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【三十五日目】

【三十五日目】

 昨日は熱中しすぎて他の仕事を忘れて一日がかりで海岸線に続く道を作ったので、今日は毎日の仕事を忘れずに、飲み水が湧く泉までの道をゆったりと作ります。

 鉈を片手に無双乱舞で目の前の邪魔な枝葉を打ち落とし、窪んだ箇所には打ち落とした枝葉と土を盛って埋め立てながら、道なき道を歩き続けると、目的地である泉に到着。どこの水よりも綺麗な水がコンコンと湧き出て、たった一口で体全体に染み渡ると感じる美味しい水は日本の名水にも負けていない。

 とりあえず泉までの道作りは、今日のところこれで終了。イメージ的には見通しが良くなっただけで道自体にはほとんど手を入れてないが、ちょっと注意しなければいけない危険な場所は減ったので、それだけでも充分だろう。

 えっさほいさと美味しい水を洞窟いえまで運ぶ。

 道すがら二メートルのジャンプをしたり、道幅四十センチ奥行き九メートルの崖から落ちないよう進んだり、重いし零れるし、水の確保は毎日毎日大変だ。


 次はミイラ制作現場への道。

 ミイラ制作現場には塩精製施設もあるので、道があって損はない。

 こちらも海岸線に続く道と同じく俺的には初心者向けの獣道だが、はたしてエディさんにとってはどうなのだろうか?

 島の外側、――――いわゆる海岸線方面は森密度も減って獣に襲われる危険性がググッと下がってほとんど安全地帯のようなものだが、獣による危険は無くても、すこし険しい地形がエディさんにとっては敵となりそう。

 いずれはエディさんもこの道を通って欲しいと俺は切に願っているのだが(俺の仕事量が多過ぎるから少しでも分担して欲しい)、いま、ようやくアウトドア人間の第一歩を歩き始めたエディさんにそこまでの無理をお願いできるのかっ⁉

 ……舗装整備された道ならともかく、今のエディさんがこの道を一人で進むのは無茶だよなぁ。

時が来れば、その時にまた考えよう。

 この道も大雑把に広々と邪魔する枝葉を打ち落とし、窪んだ箇所には打ち落とした枝葉と土を盛って埋め立てる、簡易補修工事みたいなことをする。

 時間が勿体ないので適当だ。

 必要最低限のことだけをやって、この道の整備作業は終了。

 整備作業をしながら目的地に着いた俺はほどよく乾燥した食料を確保して、また洞窟に戻る。


 やばい、そろそろ一日が終わりそうだ。

 今日は一通り主要道を整備しようと思っていたが、二つの獣道を登山用コースにしたぐらいで終わってしまう!

……だけどまあ、いいか。とりあえず一番重要な水汲み場へ続く道を整備できたんだし、他の場所に続く道は大自然のままでいいだろう。コロコロと変わりそうな雰囲気のある季節の所為で、いつまで同じ場所で食料が収穫できるとれるか分からないし。

無駄になりそうなことは、いまの気分的にやりたくない。


 今日のお仕事はこれで終了。

 あとはゆっくり体を休めて、明日に備えるだけ。

 体に疲れが無いのは未だ不思議な感覚でなかなか慣れないが、泥のようにぐっすり眠るつもりです。


 ただいまエディさん、今日も元気にひきこもりやってますね。

 いやいや、もちろん俺は昼間の洞窟にエディさんがいないことをこの目で確認しているので一日中ずっとひきこもってはないと分かっているけれど――――、

――――ちなみにエディさんや、今日は何をしていたのですか? 今日も人魚さんと遊んでいましたか。こんちくしょうめっ!

 たしかに現時点のサバイバル生活でエディさんは、やることなすことすべて危なっかしくて、ほとんど何もできない子ですが、俺が一生懸命な時に「遊んでいた」と堂々と言われるとチョット凹む。うがー、となって、うぐぐぐぐ、となる。

 最近では色々と工夫をした料理を作ってくれるし、自分ではできないことでも自分の手でやろうとしてくれているけれど、その努力に現実が追い付かないのが現状だ。

 失敗作の料理もたびたび食卓に並び、なんだかんだと軽い怪我をするので手当をするのに時間を取られる。それでも積極的に色々なことに手を出そうとするのは俺的に好印象なのだがセンスの無さだけは絶望的だ。気長な目で見なければ成長を確認できないだろう。

 なんともダメっ子なお姉さんだ。



 …………んん?

 俺の方が年上じゃないのかって、……どう言うこと?





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