表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第三圏 大食の迷宮
20/106

第三圏 大食の迷宮3 -前衛-

本日は苦しい訓練の日。

特に午前中は、鬼軍曹が猛訓練により、俺の体力と自尊心を根こそぎ奪う予定になっている。

午後の女性自衛官との触れ合いのひとときのため、耐えるのだ俺!

だがその日、俺はナツ共々、道場に呼び出された。


そして今、目の前でボロボロになっているのは隊長だ。

おかしい。

色々おかしい。


隊長の相手をしているのは、司令官室に行った際に俺の後ろに立っていた若い自衛官。

隊長の装備は、訓練用の防護服、長剣、そして盾。

相手の若造は、迷彩服姿にナイフが1本。

それほど動きが速いとも思えないのに、ナツが「始め」と合図した直後には、隊長の首筋にナイフが触れていた。


その後も隊長は翻弄され、ろくに攻撃できない内に時間が終わった。

汗まみれで荒い息をついてる隊長に比べ、汗1つかいてない若造。

どゆこと?

これ、どゆこと?


1. 隊長は実は弱い

2. 若造がべらぼうに強い

3. これは夢だ


1は無いだろう。

迷宮内の戦いを見ても、隊長はナツより強い。

そしてナツは化物のように強い。

故に、隊長は化物そのものである。

うむ、論理的に正しい。


正解は3であって欲しい。

隊長よりべらぼうに強い人間なんて、ちょっとアレだ。そんな人が日本に居たら、俺は安心して外を歩けない。気がする。


ようやく普通に動けるようになった隊長が審判となり、ナツと若造が構える。

若造は今度はナイフすら持たない。無手だ。

「始め」

隊長が言った直後に、ナツが足を払われ倒れる。

やはり正解は3。決定。マチガイ無い。


10分も経たない内にナツもボロボロとなり--

ここはどこ?

私は誰?


ここは武道場。そして俺は若造の対戦相手。

ちょっと待って!

無理でしょコレ。

俺をこれ以上ヘコませてどうする。

俺は褒められて伸びるタイプなんだから!


「始め」

隊長の掛け声の直後、若造が動く。ヒヤッと鳥肌が立つ間もあらばこそ、手刀が喉に突き立つ。

元の位置にに戻って--礼して帰らせてくれ。

ダメですか?

ダメですね。


若造が動き、避けようとしても倒され、極められ、突かれる。寸止めだが。

身体が無理に動こうとして、滅茶苦茶疲れる。

10分の持ち時間が切れる頃には、意識も朦朧としていた。


--


「ふむ、彼なら良いでしょう」

俺の訓練が終わった後、若造が言う。

「では細川1曹、相手を」

若造が俺の後ろに回り、俺の腕を持つ。

2人羽織りのような格好だ。


「お願いします」

隊長が俺に向かって礼をする。いや、俺を2人羽織りしている若造にだ。

「始め」

ナツが掛け声をかける。


いや、いやいや、なに始めちゃってんの!

始めちゃダメでしょ。剣持ってるの、俺よ!?

隊長が長剣を振りかざし、俺に襲いかかる。

待ってー。

死ぬ。練習用の模擬刀でも死ぬ。


ガンッ!


隊長がぶっ倒れる。

俺の小剣が首筋に当たったのだ。

隊長の長剣は、空を切った。

俺の腕を持った若造が、隊長の攻撃をかわさせ、小剣を振り下ろさせたのだ。


直ぐに隊長は立ち上がる。

衝撃を逃がすため、自分から倒れたようだ。

「次は合図なしで始めていいよ」

この若造、とんでも無いこと言いやがる。


恐ろしい経験だった。

本気で構えた隊長は強い。化物だ。

切ろうが叩こうが揺るがない岩のようだ。

なのに自分の腕が隊長を翻弄する。

まぁ俺自信は操り人形なのだが、どうしてこんなことができるのか、まるで判らない。

判らないのに、結果だけが出る。

鳥肌が立ちっぱなしだった。


--


午前中で、若造の訓練は終わった。

「後2日間やろう。そうすれば、彼は前衛で使えると思うよ」

へ?

彼って誰。前衛って何。

どゆこと?

それ、どゆこと?


「現状では、我々は火力も防御力も足りない」

若造が去った後、ナツが言う。

「剣が使えないタダでは火力が不足する。そして折角の呪文も前衛では使い難い」

まさか。


「それを解決する方法が1つ」

よもや、もしや、さては。


「コウ、お前が前衛で戦い、タダが後衛で防御呪文を使う」

鬼軍曹が、少しだけ申しわけ無さそうな顔をする。

鬼の目にも涙、いや涙は無い。


たしか昨夜、ナツは言っていた。

『ですがもし"彼"が死に、復活もできなかったら』

昨夜、確認しとくべきだった。

"彼"って誰!?

誰のこと!?

まさか俺じゃないよね?

そうじゃないと言って欲しい。是非。


--隊長の戦い方は、間違ってるかも知んない。

"若造"の初登場は、「第一圏 辺獄の迷宮4 -勧誘-」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