表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビを狩るバルディッシュ愛用者Level,1  作者: 脱力呼吸法
外伝 混沌に吼えるもの(笑)
7/20

六百五十週後……

不定期な投稿になると思います。よかったら読んでやって下さい。

 約十年前という曖昧な記述から始める俺をどうか許してほしい。

 しかたがないのだ。カレンダーが発行されなくなってから現在に至るまで、八年ぐらいの月日が流れた。だから最初の二年のことはよく憶えている。


 ……ごめん。嘘をついた。八年前のことなんざよく憶えていません。いやいや、人間というのはごく一部の例外を除けば一年前のことだって詳細に憶えているかどうかですよ?

 それでも略歴という形で思い出すのならば、あの日は世界中の既存の国家が失われた日、とでも言えばいいのだろう。

 十年前、西日本の片田舎を転々とする形で始まった一連の―――事件の原因は、後に日本医師会によって正式名称を粘膜接触感染型食人欲求病と名付けられた、たぶん。……日本医師会ならもっとセンスのある名前をつけている可能性があるので、俺が脳内で勝手に補正した疑いもある。ひょっとしたらトランクに放り込んでおいた古新聞に正式名称が載っているかもしれない。

 つまり、世間一般の「正しい名前」に対する認知はではその程度のものであり、ゾンビ化というのが、会話で用いる上で最も話が早い名称だろう。

 感染した人間はいわゆる理性と知性を失い、本能的に新鮮な生肉を求め、手当たりしだい周囲の人間に齧り付き新たな被害者が増加していく。

 自衛隊の活躍及び、地理的要因と徹底的な事前予防の呼びかけによって、一週間程度で鎮静するかに見えたその事件は意外や意外、東京で発生したとたんに世界中に拡散した。

 ああ、そうだ思い出してきた。

 原因は感染した若い女性のゾンビを一部のマニアックな人々が監禁し乱交パーティーをしたためとも、闇の商人が売る凝固血液剤に感染者の血液が混入していたためとも言われる。今となっては証明する手段など存在しないし、何が原因だったのかなどという言及が意味を成すとも思えないが。

 そして日本列島の三分の二が感染者で埋め尽くされるようになったころ、つまり発生から約一週間たった辺りでロシア、アメリカから複数の中性子弾頭がぶち込まれ日本列島は世界地図から消滅した。国連の決定した「人類が生存する権利の行使」が承認された結果、そういうことになったのだと、俺はアメリカ行きの密航船のラジオで雑音(ノイズ)混じりのBBCを聴いたものだ。

 中性子の弾頭が炸裂した瞬間のことは今でも鮮明に憶えている。いくらなんでも、こればっかりは忘れようがなかった。

 船底から海水を徹して伝わる衝撃波の重低音。

 人類史上稀なる破壊の余波はハワイ沖を航海中の密航船にまで届いていた。


 とまあ。こんな感じで日本は消滅したのだが、もちろん無事逃げおおせた人間もいる。主だった政治家やグローバル化を掲げる企業の重役たち、そして運よくその場に居合わせなかった人々。

 無事に逃げおおせた当時の首相いか大臣たちは自由の国アメリカで亡命政府日本を名乗り、世界は平和を取り戻したはずなのだが話はここで終わらない。

 日本消滅から一ヵ月後、中性子爆弾の消毒をあざ笑うかのように五つの大陸でゾンビが発生し世界は混沌に包まれた。

 これでようやく今に繋がり、冗長な俺の身の上話はおしまいとなる。

蛇足的な何かです。ぶっちゃけ本編だけ読んであとは脳内補完するのがいいのかと思ったんですけれども、いらん親切心が出てしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