3話 青ヶ島大戦
出港の朝、その日はいつもより騒がしかった。突然部屋のドアが開いた。ドアを開けたのは結月雪だった。
「名無し君。大変です! すぐに来てください。」
雪のあとを追った。船をおりたそこには皇離と基地の人が話し合っていた。
「っと結月か。漂流少年が異能力者のかのうせいがあるって本当か?」
「はい。言いそびれていたのですが、前回の海戦で皇離が私のところに来た時の目的覚えていますか?」
「察した。こいつがそれを止めたでいいのか?」
「正確には消したように見えました。」
「そうか…あとは俺がこいつの力を見いだせるかだ。結月は作戦の考案に力を入れてくれ。漂流少年、ついてこい。」
皇離に連れてこられたのは何もない場所だった。
「とりあえず状況の説明をする。」
皇離からうけた説明はこうだ。昨日の深夜に基地のレーダーに20隻にものぼる数の軍艦が移ったということ。そしてすぐに反応は消えたということだった。この島の死守のためにも異能力者が一人でも多く欲しいとのことだった。
「異能力はある時から人間に芽生え始めた。若者に多いってだけで他の共通点はない。この前も教えたがあの船はその異能力達が乗っている。俺はまずテレパシーが使える。でも力の消費が多いからあんま使わねぇ。どちらかというと読心術として使っている。自分の言葉を届けるより相手のを見る方が楽なんだ。テレパシーと読心術俺はこの二つの力を持っている。結月はサイコキネシスだ。お前も見ただろう?」
あの日を思い出した。彼女は大砲の弾をサイコキネシスを利用して止めようとしていた。
「それで俺の力をってこと、か…」
「今からお前に石を投げる。これを前そうだったように消してみろ。」
皇離は石を投げた。その石は手に直撃した。
「・・・駄目だ。やめておこう。前のは別の誰かが起こしたってことだ。」
すると軍人が一人、大急ぎで皇離の元にやって来た。
「皇離艦長! やつらの船が再びレーダーに写りましたぁ!」
「何? やつらは今どこに?」
「そ、それがもう青ヶ島の例の化物が荒らした周辺から軍が上陸している可能性が有り、艦隊は迂回してこちらを包囲するつもりです!」
上陸? 一体どういうことだ…確か、俺が緋奈と会った場所って…その付近…と脳裏ある言葉がに浮かんだ『助ける』
「っち、やつらめぇ…俺がす、」
「皇離! 今日も俺はあの森で!」
皇離はすぐに理解し、判断を下した。
「まずいなぁ…お前は今すぐ彼女の元に向かえ! 後からカズを向かわせる! 軍人! お前は今すぐバカ…あのガタイがよくてバカみたいなやつのところに行って軍艦を容赦なく叩き潰してくれと伝達してくれ! 漂流少年はとっと行け!」
言われた通り、すぐにあの森のあの木の下に向かった近づくと声がした。そっと近づいて影からそっと覗いた。
「放して! 放してよ! 触らないでよ!」
そこには敵軍人に掴まえられていた緋奈がいた。とりあえず敵の数と周りの安全の確認した。俺はなぜこんなことを? どこで覚えた?そんなことはいい。今は情報収集だ!
「へへっ、俺久しぶりに女を見たわ! ここ一年ずっと基地で訓練だもんな! まじで笑えるわ」
「そうだな。俺達ここ一年戦争のことしかやってねぇよな。あとこの女なかなかスタイルいいし可愛くねぇか?」
「確かに! なぁ?ここで殺すのももったいないし連れて帰らねぇか? みんなで遊んでやろうぜ!」
「それ名案! だけど俺我慢出来ねぇわ。作戦だとこの森を抜けたところにある基地を砦にしてるって話だから、ここまでわざわざ出向いてこないだろ。作戦開始までまだ一時間近くあるし…」
「いいねぇ! この付近は俺らしかいねぇし。んじゃとっととやるか!」
すると二人は緋奈の服に手をかけはじめた。
「ねぇ? 何する気なの? やめて! 放して 」
「暴れんなよ! 先にロープで手足を縛るか! あと口も塞がないとな。」
堪えろ!堪えるんだ!もうじき和也さんが来る!今俺が行ったところで勝てない…
二人は緋奈の手足をロープで縛り口を塞ぎ、上の服を強引に破ろうとしはじめた。そして布の引き裂ける音と同時に草を踏む足音が響く。すごい勢いで走る。
「緋奈に…触るなぁ!」
緋奈の服を破いた方の軍人を力一杯殴った。そのパンチは軍人の顔面を直撃した。続けてもう一人を蹴り飛ばした。急いで緋奈の足の縄をほどこうとしたがなかなか固くてほどけなかった。すると縄をほどこうしている手に水滴が落ちた。同時に、耳のあたりに強い衝撃が走った。そのまま力の向く方向に飛ばされた。続いて顔を潰されそうになる程の力で踏み潰された。
「なんだぁ? このガキ随分なことやってくれるじゃねぇか。結構痛かったんだけど。この女の前にこいつでストレス発散するか!」
「賛成ー! 」
10分近く殴られ蹴ったりだった。全身が痛かった。好きなだけ殴られ蹴られ、そして無様に地面に這いつくばっていた。
「なんかすっきりしたー! てことでやりますか。」
「そうだな! ってあ?」
無様に地面に這いつくばっていた手は軍人の足を掴んだ。
「うぜぇよ! もう殺しちまおうぜ!」
「そうだな! んじゃ撃ちますね!、」
次の瞬間大きめの発砲音と共に、体から血が溢れ出した。今までとの痛みとは比較にならなかった。だんだん意識が薄れていく…
「終わったな。さて続きといきますか!」
軍人が緋奈の体に触れようとしたが軍人の手は緋奈の体には触れることが出来なかった。
「どうなってるんだ?見えない壁があるみたいだ。」
「どれどれ…本当だ。」
最後の力を振り絞った。和也を信じる!
