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ダンジョン&第16普通科連隊ズ  作者: tema
第一圏 辺獄の迷宮
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第一圏 辺獄の迷宮1 -遺棄-

「益田浩二さん38歳、住所は東京都練馬区、有限会社The-Tech勤務、こちらへは旅行で?」

細川さんは、俺の免許証や保険証などを見ながら質問する。

俺は無論、素直に答える。

甲冑を着込んだ自衛官に職質を受ける。とてもシュールな光景だが、先ほど剣を突きつけられた時の恐怖は忘れちゃいない。


「ここはとても危険な場所です。色々疑問はおありでしょうが、我々の指示に従って頂きたい」

そんな言葉にも、素直にうなずく。

「皆、カツの装備を外す。手伝ってくれ」

細川さんの視線の先には、どう見ても死んでいる"彼"が居た。


「そんな!」

小さな声で叫んだのは、俺より年上のお姉様。

若い頃はさぞかし美人だったろうと思わせる容貌。

革鎧を纏った姿も結構似合っている。気がする。

ただしその顔色は酷く悪い。


「カツを抱え、益田さんを護衛することはできない。カツは此処に置いて行く」

ローブを着た眼鏡の男が遺体に近づき、篭手を外す。

つられるように、革鎧を着た若い男が具足を脱がす。

遺体の装備が、俺の前に積み上がる。


「着れるかどうか、試してみて下さい」

ほ、細川さん、ひょっとしてそれ、俺に言ってます?

遺体が纏ってたものを俺に着ろと?

誰か助けてくれないか、何か言ってくれないか見渡すと、ローブを着た眼鏡男と目が合った。


「疑問は尽きないだろうが命に関わる。着れるなら着た方が良い」

ローブの彼が言う。そして眼鏡の奥の瞳は真剣だった。

マジですか?

マジですね。


震える指を篭手に伸ばし、取り上げ--られなかった。

なんだコレ!

無茶苦茶重い!?


他の装備も試したが、どれも数10kgはありそうで、持ち上げるだけで精一杯だった。

唯一革の鎧だけが軽く、血にまみれたそれをライディングジャケットの上から身に付ける。

装備を外された"彼"は迷彩服を着ており、いかにも自衛官という感じだった。


冥福を祈るべく手を合わせ--ようとした俺の手を掴み立ち上がらせるロボ--いや甲冑姿の自衛官。

さっきからコイツだけは話そうともせず、表情も兜に隠れて読めない。

不気味だ。

遺体の"彼"より不気味だ。


「タダ、前衛に。益田さんは後衛に」

細川さんの声に革鎧の若い男が前に行く。

俺はローブの眼鏡男に手招きされ、その側に。

「前進する」


ズシャッ。


先頭を行くロボ--不気味なアイツが立ち止まる。

すかさず皆が構える。

俺?

俺は、おろおろしていた。


数瞬後、前方の暗闇から白い人影が現れた。

おろおろしていた俺が固まる。

何かの冗談か?

冗談だよね。

お願いだから冗談だと言ってくれ。


その人影は、あちこちに骨がむき出しになったゾンビだった。

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