グルミナ・通り魔クロード
この世界に来て初めての大海原を見下ろしながら、クロード・クライスは大空を飛ぶ。
重力操作……そう言っても星自体の引力と自転による遠心力の二つを解析、分解し改変している。言い換えればベクトル操作系の魔法、それの重力関係専用バージョンでしかない。しかしクロードの場合は……あれやこれやと弄られていることもありそれ以外、頭の中のチップを利用した演算補助ですごく小さな範囲(素粒子に干渉して放つ”砲撃”など)から衛星軌道(微細照準不可の隕石など)まで対応できる。
……と、言うわけだが実際のところ本人がイメージできる範囲でしか能力の行使が出来ないのが現状。
「海……嫌な予感しかしねえ」
見下ろす海原には影が見える。長く、巨大な蛇のような影。それは龍、人がまともにやり合って勝てるような存在ではないが、かつて飛龍と海龍を相手に戦った側としては勝てるけど面倒だからやり合いたくないが正直な気持ち。
「まぁ、手ぇ出してきたら沈めるか」
高度を上げながら呟く。海の龍が高高度まで手出ししてくることはないだろうと。
そもそも戦うのが嫌ならば、天城のように遥か彼方まで弾き飛ばすか地面に縛り付けて逃げてしまえばいいだけのこと。……とは言え、それが通用しないのが空中。
「どけこらぁぁぁーー!!」
「はっ――」
声に誘われ前を向けばその瞬間、時速三百キロ越えの正面衝突。
「いってぇっ! 誰だっ!」
視界いっぱいにアラートが展開され、椎骨各部の破裂骨折や頭蓋の陥没、筋肉の断裂と危険域の出血その他諸々が緊急再生で修復されていく。弾け飛ばなかったのは奇跡としか言い様がない。
そして痛みなど意識するだけで簡単に遮断できるクロードには、即死級の事故も本来意識がブラックアウトしてしまう致命傷も意味をなさない。
「……どこ行った?」
見回しても見つからず、磁力を使って走査してみれば超高速で飛び去って行く誰かと近づいてくる群れがあった。
「おい……そりゃね――」
まるで砲弾……フル装備の竜人や翼竜が飛来し、肌を掠めゴンッ! と直撃して弾き飛ばされる。今度は障壁が機能したが、弾き飛ばすのではなく飛ばされた。
「対応できなさそうな……」
今までのパターンからすると完全無効化されないまでも、その一歩手前であれば少々負ける可能性が出てくる。下手して襲われないうちに逃げようとそっと高度を下げていく……のだが。
「運がねえ、つーかこれは戦闘エリアに入ったか?」
海面を大量の海龍が泳ぎ、ふと落ちた影に空を見ればこれまた大量の飛龍。
本格的に戦闘モードに移行して飛行速度を上げる。艦砲射撃を弾き飛ばすほどに障壁を強化し離脱を図る。
龍族の戦闘に巻き込まれるなど考えたくない。下位ならば面倒な戦いですむが、高位の龍族が出てくればいくらクロードでも封印される可能性が無いとは言い切れなくなる。
低空飛行で光をねじ曲げ光学迷彩まで実行して飛ぶ。
勝てるとか思っちゃイケナイ、やれそうだけど……なんて感じでどこかに不安要素を残したまま挑めば負けるのがオチだ。
「警戒した途端にこれだよ……」
すぐ近くを青い迷彩柄の服を着た何者かが飛んでいく。
クロードはそれがどこの所属でどういう組織なのかをよく知っている。
バレてない、バレてな――ひょいとUターンして、
「ちょっと手伝え」
そんなところの服を着たスコールがそんなことを言うものだから。
「嫌だ」
どんな手を使って隠れても通用せず、星一つ軽く滅ぼす力を持った連中。
現行世界のアカモートの主力部隊よりも数段劣るとは言え、正面切って戦えば消される。
そこまで強いところの所属を装って戦闘を仕掛けるような相手は……関わっちゃイケナイ。
