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8話 光

皇離の決断によって、フィリピンに向かっていた紀伊は、何だか嫌な空気が漂っていた。そんな中、龍希は雪を探していた。

「結月! 大丈夫…?」

龍希は、一人物陰にいる結月に声をかけた。振り向いた結月の目は真っ赤になっていた。

「あ、龍希さん…私…」

「緋奈もきっと反省してると思うよ。」

「私、両親からは何も言われてなかったんですが、祖父祖母に期待されていて。私の家自体ちょっとおかしくて…母の方の家系なんですが、父は何も言えなくて…だから祖父と祖母を怒らせないために勉強を頑張りました。結果が良ければ何も言いませんけど、悪いと怒られ、酷い仕打ちをされました。運動に限っては、もっと酷かったです。それでマラソン大会を頑張ったんですけど、努力はしても無理でした。両親は私を褒めるなと言われてて、私の努力を認めてくれる人はいませんでした…龍神さを祖父達に重ねてしまったみたいです。申し訳ありません。以後気を付けます…」

雪の顔は曇っていた。

「俺はさ、何か言える身じゃないけど、結月のやってることは決して無駄にならない…と思う。確かに結果が一番かもしれないけど、俺は君の努力を肯定する。」

雪は驚いた表情と今にも泣きそうな顔で固まっていた。と、突然龍希の頭に何かが思い浮かぶ。

大人が一人俺を見てる…大人は笑みを浮かべ、俺を見た。するとドアが開く音がして、もう一人大人が入ってきた。この風景は? 笑みを浮かべていた大人は怖い顔をしてもう一人の大人を見た。そして…

と、突然頭痛に襲われた。毎度のことながらなぜこんなことを?

「ーーーさん? 龍希さん? 大丈夫ですか?」

「あー悪い、記憶が…!?」

龍希は立ち上がって能力を使った。自分でも原理を理解出来ていないが、物体を消す力と流れを制御する力が使える。今回は物体を消す力を使う。雪を狙っていた何かを消し飛ばした。消した本人である龍希すら何を消したのか分からなかった。正確には黙視出来なかった。

「り、龍希さん? どうされたんですか?」

「ここは俺が受け持つ! 皇離を呼んできてくれ!」

雪は、状況を把握していなかったが、小さく頷き艦内に走っていった。龍希は雪を狙った…いや、紀伊を狙った何かを探した。が何もない。刹那、再び能力を使った。完全に直感に任せていたが、しっかり何かを消した。龍希は、消す前にかすかに光を黙視した。

「龍希少年ー! 一体な、」

「分からない! 敵襲かもしれない。何か光が…」

「ひょっとして…まずいな…うんそうだよな。絶対そうだよな?」

皇離は一人で納得しはじめた。

「何が!? まじでやられるぞ!」

「この方向にはフィリピンがある。そんで俺達は通信を勝手に拾って救援に向かってる訳だ。フィリピンから狙われてもおかしくないだろ?多分中国だと勘違いされてるんだろ?」

「無線で繋げばいいだろ!」

皇離は首を横に振って、

「ここは頼んだ。バカを呼んでくる。これを発生させてる本人をあいつにやらせる」

皇離はその場を離れた。龍希は再び一人になった。

「とは言っても100%止められる自信がないしっ!」

「お困りのようだね。僕の出番?」

「か、和也! さん…」

「僕を侮ってるな? こう見えて目はいいんだ。」

龍希は絶対的に危ないとは思いながら構っている暇がなかったため、適当に答える。

「俺、余裕なんてないんで俺が逃したやつお願いします。」

「了解です! 」

二人は身構えた。龍希は感覚に頼って能力を使った。が、今度の光は2つ飛んできた。龍希はあわてて和也の方を向いた。和也は、つばぜり合いに近い状態になっていた。が今にも剣が折れそうな音をちらしていた。龍希は急いで右手を伸ばし、物体を消そうとした。と、突然物体が速度を落とした。

「っう、はぁぁぁ!!!」

和也の剣は、物体を切り裂いた。切り裂いた物体は、高音をたてて落下し、すぐに消えた。

「これは光だな。」

そこには皇離がいた。

「今バカが一足先に陸地に向かってる。んで、この光だが、敵か味方か…」

「今は速度を上げて港に急ごう。深刻な状態なのかもしれないし。」

「よし! 全速全身でサマー島に行くぞ!」

3時間後、紀伊は何事もなくフィリピンに上陸出来た。フィリピンにつくと、すぐに人が集まった。

「我々は、先程の救援信号をキャッチして来たんだが…」

皇離が大声で叫ぶと、軍人らしき人物が近寄ってきた。

「先程、空を飛んできた方が中国の戦線を押し返しています! 向かえる人は至急救援お願いします!」

「カズ、龍希少年! 今すぐバカを援護しに行け!」

皇離の指示で、二人は戦地に向かった。サマー島の北端の方で戦いはおこっていた。しばらく時間をかけて戦地に向かった。が、既に戦いは終わっていた。駆けつけるとそこには拳と、一人の少年がたっていた。少年は手に光の槍を持っていた。


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