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5話 青ヶ島大戦Ⅲ

皇離が和也がしんがりをやっていると知らさせた頃。和也は、

「お前は何者だ? 本当に人間なのか?」

「そういう貴様こそ、何の力も持っていないくせにその剣筋…俺が王ならお前を将軍にしてやりてぇくらいだぜ?」

和也の対峙していた相手は赤髪、紅色の鎧、拳並みの体つきだった。和也は何となく気がついていた。こいつは人間じゃないかもと…そして勝機はほぼ0だということを。

「お世辞をありがとう。これはマジで死ぬかもしれないなぁ…拳と同格いやそれ以上か?」

和也は本気だった。冗談を言えるほど心に余裕がなかった。

「確かに死ぬかもなぁ。でも俺が貴様を能力で殺っても何も面白くねぇ…だから俺は貴様と対等になろう。」

赤髪の大男は手を前に出し、空中に炎の塊を作り出し、その塊を伸ばし一本の剣にした。

「恐ろしいなぁ…アメリカ海軍達はこんな気持ちだったのかなぁ。いざ相手にするとマジでヤバイ。てゆうか君アメリカ人じゃないでしょ?」

「今一脈絡がないな。お喋りなやつめ。なら貴様が俺の体に傷をつけたら教えてやる。俺はこの剣以外は能力を使わねぇ…どうだ?」

「随分と余裕だね…それじゃあ先いかせてもらうよ!」

和也は全神経を研ぎ澄ました。そして左手に持つ剣を再び握り直し、走り出す。

最初の一撃目、右上から左下! 赤髪はそれをなんなくかわし炎剣で和也の腹を突く。すかさず和也は左下にある剣を右上に持ち上げ、炎剣と接触した瞬間、手首をかえすように炎剣を弾く。右から左に動く力を利用し、斜め前にジャンプしつつ反時計回りに一回転する。赤髪の炎剣による追撃を阻止するために右手で赤髪の右肩を固定し、その右手をさらに遠心力に加える。

