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【二日目】

【二日目】

 運が良かったのだろう。

 台風で荒れに荒れる海を朝方まで沈まず浮かんでどうにか助かった俺は、島を見つけることができた。

 低体温症で死んでいても不思議ではない凍えた体を無理に動かして、うまいこと波にも乗って、どうにか島まで泳ぎ切る。裸一貫濁流急流川下りや、毎年恒例、一人ぼっちの淋しく寒い寒中水泳をやっていなければ普通に死んでいたかもしれん。

 島に上陸した俺はまず最初に体を温めることを考えた。マジ死ぬる。うわ、怖い。手足が真っ青だった。黒くなっていないだけまだマシだが、一刻も早く、だけどゆっくりと温めなければいけなかった。

 火ぃ~、火ぃ~。

 人の姿が見えない自然豊かな島だったので、民家訪問などの甘っちょろい考えは即行破棄して、乾いた枝木と雨風をしのげる場所を探す。木の根でうろとなった場所が狙い目だ。燃材も同時に有るかもだからお得だね!

 浜辺から森らしき場所に入ってわずか二分で両方をゲットした俺は、普段から持ち歩いている水没してもおーけーなライターで火を付けて暖を取る。途中拾った綿っぽい植物で、手足をゆっくりとだが懸命に擦り温めるのも忘れない。凍傷で手足を失いたくないしね。

 昼頃まで懸命に体を温め、身体機能をある程度まで取り戻した俺は、かわり映えしない空を眺める。あれ、先日の天気予報では台風はもう過ぎ去っているはずなのになぁ? 疑問に思ったが、まあ気にしない。

 木の洞で半日、ぼけっとしていると、腹の具合が気になってくる。

 食事は数日ぐらい抜いても大丈夫だが、失った体力を取り戻す意味でも何か食事をしたい。水上バイクが御健在なら保存食ぐらい蓄えているのだが、マイ水上バイクは御亡くなりになったのか、それとも行方不明なのかさえも定かではない。胸の内ポケットに何か入れていないかなと探ってみるが、食い物を入れた覚えがないので入っているわけはない。出てきたのは先程紹介した水没しても大丈夫な頑丈が取り柄のライター、アルカリ単四乾電池×2、レーザーポインター、手の平サイズのプラスチック鋏。と、ろくなものが無い。

 暇潰しにレーザーポインターで、五メートル先の木をチカチカ。木の葉を狙ってはチカチカ。うん、何をしているんだろうか、俺は。

嵐の中、外に出ても良いことなんぞ無いので、今日はこのまま寝ることにした。






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