【三十三日目】
【三十三日目】
やっぱり女子は女子同士で仲良くなるようだ。
海岸線の岩場で美女と微女が、――――もとい美女の二人がお喋りをしていた。
と言うか、あれ? 一方的に喋っているだけ? 人魚さんは喋ってないように見える。だけども二人は同じタイミングで笑ったりしているので、意思の疎通はできているのだろう。昨日紹介したばかりなのに、すでに俺よりも人魚さんと仲が良い。
俺は仲良さげな二人を見送って、いつものように山に向かうと、「帰る、あと、送迎、よろしく」と頼まれた。
道なりに六百メートルの距離ぐらい送迎とかいらないと思うのだが、この世界の危険度は日本の山奥よりもちょっと高い感じ、サバンナのど真ん中を放浪するよりかは安全なぐらいの危険度なので、万が一が無いように送り迎えをするんだろうなぁ。
ああ、そうだ。
俺は手作りの鈴をエディさんにプレゼントする。主原料は鉄の葉っぱの、鈴と言うよりベルの形をした、首にかけるタイプの鈴。鳴らすと「かん、かん」と乾いた音がする鈴だ。こちらの世界の獣も大半は音を嫌がり避けるので、安全を祈願しながら手渡した。
こういうところが親友に笑って裏切られる要因なのかもしれない。
あいつ、ホンマ最低だ。人の善意に付け込んで、騙して蹴落として囮にして付け込んで!
と、……おー、おー、おー。
柄になくムキになった。落ち着こう深呼吸だ、すーはー。
思い出すだけで怒りが沸々と湧きあがるので、親友のことを話題に出すのはなるべくやめとこう。
自分でも若干、人が良いと思う時はある。
なんだかんだとエディさんを見捨てることもできないし。サバイバルできるだけの体力をつけさせようと、本人に気付かれないように暗躍してる。それなのに「疲れた」と言ってすぐに動かなくなるエディさんを甘やかしてしまうのは、人が良いというよりも、甘ちゃんなのかもしれない。裏切った親友を毎回許してしまうあたり、甘ちゃんというよりも、馬鹿なのかもしれないが。
……やっぱり親友を話題にするのはやめておこう。ビルの屋上から俺を蹴り落としながら高笑いしている顔しか思い出せない。現実にそんなことはなかったはずなんだけど、イメージと言いますかなんて言いますか。……とにかく最低な親友だった。
二十メートルもある高さの崖から、海に突き落とされたことはあったなぁ。これは子ども時代の笑い話で済む程度の軽い悪戯だったけど、笑い話では済まない裏切りがその後幾度も行われたことは……、
……忘れよう。
今日は基本に立ち返って、絶対に必要なものをそろえることにした。
飲み水が湧く泉に行って水を汲み、薪を拾い集める。夏の日差しでガンガン精製される塩を回収して海水を注ぎ足し、ミイラ化進行中のお肉・山菜果物・お魚は、できたモノから順次に回収。まだまだ食用キノコは山のあちこちに大量に群生しているのでごっそり収穫して、山芋の蔦を見つけたので鉄葉っぱで作った簡易スコップで土を掘り、山芋を収穫。
ふへ、一日が終わるのは早いぜぇ。
山芋を掘り終えたところで、太陽はすでに沈む一歩手前。
文明の光が無い大自然では、日が暮れると暗くてほとんど何もできなくなるので、太陽が沈み始める前にすべてを終わらせなければいけない。
ファンタジー体力で拠点の洞窟まで全力ダッシュした俺は、荷物を置いて、エディさんを迎えに行く。