「ぅおおおおおお!!!」

雄叫びと共に、不可避の一撃を直撃させる。そして和也の剣は赤髪の左肩から右の脇腹まで通った。肉がちぎれる音と赤髪の悲痛の叫びが響く。

「うわぁぁぁ!!!」

和也は一旦後方にとぶ。

「案外ちょろいのかな?いや能力なしで僕が有利なだけか…どちなにせよ教えてもらうよ?」

「ぐっ、思っていた以上だ。ぐはっ! はぁはぁ、ふぅー。俺はアメリカ人じゃねぇ…これで充分か?」

「あぁ充分以上だ。それが聞けてよかった。しんがりはこれぐらいで充分かな…これで僕は撤退させてもらうよ。」

「おいおい? 俺から情報を聞き出しておいて、しかも負けたまんまで、おとなしく帰すとでも思ったか?」

赤髪は炎剣を空にかかげた。すると炎剣は全方向に拡散し、和也と赤髪を火で円上に囲った。

「おいおい…洒落にならないよ。マジで僕死ぬのかよ…」

「貴様に選択権をやろう。ここで死ぬか、それとも俺と来るか。俺は貴様が気に入った。」

「悪いけど僕は皇離の元で戦うって決めたんだ。それに僕には仲間がいる。」

赤髪はやや険しい顔をして、やがて笑みを見せた。

「仲間か…俺は嫌いじゃない。我名は炎帝ガイダルぅ! 我全力を持って貴様を討ち滅ぼすぅ!」

「炎帝…君はなかなかいいやつだな。僕は剱谷和也! 参る!」

少年は走っていた。和也に恩返しをするために。と、突如前方で火柱がたった。

「急がないと!」

無我夢中で走った。そして目の前に、火で円上に囲われている場所を発見した。

「はぁはぁ、お前は痛まないのか? 最初のっ、傷は」

「ダメージは負っている。思うように力が出せんからな。」

「これでかよ…はぁはぁ、っ、こっちは全身火傷で死ぬよ。」

「普通ならとっくに死んでいる。その服のお陰で死なずに済んでるのかもな。」

「これは叔父から貰った物だ。念の籠った物だって、っ、言われたな…まさかこんな力が備わってるとは。」

「ふっ、そうか…だがここまでだぁ!!! 死ねぇいぃぃぃ!!!」

和也の元に炎の玉が飛んでくる。ここまでか…和也がそう思った時、炎の玉は消えた。

『!?』

そこには火の囲いに穴を開けて中に入ってきた少年がたっていた。

「遅くなりました。ここから俺がやります。」

「ふっ、君ってやつは…」

和也は力が抜けたのか少年にもたれかかった。

「あつ!」

和也は一人で歩けるような状態ではなく、それどころか瀕死の状態だった。

「あちっ! マジあついんですけど。」

声の主は少年をあとから追ってきた緋奈だった。

「ひ、緋奈? どうして…」

「べ、別にそこのムッツリ剣士に助けてもらった仮を返しに来ただけだし! 下着見たのは別件何だから!」

「緋奈! ここは危ないから離れろ!」

「あたしがそのムッツリ剣士連れて帰るからあんたはそのおっさん倒して戻ってきて!そんで名前…」

「緋奈…ありがとう。絶対に戻る。」

「べ、別にお礼なんていいし! ほら早くそのムッツリ剣士渡しなさいよ!」

緋奈は和也のの肩を持ってその場を離れようとした。

「おとなしく帰さないと言っているだろぅ!!!」

ガイダルは和也と緋奈に向けて炎の玉を撃った。が、またも少年にそれを消された。

「緋奈には指一本触らせない。」

「貴様誰だ? どこかで見たような顔だ…」

「悪いな。俺は記憶を失っていて名前すら分からないんだ。」

ガイダルは少年の顔をまじまじと見つめた。そして顔に笑みを浮かべ、高笑いしはじめた。

「どうしたんだよ。」

「すまん、すまん。そうか貴様、あの時のガキかぁ! だとしたらどっちだ? まぁ気にすることでもないか…それなら俺が貴様に勝てるかどうかが危ういなぁ…だが殺ってやる! 我は炎帝ガイダル! 全力をもって貴様を討ち滅ぼすぅ!」

ガイダルは炎剣を何本も生成しはじめ、その炎剣で少年の周りを囲んだ。そして一斉に少年を炎剣で串刺しにする。少年は炎に包まれた。が、炎はすぐに晴れ無傷の少年がたっていた。

「やはり格が違うか…全力を出せればいけたかもな。」

「そんなことはどうでもいい。お前、俺の何を知っている?」

少年はガイダルに疑問をぶつけた。ガイダルはその質問に答える。

「俺はどこまで話していいのか知らないから止めておこう。こんなことで自分の首を絞めることになったりしたらとんだ笑い話だからぁ。まぁお前が俺の顔を見て全く思い出せないなら知る必要もあるまい。」

「なんだと?」

少年はガイダルを睨み付けた。しばらくガイダルを睨み付けていると、脳裏に一つの瞬間が浮かんだ。目の前に今よりかなり大きいガイダルの思わしき男。隣にはガイダルより少し小さいがそれでもかなり大きい男がいた。その男の顔は…見えない…ぐちゃぐちゃになっている。といつもと同じように激しい頭痛に襲われた。

「何か思い出したのか?」

「っ、何か、何か思い出せそうなんだ。だけど思い…出せない。」

「今はそれでいいのかもしれないな。じきに真実が分かるときがやってくる。その時を向かえるためにも、せいぜい死なないことだな。」

「お前は何者だ?」

ガイダルは和也に似たような質問をされたことを思い出した。

「さぁな…さて、再開するとしよう。貴様を焼き殺してやる。」

「和也さんの仇はとらせてもらう!」

記憶を無くした少年と正体不明のガイダルと名乗る男の戦いがはじまる。

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