「っ、うぉぉぉぉぉぁ!!!これ以上にお前らの好きにはさせねぇぇぇ!!!」
最後の力を振り絞った叫びはしっかり届いた。
「漂流少年! よくやってくれた! 僕が来たからにはもう安心だ。5秒でその二人の首を跳ねて君の手当てをしよう。」
和也はよくアニメに出てきそうな両刃の剣を手にしていた。
「ぶ、武器を持ってやがる…撃たねぇと不味いな。」
「んじゃあ撃ちますか。剣なんかじゃ銃にはかてっこねぇ!」
二人の軍人はライフルではなく今使ったばかりのハンドガンで和也を狙った。次々に和也の体を目掛けて鉄の塊がとんでいく。和也は走り出し剣を突き出し、剣先で銃弾を次々に弾いた。たまに少し下がりさばいたりしたが、あっという間接近してきた。すると一人の軍人はライフルを手にして発砲した。和也はその弾を全て斬りさばき、ライフルを発砲した軍人の首を跳ねた。右から左にふられた剣は、そのままの勢いで一回転してもう一人の軍人の首を跳ねた。あたりに血が飛びはねる。和也は少し緋奈をみて。口の縄だけほどいた。緋奈は大泣きしていた。泣きながら和也に喋りかける
「ごっぢみんなよぉ! あっぢむいてよぉ!」
和也は無視してもう一人横たわる少年の元に駆け寄る。
「漂流少年?なんかよく分からないけど傷跡がないんだけど…まぁいいや早く彼女の縄をほどいてあげなよ。僕がほどいたらガン見しちゃうよ?」
「って…こんなときにまで変なこと言わないでくださいよ…本当に死ぬほど痛いんですけど…」
「男だろ?あのバカなら死ぬまで立ち上がるぞ?」
「分かりましたよ。」
少年はロボットのような形で立ち上がった。
「ん?」
「いやぁ…俺能力が使えるみたいで。今能力使ってたってるんですよ。って。」
少年はゆっくり緋奈の元に行き、足の縄をほどいて続いて手の縄をほどく。
「チラチラ見ないでよ…」
緋奈は顔を赤めながら小声でいった。
「ごめん。いって」
「まぁあんたになら別にいいけど」
緋奈は自分にしか聞こえないようにボソボソと言った。
「何?今はよく耳が聞こえないんだ。」
「べ、別に何でもないし!」
緋奈の縄をほどき終えると、緋奈は少年に抱きつき大声で泣き出した。すると和也は少年の耳元でささやきはじめた。
「お楽しみの所水指すけど、さっきの発砲音やら君の大声のせいで敵が近くに来てるんだが…どうするつもり?」
「特には考えてないですよ?正直力を扱えるか不安です…」
「僕は急いで離脱すべきだと思うよ?」
「・・・緋奈? 今はゆっくりしていられない。すぐそこまで敵が迫ってる。俺の服を着てとっとと逃げよう。」
「うん。」
緋奈に服を着せ、和也の肩をかりた少年は歩きはじめた。途中途中敵に遭遇したが、和也のとんでもない剣筋によって撃退した。そして、軍基地についた。するとそこでは皇離が待っていた。
「ボロクソだな。」
「うるさい…」
「とりあえず軍艦はバカと紀伊で防衛ラインを作った。あとは島の防衛ラインであるここだが、一早くボロボロになって帰ってきた仲間のために…反撃だぁ!!!」