そのまま飛んで逃げるに限る。
「ついて来んな! 光学迷彩効いてる!?」
「一応言っておこうか。妨害系専用補助具四連、キャストギア自体の演算処理を阻害するからな」
「……余計に来るな! お前なんでそんな格好でここにいる!?」
「そりゃほら、そこの龍族の正規部隊潰しに来た訳で」
「まさかアレ、お前一人から逃げてるのか」
「否定はしない。逃げられると面倒だから、餌になれ」
「さらっと言うことじゃねえよ!?」
一部、大型戦闘機以上の巨体で音速飛行をする龍族とのドッグファイト……不可能ではない。不可能ではないが、ミサイルの代わりに撃ちっぱなし可能な追尾魔法、近接着発時限感圧とマルチモードを備える悪魔的攻撃が迫る中でのおいかけっこ。
やりたくない。
その一言しかない。
「大丈夫だ。たかが国一つ滅ぼす飛龍が四十と大艦隊沈められる海龍が二十に……竜人族のエースと龍神族のちと今のまま交戦するのは厳しいのがアホらしいほどいるだけだ」
「嫌って言ってるのが分からない?」
「聞く気が無い」
「酷いっ」
「まあ嫌ならせめて見た感じ時速三百キロ越えで衝突しても大丈夫な、竜人族のエースだけでも墜とすの手伝え。フレア使いやがるから手の出しようがない」
「フレアって何、魔法用のデコイとかお前以外に使えんのかよ」
「自力で使うのは普通無いがあいつら使う」
「……一抜けた!」
そんなバケモノの戦争に首突っ込んだら死ねる! クロードは空間に穴を開け逃げようと――
「どけぇっ!!」
――して、時速三百キロ越えで飛来したそれに片腕を弾き飛ばされた。
「二回目はねえっ!」
衝突のエネルギーが伝わる前に自切して大変な大怪我を回避する。そう何度も受けたくないし、出来れば自切もしたくない。
「初めて見たな。やれるだろうと思ってたが、なんでいままで使わなかった」
「普通出来てもやらなねえよ!? 再生用ナノマシン使ってそういうこと出来るけどやらねえよ!?」
遥か彼方まで吹っ飛んだ片腕は、内部に残ったナノマシンによって分解され証拠を残さずに消え去る。それと同時に周囲から物質を集めてせっせと体内のナノマシンが修復処理を行っていく。
「なあ、これどうやって空気中から収集してんだ?」
「トーリのアセンブラ見たことないか」
「……あ、分かった、うん、それの話はやめにしよう」
怒りを通り越して無表情になった人がしたアレを思い出したくない。
そして、もう一つ。
「なあスコール、龍族殺しに来てんだよな」
「そうだが」
「じゃあお前の背中に掴まってる竜人は」
時速三百キロで衝突して平気な顔をしている時点でまともじゃないのは確定だ。
「王位継承権はかなり低いが、お姫様」
「…………。」
今度こそクロードは全力で逃げた。
軍としてぶつかるならまだいい。国の中のドロドロした話に呑み込まれるのは絶対にごめんだ。
1
太陽が中天の少し手前に近づいて日差しに背中を焼かれ始めた頃。クロードは光を真上に反射して、下から見ると黒い影が飛んでいるように見える状態になって飛び方を変えた。
「あっつ……」
普通高高度を飛ぶと寒さを感じながら日焼けの痛みを味わうことになるのだが、クロードの無意識下の障壁で自身周辺の空気を一部穴を開けて固定し、適度に炙られるような状態になっていたのがあだになった。
「空気の殻で包んで、重力完全シャットアウトすりゃ瞬間移動……計算めんどくせえな」
考えはしたが、星の自転、公転、惑星系としての動き、銀河としての動き。すべて観測してリアルタイム処理をこなさないと下手に遮断すれば――星に衝突して消し飛ぶ。そしてそもそも規模が大きくなると自分の感覚で捉えきれないため実質不可能。
