついた。

ああ、彼女はこんな風に笑うのか。


扉が開き、閉まる。

目の前には怪物、しかも熊3頭、狼5頭、狼男のような者まで居る。

運が悪いったらない。

だが、此処は逃げることはできない。

此処は超えなきゃしょうがない。


俺は盾と小剣を構え、せめてナツよりも早く、と狼男に突っ込んで行った。


--


良くまぁ生き延びたもんだ。

それも全員。

「いやぁ、もう火花1つも出せやしねぇぞ」

トウがぼやく。

ナツも麻痺してるが無事だ。ただし麻痺を解く魔法は、もうミズもタダも唱えられない。


「で、この箱はどうしたもんかしらね?」

ミズの言うとおり、目の前に箱はある。

開けるさ。

箱の前に座り、息を整える。


「コウ」

隊長に呼びかけられる。

だが俺の心は決まってる。

あ、でも隊長がダメって言うんだったら--

「頼む」

ですよねー


これはまた、ちょっと困った。

下手に開けると爆発する仕掛けになってる。爆発の大きさは判らんが、俺がやられるのは確実。

皆にできるだけ下がってもらい、隊長とタダが盾を構える。

さて、と。


今まで、これほど集中したことは無かった。

鍵を構成する16本のシリンダー。それを正確に位置決めしていく。

4本目に罠が仕掛けてあった。刻み目がつけてあり、位置を間違えさせる仕掛けだ。もちろん、その仕掛けに引っかかれば箱は爆発する。

罠を回避し、全てのシリンダーが揃った時、針金を捻る。


カタリ


綺麗な音がした。

うん、良い鍵だった。

箱を開く。

中にはもちろん金貨、そして剣と日本的な鎧、そして巻物があった。


「ふぅ~心臓に悪いぜ」

近寄りながらトウが言う。

巻物を拾い上げ、眺める。

「どう思う?」

「多分、僧侶系ね」

「覚醒かどうかまでは判りませんけど」

まぁ使ってみればわかるさ。


ミズがナツの側に寄り、巻物を広げる。

ir-kras()sen-kiuɑ()

光が溢れた。


--


隊長が手で合図する。

先頭はナツだ。先ほどの巻物で、全ての傷が癒えた彼女が扉を蹴る。

扉が開き、閉まる。


怪物はいなかった。

そして1区画先に上への階段があった。


階段を昇ったところで、怪物と遭遇した。

ウサギだ。

「行きます」

ナツが飛び込んで行った。

あっという間に殲滅。危なげがない。


その後も、ほぼ守護神ナツが怪物を倒してくれた。

全く危なげなく。でも可愛げもない。

折角の美人なのに、それはどーかとお兄さん思うな。

嘘です。ナツ大明神様、どうか我々を出口まで連れて行ってください。


--


「状況を終了する」

隊長の言葉と同時に、俺たち民間人4人組は一斉に崩れ落ちた。

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