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【四十六日目】

【四十六日目】

 嵐になった。

 前兆なんてなにもない。

 晴れていた空が突然切り替わり、大雨と風が吹き荒れる(常識の範囲内)大嵐がやってきた。

 それは朝方のことで、俺にエディ、フェラクラーリさんたち、エイミーさんアウエラさん、みんな揃っていたので、俺たちは手を取り力を合わせてメルヘン世界を守ります。

 わずかに開いた細い天井から雨が降り注ぐので、テントを張って水の流れを操作する。

 入り口からはかなり強い風が吹き込むので、岩や木板を使ってバリケードを作る。

 あとは安全な家に籠って、嵐が過ぎ去るまで耐えればいいだけ。

 …………。

 …………。

 …………。

 せっかく頑丈なレンガの家を建てたはずなのに、俺はフェラクラーリさんの家に避難してた。

 洞窟入口に蓋をして、フェラクラーリさんの家に入って、「あれ?」と気付いた時にはもう遅い。

 俺はちゃっかり、女の園に紛れ込んでいたのだ!

 他のみんなはそれほど気にしていないみたいだが、その事実に気付いてしまったからには俺の心臓はバクバクだ。

 俺、場違いじゃね?

 ……できるだけ精一杯、気にしないでおこう。


 みんな嵐対策でお疲れだったので、一番元気な俺がお茶を淹れた。

 毎回思うけど、フェラクラーリさん家のお茶は絶品だ。

 梅っぽい感じのと、ジャスミンティー的なの、ブロッサム的なのに加えて、いまでは俺が提供したドクダミ茶や、味は烏龍茶らしきものもあるのだが、今日の気分はジャスミンティー的なので。

 俺がプレゼントした日本的湯呑は使わず、花びらっぽいのに磁器のような質感の素敵カップにお茶を注ぐ。

 どうぞお嬢様、こちらジャスミンティーでございます。

 そしてこちらは、蕩けるまで弱火で炙った焼きりんごでございます。

 この家ではやっぱりフェラクラーリさんが一番上だと思うんで、最初はフェラクラーリさんに。次にお客様なエイミーさん、アウエラさん。そして最後にエディとお茶を出す。


 ふへー。

 なんとも優雅な一時だ。


 嵐は収まる気配がないので、普段エディが家で何をしているのか、こっそりとフェラクラーリさんに尋ねてみた。

 フェラクラーリさんは微笑む。

《そんなに気になるのでしたら、いっしょにやってみますか?》

 フェラクラーリさんに微笑まれると断れないので、《なにか》を一緒にやってみることに。

 エディは「やめてー」的な叫び声をあげていたが、フェラクラーリさんの強引さに勝てるわけもなく。

おずおずと、部屋の奥から普段やっていることの【完成品】を持ってきた。

 ポプリですね。

 香水もあるのか。

 へえ、服も作ってるんだ(まだ布を織っている段階だけど)。

 その他にも女の子らしいモノがごろごろ出てきてビックリした。

 普段こんなことをやってたんだ、意外だなぁ、エディはもっと理知的で実用的な行動をする女性だと思っていたのに、いやはや、ふつうに女の子でビックリだ。

 俺がエディの意外な一面に驚いていると、いつの間にやらエディの顔は真っ赤になっていた。

 お、おおぅ?

 もしかしてテレてらっしゃいますでしょうか?

 あのエディが?

 いやいやまさかぁ?

 いや、でも?

 そう思うと俺の顔まで赤くなる。

うわ、あかんあかん。

 俺は赤くなった顔を誤魔化すためにも、機織り器を作ってみた。

 竹を割いただけの機織り『器』だ。

 さすがに機織り『機』を作るのはちょっと難しい。――――というか、機織りには手を出してないからまったく知識が無くて機織り『機』がどのような仕組みになっているのか分からないのだ。

 作った機織り『器』で、みんなコツコツと布を織る。

 どんな服を作ろうかと想いながら布を織る。

 それは単純作業で飽きがくるので、飽きたらポプリや香水作りに移行して、みんなで料理を作ったりして、家の中での一日を楽しんだ。



 ……一つ屋根の下に女四人に男一人の状況は、ちょっとキツイ。

 ガールズトークが……っ!






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