仮に自分が認識する範囲しか存在しない、そういう風に一部の魔術師のように現実を曲解して干渉しても秒速何キロメートル? とかを余裕で超えていくシャレにならない速度域だ。下手すれば星に置いて行かれるし、ちょっとでも障壁のタイミングが合わなければ燃え尽きる。
「はぁ……」
昔、魔法基礎で習った。
重力操作系は星の重力を制御し、強さ、向きを変えるものである。その改竄は事実上重さの変化であり、物を軽くして持ち運び、投げ飛ばし、飛び上がる。逆に重くして動けなくし、自重で押し潰すことができる。 向きの改竄は星の重力が働く方向を制御し、真横や空に向かって”落下”し、壁や天井を地面として立つことが出来る。
思い出せば最初に重力関係で教えられた後に、斥力って重力操作じゃなくて電気系魔法に入るからとか言われたような気がしなくもない。
それでもなぜ出来るのか、答えは簡単。引力と斥力、単純に符号《+-》が違うだけと認識してそもそも方向性に縛りはあれど大して厳しくない疑似魔法を使えば出来てしまう。
……クロードの場合、引力と斥力の操作とその応用が主で有り、いつぞやはそもそも別系統の概念操作ではないのかと言われもしている。
「あぁ、魔法とか魔術とかめんどくさ。人と時代で言うこと変わるとか――」
肩に刺すような感覚を覚え、すっと軌道を変える。その瞬間に矢が空へと消えていった。下は木に覆われどこから射かけられたのかは分からない。
どうも気づかないうちに、緩衝地帯を越えて人族の領地まで来ていたようだ。
「やるか」
すぐに二本目の矢が射かけられ、即座に重力制御で絡め取って制御下に置く。続けて磁力走査を放ち位置を割り出す。数のところは六人。剣士が三人、魔術師が一人、弓使いが二人。よくもまあこんな高いところまで届かせることができるなと思えば、どうやら魔術師が強化術式を使っているようだ。
「動かない射手は的だ」
重力操作のいいところは、自由に基点を決めて”落とす”ことが出来ることだ。例えば、頭を基点にして矢を落とせばどうなるか。上手いこと障害物を間に挟まなければ避けようのない魔弾になる。
状況はいい、向こうから届くと言うことはこちらからも届くと言うこと。
ヒュッと風を切り、悲鳴も何もなく、地上で射手がどさりと倒れた。
パーカーのジップを引き上げフードを深く被って急降下。集団の中心に降りたクロードは素早く飛び回り、魔術師以外を黙らせた。魔術師ともなればそれなりの知恵はあるだろう、少しくらい交渉ができると思ってだ。
「焼き尽くすほのぅぐむっ!?」
詠唱する口を掴んで黙らせる。
「死にたくなけりゃ金目のもの全部出しな」
手の中に火炎弾を顕現させかけていた魔術師に対し、プラズマ球を突き付けながら威し付ける。傍目から見れば無詠唱の上級魔術師だ。剣士ならばここで無茶な抵抗をしようとするだろうが、魔術師ならば生き残るために最善の手を打つだろう。
怯えた魔術師は、背嚢から高そうな魔法薬やその材料を出す。どれもこれも市場ではちょっと高いくらいの品物だ。
「……硬貨は」
黙り込む魔術師。
「ないのか」
首を真横から殴って折る。他の者の荷物を漁ってみるが特にこれと言ったものはない。無駄な時間を使ったと思いながら、今度は地上を歩いていく。特に整備もされていない獣道のような場所だ。すぐ横は茂みがあり森に通じている。こういうところでは待ち伏せと包囲で人を襲う輩が出没するものだ。さきほどの輩のようなのが。
「とおりすがっただけ、なんて言ったところで見逃してくれないよな……あぁ嫌だ、なんでどこに行ってもこういうことになる?」
薄汚い襤褸切れを被った者達が走ってくる。その後ろには兵士のような格好の者達が多数見受けられる。
磁力を使った走査を行えばさらに多くの反応があり、どうも逃げ出した者達を追いかけているようだ。それに合わせて潜伏中のやましい者達まで逃げている、といったところか。
さきほどの連中はやましい者。逃げる途中で空から追いかけてきた魔術師だとでも思ってクロードを攻撃したようだ。
「さて……」
姿勢を低くしてもう一度走査する。
前から逃げてくる者達はいまにも倒れそうなほどに消耗している。そして案の定数人が倒れて、置いて行かれ、追いついた兵士たちに乱暴に取り押さえられた。
「こっちに来るかぁ、やだやだ関わったらぜってー面倒くさい」
適当に茂みに飛び込んでやり過ごそうか……と、すぐに追いかける兵士らしい輩がクロードに引っかかり盛大に倒れ、後続に発見されてしまう。
どうもこの死神、平穏などというものに見放されているようでもある。
「なんだ貴様は」
面倒くさいことになったなぁ、と。どう頑張っても勝率百パーセントの戦闘は避けられそうにないが、無駄に足掻いてみる。
「……と、通りすがりの旅人」
「ほぅ? どこの国の」
どこの国、そんなこと聞かれて魔王の国から来ましたなんて答えられる訳はない。
「…………。」
「なぜ答えない」
どう答えても敵として扱われる。敵国の人か、魔族の仲間か、下手すれば裏切り者の勇者か。
「答える前に聞かせてくれよ、あんたらはなんだ?」
兵士のような格好をしてはいるが、徽章の類いが見当たらない。それに装備も統一されているようでところどころ不揃いだ。
「ダバードの警備隊だ。貴様も答えろ、でなければ賊として扱うぞ」
「…………はぁ」
やっても問題なさそう、オマケに好きじゃないタイプの悪人どもだ。
「うせろ」
目の前に鎧目掛け拳を突き出し、鉄の鎧を凹ませ骨をもへし折り肺に甚大な損傷を与える。
「貴様っ! 我々を誰だと思っている!」
「わりぃ、なんかあんたら、兵士の格好した賊に見えんだ」
「なっ……ひ、ひっ捕らえろ! こいつも連れていけ!」
「本性出したなぁ……正規軍なら常に徽章を付けろってんだよ」
剣を抜いて斬りかかってきたそいつに合わせ、クロードも踏み込んで間合いを一気に詰め、蜘蛛の巣を払うような動きで剣をポキッと折る。
「は……ぁ?」
溶かすでも消失させるでも無く、折るという現実的ではない現象に、驚いて動きの止まった兵士? に足を掛けてひざまずかせ、徐装(武装を剥ぎ取る)させてみれば下は兵士とは思えない安っぽいものだった。おまけにどこを見ても、必ずあるはずの所属国や組織を示すための紋章の類がどこにもない。この御時世、冒険者だって所属ギルドの紋章をどこかに付けているというのに。
「知ってるよな? 賊ってどういう風に扱ってもいいってことを」
「ふざけるな! 我々は」
「勝った方が正義だ。所属を示すモノがなけりゃどんななりしてたって関係ねえ。まあ、不運にも表沙汰にできねぇ任務のために外してたとかでも、自分の運の悪さを呪ってやれ」
そう言って足元の無所属を蹴り倒す。ここまでしてようやく、襤褸切れを取り押さえていた者達が一様に剣を抜いてクロードを囲むが、それは恐ろしさを知らないが故にできる行動。やってはいけないこと。
「八対一だ。大人しく投降すれば手荒な真似はしない」
優しく言われた最後通告、それを無視して同じことを返す。
「一対八だ。今すぐに武器を捨て降伏せよ、そうすれば殺しはしない」
敵は投降を、クロードは降伏を。
「お前、この状況が分かっているのか? 不利なのはお前だぞ?」
「テメェらこそ分かってんのか? 不利なのはテメェらの方だ」
プッ……ツン、と何かが切れた。
最初に斬りかかった者は、斥力操作により瞬間で赤い霧に成り果て、次いで視覚外から剣を突き出した者は、見えない壁に弾きかえされてその場でバランスを崩す。
「な、なんだ魔術師か」
「勝手に判断して、間違いなく誤解しろ」
ズバァッ! と激しい閃光を散らして光球が出現し、咄嗟に人質を取った者以外が焼き払われる。それは森の木々に触れる寸前で消え、熱風で少し焦がす意外に被害を及ぼさなかった。
残るは一人。襤褸切れを被った者を盾代わりにしている。周りの襤褸切れを被った者達は、逃げ出すべきかどうかを判断しかねている。逃げたら後ろからやられるのではないか、そんな間違った恐怖がある。
「こ、こいよ」
震えた声で残りの一人が挑発する。それに腕を向けると、さらにガタガタと震えが酷くなった。もうこの時点で兵士でないことが確定している。
「…………はぁ」
脳に照準を合わせ、ぎゅっと拳を握る。頭蓋の中で脳を掻き回す、ぐちゃぐちゃに掻き回す。すると、その身体が形容し難い動きをした。外側から一切の攻撃をせず、内側を破壊するとどうなるのか、貴重であり気持ち悪いものを見てしまった。襤褸切れを被った者達のうち数名はその場で吐いた。
クロードは今後この攻撃方法はなるべくやらないようにしようと、心のメモ帳にそっと書き込んだ。
「な、あ、あんた」
その中で吐かなかった者が話しかけてきた。それでも顔色はかなり悪い
「逃げるならさっさと行け。ほら、戻ってきた連中に捕まるぞ」
「……感謝する」
「どうでもいいから早く行け」
見送りもせず振り返れば、そこには襤褸切れを被った者を捕らえた兵士ではない者達が三名。
クロードの周りの状況と惨状を見るや、一人が言葉もなく仕掛けてくる。
「なんとも厄介な連中だことで」
低い姿勢から剣を逆袈裟に振り上げてくる、それを叩き折る。
「んなっ」
「こんなことでイチイチ驚いてんじゃねえぞ」
蹴り飛ばし、右手でナイフを二本抜いて同時に投げる。放物線も描かずに飛んだそれは、襤褸切れを掴んでいた二人の首に突き刺さった。解放された者は、すぐに死体となったものから剣を奪って、クロードが蹴り倒した者に突き立てようとしたが、
「待て」
「どうして!」
声からして女だ。それも若い。
「殺したら拷問できなくなる」
「…………、」
剣を離させ、蹴り倒した兵士の首を強くつかむ。
「正直に答えれば俺は何もしない」
ガクガクと首を振った捕虜を睨みつける。
「あんたら、何をしている?」
「…………、」
「答えろ」
軽く腕を捻り上げて、関節をポキッとやってやると素直に吐いた。
「だ、ダバードの奴隷商だ」
「それで?」
「…………、」
これ以上は言えない、そんな目をしているが――――今度は踝のあたりに膝を思い切り押し付けてボギッ。
「ぎゅぐっ! こ、こいつらは商品で、逃げ出したからかいしゅ……」
「どこから連れてきた、あぁ? 言えコラ」
容赦なく更に数本骨を折る。
「どこからって、あちこちで攫ったに決まってるだろうが」
「なるほど」
隣の女に目を向けると、確かに隙間からは何もつけていない素肌と、首輪が見えた。とくに肌には痣と汚れが酷い。攫った後で相当に酷いことをしたのは確かだろう。
「それじゃあとは好きにしろ」
若い奴隷の女に剣を渡すと、クロードはこれ以上厄介ごとに巻き込まれたくがないがために、全力で走り去った。
……その後、一応助けた者達は全員が捕らえられ、とてもひどい目に遭わされたことをクロードが知る由は無かった。




